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2023.11.04
【GTA定例会見:Rd.8 もてぎ】GTA坂東代表が今季の総括や来季での新たな取り組みを語る

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 2023 AUTOBACS SUPER GT第8戦「MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL」の予選日にあたる11月4日の午前、SUPER GTを運営する株式会社GTアソシエション(GTA)による定例記者会見が行われた。

 GTAの坂東正明代表は、まず冒頭で「快晴のなか予選もできそうだし、明日(決勝の天気)も大丈夫だと思う。みながんばって予選に向けて、決勝に向けていいレースをしてくれると思う」と笑顔を見せると、今シーズン着手した、さまざまな取り組みについて振り返った。

 まず、最初に取り上げたのが“環境への対応”だった。「1年目としては、できるところから手をつけた。すべてが正解かどうかはわからない状況だが、将来を見据えたモータースポーツをやっていかなければならなかった」とした上で、「カーボン・ニュートラル・フューエル(以下、CNF)においては、2年間のベンチテストはじめ、各車両へ搭載しての走行テストを経て、今季から、希釈や揮発などの問題をクリアし、GT500クラスには化石燃料を一切使わない合成燃料「GTA R100」として導入することができた。ただし、GT300クラスでは同じ燃料を使用することができなかった」と現状を述べ、これまでの結果を踏まえ、GT300クラスにおける新燃料の導入に言及。レース明けの月曜日、モビリティリゾートもてぎにおいて、合成燃料50パーセントの「GTA R50」を使った実走テストを実施することを明らかにした。参加するのは6台(#2 GR86、#30 GR86、#31 LC500h、#52 Supra、#61 BRZ、#65 AMG)であり、「合成燃料50パーセントなので大丈夫だと思っている。1台につき300リッターを供給してテストをしてもらう。この状況下でやれたら、間違いない(使用できる)。その方向で進みたい」と意欲を見せた。これにより、テストで問題がなければ、来季から、GT500クラスは「GTA R100」、GT300クラスでは「GTA R50」燃料が導入されることになる。

 

 

 

 

 また、今季は全8戦中5戦で開催した450kmレースについては、持ち込みタイヤセット数を削減した上で、グリップではなく、長く走れるタイヤ作りを目指す必要性があったことを説き、そのテストとして、今季初めてオートポリス戦における450kmレースを開催したと言う。なお、この結果を受け、「燃料同様、来季の構想として300kmレース、450kmレース、それから300マイルレース、時間レース、この4つの組み合わせで行なおうと考えている。なおかつ、タイヤの持ち込み本数をもう1セット削減する」と発言。「各タイヤメーカーの協力体制を含め、”SDGs(持続可能な開発目標」)”も考えながら、より長い走行距離のレースをやりたい」と希望を口にした。SUPER GTでは、今季から「SUPER GT Green Project 2030」を掲げてプロジェクトに取り組んでいるが、2030年までに二酸化炭素を50%削減するために、まずは再生材料の使用に着手。坂東代表は「その基準値がどこにあるかのチェックが難しい」としつつ、「50%に結びつくという数字が出ていないので、これは専門家を雇い、その目標に向かって1番大きなもの、何をしていけば良いのかというところを見出さなければならない。年間で40万人ぐらい人が集まり、みんなクルマで来る。その部分は崩せないが、もっとお客さんには来て欲しい。その上で来年は数字をきちっと明確に出したい」と、さらに踏み込んだ取り組みを進めるとした。その上で、今年の取り組みに関しては、「効果があった。第一歩としては踏み出せたと思う。やっていることが間違っているかもしれないが、積み重ねていくことで方向性が定まってくると思う。今後もこの方向性で努力していく」とした。

 

 

 

 

 続いて、安全対策の強化という課題に対しては、「ドライバーの“だろう運転”が大きい。そういうところでいくつかのインシデントが起こったと思うので、クォリティを上げていかなければならない。速さの抑制が安全性に繋がるかという論議もあるが、我々がやっていることは、もうすでに世界のなかでのツーリングカーのトップとして物事を語るようになっている」と語り、来季に向けて、空力の抑制をはじめ、車高においては、GT500車両ではスキッドブロックの見直しなどを挙げた。だが、GT300車両に対しては、FIA GT3のホモロゲーションに関わる部分もあるため、車高等の見直しは「非常に難しい状態」であるとし、現時点では、昨季岡山戦で実施したウェイト調整での対応を検討しており、来季開幕戦までに何らかの方向性を示すと述べた。

 また、ブリヂストンタイヤCEOの石橋秀一氏との会談において「ワイドレンジのタイヤ作りをリクエストする」と、前大会オートポリス戦での定例会見で明らかにしていたが、「基本的には温度領域に合っているかどうか。あとは摩擦係数。摩耗係数も路面温度によって変わってしまう。摩擦係数の幅を広げた上で、より長く持つタイヤ作りをお願いしたい。その上でクォリティをあげてほしい」というリクエストをしたという。「ダンロップ、ヨコハマも同じ考え方でいろんな模索をしている。その方向性で進めていくこと結果から、来季の(持ち込みタイヤ)1セット削減の話を進めている」と、参戦メーカーからは概ね合意を得ているようだ。

 近づく最終戦に向け、「新型コロナウイルス抑制対策も明け、お客さんにも戻ってきてもらった。自分たちも地に足をつけた状況で、今後を見つめて継続していけるように努力していきたい。クォリティの高いモータースポーツを作り上げて、世界に向けて発信したい。自分のなかではツーリングカー(のレース)の中でもこれ以上のものはないと思っている」と熱い思いを口にした坂東代表。来季もプロジェクト実現に向け、着実に歩み続けていくことを誓った。

 

 

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