No.36 au TOM'S GR Supra
坪井 翔
「プレッシャーもあるなかでしっかり勝って、チャンピオンを決められて良かった」
最高の結果を得られたなと思っています。2年前、チャンピオンを獲ったときは、チャンピオンは獲りましたけど、どちらかというと他力本願で優勝して、他のメーカー、他のチームのライバル勢の順位次第という形でした。追う立場で優勝するという、あくまでもシンプルなイメージでレースをしてたんですけど、今回は、考えはシンプルとはいえ、やっぱり追われる立場、シリーズリーダーで(最終戦に)挑んで、プレッシャーもあるなかでしっかり勝って、チャンピオンを決められたというのはすごく良かったと思います。2年前、僕がチャンピオンを獲ったときも(そうだったが)、いろいろあるのがSUPER GTなので、(今回は)いろいろなことが僕らに不利益な方に行かないといいなとは思ってたんですけど……。案の定、雨が降ったりとか、いろいろ展開が変わっていくなか、改めてSUPER GTは難しいと感じてはいたんですけど、自力でしっかりチャンピオンを獲り切ったんで、これ以上言うことはないかなと思います。
(GR Supraにとって)鬼門となるもてぎで、まずは予選で3位になれたってのが、もうむちゃくちゃ大きくて。あとは、前の2台(No.3 Niterra MOTUL ZとNo.17 Astemo NSX-GT)を抜けば優勝できるっていう状況で。今年、36号車は、決勝に強いレースをしてきてるので、3位からスタートできれば前2台ぐらいは抜けるんじゃないかなと思ってはいたんですが、やっぱりライバルも強力で、なかなか抜く機会を見出せずに(いた)。トップの3号車がちょっと離れちゃってて、僕も17号車に引っかかるような形で。17号車を抜かないとチャンピオンを獲れないし、抜ければ、逆に3号車に追いつけるかもしれないっていうくらいペースに自信が……というか、(良い)ペースがあったんで、なんとか17号車を抜きたいんですけど、なかなか抜く機会がないというか、なかなか難しくて。ただ、17号車を22周目に自力でなんとか抜くことができて、その時点で、一応、権利というか、チャンピオンになる要素というか……このままの順位で終わればチャンピオンになれるっていうのはあったんですけど、まだ、ピットに入ってない段階だったので、なるべく差を広げて、ピットで前に出られないようにいろいろ考えながら……燃費とかも試行錯誤しながら、しっかりピット(作業)でも早くなるように走ってはいたんで。その辺もうまくいったかなと思いますし、なんとか2番手で宮田(莉朋)選手にバトンタッチできたので、その順位で行ければチャンピオン(獲得)とはわかっていましたけど、3号車を追うには、どうやって戦ったらいいんだろうっていうことを考えながら、レースをやってました。
開幕戦だけはちょっと残念なレース(リタイア)になってしまいましたが、それ以降のレースは、もう全員がやるべきことをすべてやった結果で来ているので、これでチャンピオンを獲れなかったら、どうやってチャンピオンを獲るんだっていうぐらい……。大体、レースって、“あそこでもうちょっとこうしとけば、あの1点獲れたかな”とか、結構あったりするんですけど、開幕戦以外のレースでそういうシチュエーションというか、“もう少しああしとけばよかったな”みたいなレースってほとんどなくて。全部自分たちの持ってる力を全部出し切った結果がこれだよねっていう結果で終えられてポイントを重ねられたので、チャンピオンがあるかなと思ってます。ターニングポイントじゃないですけど、個人的には、やっぱりチャンピオン争いを中盤戦ぐらいから意識し始めたときに、鬼門となるのがこのサーキットかなという風には思ってたので。あと、季節は違いますけど、9月にここでタイヤメーカーテストができたっていうのは非常に大きかったんじゃないかなと。タイヤ含め、セットアップ含め、どういう方向性がいいのかっていうのを事前にテストできたっていうのが、僕のなかでは一番大きいんじゃないかなと。そのテスト結果を持って、今回のタイヤだったりセットアップだったり、いろいろ今までと違ったことをやれたので。この鬼門のサーキットでしっかり勝てたっていうところは、9月(のテスト)から繋がってきたんじゃないかなという風に思うので、チャンピオンを獲る上では、このテストが1番大きかったんじゃないかなと僕は思います。
宮田 莉朋
「全体的にシーズンを通していい流れがあったのかな」
自力でチャンピオンを獲れるのは2位以内っていう状況で、もてぎに臨みましたけど、もてぎに対しては結構苦手要素が大きかったですし、去年もQ1を突破ができなかったので、まずはQ1を突破できればっていうことしか(頭に)なくて。Q1を突破しても、(Q2で)トップ3に入れたら理想的かなっていうぐらい、もてぎに対して苦手要素というか、不安要素が結構多くて。とはいえ、先週末、僕としてはスーパーフォーミュラでタイトルを……同じチームトムスでタイトルを獲って、チームとしても士気が高かったですし、全体的に流れがいいというか、同じメンバーでやってるからこそ、あとはGTチャンピオンを獲ろうっていう気持ちが高かったので、そういう部分では、全体的にシーズンを通していい流れがあったのかなっていう風に思います。
レースに関しては、結構、天気というか、ドライが続いている状況下では、もう3号車が速かったですし、うしろの23号車も速くて、順位を、そのままで終えられれば、チャンピオンっていう中で、走っていたんですけど、雨が降ってきたところで、前の3号車との差も縮まったりして、なんとなくチャンスもあるかもしれないなっていうなかで、ああいった展開(3号車のコースアウト)が起きたので、(自分たちは)ミスなく、チームとともに力強く1年間やれたことが最後の集大成として結果になったので、チームの皆さんと、TGRの皆さん、そしてファンの皆さんには感謝しかないです。
(決勝では)3号車が前にいるのは見ててもわかってたんですけど、3号車と同様に23号車もペースは悪くなさそうに見えました。結構、僕のとき(後半のスティント)には、3号車と23号車が前後にいるって感じだったので、前後のラップタイムもそうですし、2位でまずは(レースを)終えなきゃいけないっていう基本的なところを遂行しようと思ってたので、結構、そこがきつかったというか。3号車が速かったですし、23号車も僕と同じぐらいか、ちょっと速いくらいのときもあったりしてたので。とはいえ、トラフィックだったりとか、雨の影響でラップタイムが結構変わったりしたし、そういうときは、僕なりにいいペースで走れてたかなと思います。最後の雨に関しても、何度か危ない目に遭いましたけど、コース上に留まることだけに専念して。そこで、3号車が(スピンアウトして)空いた形になったという風に思ってるので。レースとしては、36号車らしい力強いレースができたかなと思ってます。
開幕戦の岡山で、タイヤがついてない(外れて)というか、作業ミスで結果を残せなかったんですけど、僕はスーパーフォーミュラもトムスで乗っているので、岡山が終わった2日後ぐらいにチームのファクトリーに寄って。ちょうどその翌週末がスーパーフォーミュラの鈴鹿(第3戦)だったので、スーパーフォーミュラを兼ねてミーティングをしたんです。SUPER GTとは関係ないんですが、去年、トムスはピット作業でロスをしていて、僕が表彰台とか優勝を逃したっていうこともあって。たまたま36号車は、スーパーフォーミュラでやってるメンバーがSUPER GTでも一緒だったので、今一度、何がダメっていうか、改善すべき点は何なのかっていうのも見直したりして。岡山に関しては、予選が雨であんまりいいところに行けなかったんですけど、とはいえ、レースでは力強いパフォーマンスを発揮したので、そういった(ミスによる)取りこぼしがないようにというか、ミスなくトムスとして普通(のこと)をやれば、他のチームより絶対パフォーマンスがあるんだからっていうことを僕もチームに伝えたり、(作業する)メカニックも、今まで切羽詰まって“とにかく早く”っていうところを(ピット作業に)求めてたと思うんで。岡山戦以降、僕も(第3戦鈴鹿)スーパーフォーミュラで初優勝したし、SUPER GTも5月の富士(第2戦)で優勝して、そこからトムスの、レース以外というか、ピット作業だったり、細かいところの積み重ねが結果として繋がってきてて。それが、チームとして、最終戦まで全体的に力強いレースができるようになったのが大きなところかなっていうのがひとつです。あとは、ドライバーとしては、サクセスウェイトがほんとに苦しくて。真面目に速く走ってると“バカを見る”じゃないですけど、絶対勝てるのに、そうやってハンデで勝てなくなってしまうっていうのが結構辛かったんで。でも、そのなかでいかにポイントを獲るかっていうのがSUPER GTの醍醐味であって、ハンデ(サクセスウェイト)があるなかでポイント圏外で終わるよりは、ポイント圏内で終えることが本当に大事で。(伊藤)大輔さんが言ってたように、(第5戦)鈴鹿で1点を獲るとか、その1点があったから今回2位以内でもチャンピオンを獲れるというのがあったと思います。ドライバーとしても、(第6戦)SUGOかな? 3号車より前で決勝を終えられて……。あのときは燃料リストリクター(の影響)でバンバン抜かれていたし、逆に同じ燃料リストリクター同士であれば戦えるけど、そのあいだに、ハンデが軽いクルマがいたりするなか、コース上で追い上げることができて、ドライバーとして、より駆け引きで負けないとか気持ちだけでは負けないっていうのをSUGOで見つけられたし、GT300車両のトラフィック(渋滞)の使い方も、より自分のなかで明確になった部分があったので、それが、(第7戦)オートポリスで(予選)10番手から優勝できたっていうのにも繋がってます。ほんとにつらいなかでも、チームは普通(のこと)ができるようになって力強いレースができるようになったし、ドライバーとしても、コース上で強いところを見せられるようになったのが、チャンピオンに近づけたのかなっていう風に思っています。
伊藤 大輔 監督
「今シーズン全体が今日の結果につながってるんだと思う」
(チャンピオンを獲ることができて)ホッとしています。というのも、今シーズン、このふたりのドライバーで(参戦して)、周りのチームからは、もう必ずチャンピオンを獲れるだろうというぐらいレベルの高いドライバーふたりのチームで今年戦うことができたので、そういう意味ではプレッシャーもありましたが、ふたりが走りだけではなく、エンジニアとミーティングをするなかで、クルマのセットアップ的なことであったり、タイヤを開発していくなかでブリヂストンとのコミュニケーション……自分としては、監督の立場ながらドライバーの経験もあるので、両方の目から見て、ドライバーとエンジニアのやり取りで、間違った方向に行ってないかどうかというのを必ずチェックはしているんですけど、非常にふたりともスマートというか、チーム、タイヤメーカー、そしてTGD(※)とうまくやっているなという印象を受けています。
※TGD:TOYOTAのGT500車両を回達するトヨタ・テクニカル&デベロップメント。
レースの展開に関しては、今回いろんなことがありましたけども、本当に難しいコンディションのなか、よくがんばってくれたと思います。あと、3号車(No.3 Niterra MOTUL Z)は残念でしたけども、年間を通して非常にいいライバルだったなと思いますし、そのなかできちんとタイトルを獲れたことを素直にうれしく思っています。ありがとうございます。
シリーズタイトルを獲る上で大事なことがいろいろあるんですけども、サクセスウェイトが積まれる状況のなか、シリーズを通してミスなくポイントを獲ってきたっていうところが、今回のスタート時点での、“2位でゴールすれば(チャンピオン確定)”というところに繋がったと思います。案の定、3号車もポール(ポジション)を獲って1点獲ったので。たとえば、今年の第5戦鈴鹿も非常に苦しかったんですけども、そこで(10位に入賞して)1点獲れたことが、“2位で大丈夫”っていうところに繋がってると思うので、ドライバーのふたりは、毎レース、毎レース、サクセスウェイトが重いときは、もう、ほんとに愚痴がいっぱい出てくるような感じで、フラストレーションが溜まる展開、レースが長かったんですけども、それを彼らががんばって、きちんと粘り強く、今シーズンをずっと戦ってきてくれたおかげで、最終戦に挑めたと思います。このレースだけではなくて、今シーズン全体が今日の結果につながってるんだなという風に思いました。
(シーズン)8レースあって、優勝した3レースがあるんですけども、正直言うと、もうどのレースも同じぐらいの力量というか、ミスなくきちんとそのレースを戦うという取り組み方に関しては、まったくどのレースも一緒で。それもあって、サクセスウェイトが重いときに少ないポイントでも確実に獲るっていうことが重要だと思ってやってきた結果だと思ってます。
(チャンピオン獲得のきっかけとなったレースとして)あえて言うなら、悪い結果ではあるんですけども、今年の開幕戦岡山。この体制になって初めてのレースだったんですけども、雨が絡んだりとかするなかで、結果的にはタイヤがうまくはまってなくてリタイアという形にはなったんですけども、そこまでの展開というのが、ドライバーも素晴らしかったですし、そこに持ってくるまでのチームとしての作戦であったりとか、流れが非常に良かったので。細かいミスをなくせば、きちんと勝てるんだっていうところを実感したレースでもあって。第2戦(富士)できちんと結果を出せた(優勝)という意味では、非常に意味のある開幕戦だったのかなと思っています。メカニックに関しては、非常につらい思いをしたかもしれないんですけど。実は、昨日、予選が終わってから、何か、何か風を感じたのかわからないですけども、担当メカニックが、ちょっと普段は開けないところを開けてトラブルを発見しまして。もし、その発見を見逃していたら、今日のフリー走行(ウォームアップ走行)、もしくは、決勝序盤でリタイアをするような、そういう致命的なトラブルを発見することができました。それで夜遅くまで、昨日も12時過ぎて、っていうところまで作業をがんばってくれて、今日の結果に結びついたのかなと思います。そういう意味でも、開幕戦のリタイア……悔しかったですけども、それだけ緻密にミスなくやっていかなきゃいけないんだっていうことを思い知らされた一戦だったと思います。
No.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT
吉田 広樹
「紙一重の“いい方”を拾えた結果がシリーズチャンピオンに」
素直にまずは嬉しいです。自分はこのチームに移って5年目で、コロナ禍で不規則なスケジュールのなかでランキング2位だったり、去年も(そうですが)、最終戦までチャンピオン争いができたということは何回かあったんですけど、ツメが甘いというか、詰め切れない部分がありました。だから今年は“同じようなミスをせずに自分たちのベストを尽くす”というレースを心がけてきたんですけど、本当にどのレースも紙一重というところがあって、紙一重の“いい方”をレースごとに拾えてきていたかなと思っています。その結果がシリーズチャンピオンなんですけど、今日も終盤はコンディション的にも厳しかったですし、前戦(オートポリス)のレースも最後まで後ろを押さえ続けなければいけなかったりという苦しいレースが多くて、ドライバーとしてプレッシャーをすごく感じていました。
それはチーム側も同じで、今日は1ポイントが獲れれば(チャンピオンが決まる)という状況ではあったんですけど、メカニックもすごくプレッシャーを感じていました。(自分たちのクルマは)GT300(規定車両)なのでいじれる部分が多い分、そういうリスク(トラブル)が多かったり、マシンも4年目ということもあるんですが……今回は本当にノートラブルでした。(前走車の)パーツが当たって(ボンネットにある排気孔の)カナードが取れかけたりはしたんですけど、それ以外はなんのトラブルもなかったです。そういう意味ではドライバー、チームみんなが同じようなプレッシャーのなか、ミスがないというかフォローし合ってやってきた結果がこのチャンピオンだと思うので、それは僕自身もすごく嬉しいです。チームにとっても、周りのプロフェッショナルなメカニックたちにまぎれて、ディーラーチームとしてやってきたので、自分たちの自信になるかなと思います。そういった意味でもこのシリーズチャンピオンというのはとても嬉しく思っています。
自分が川合(孝汰)選手から代わったのがGT300の周回数で20周ちょっとだったと思うんですけど、自分が40周弱を走らなければいけないという状況のなかで、(タイヤ)無交換の作戦を選んでいたので、まずは最後までタイヤをもたせようという気持ちで走っていました。シリーズチャンピオンを考えて、というところでは、2号車の順位に関係なく、自分たちが“ベストなレースを心がけよう”という意気込みで挑んでいたので、“ひとつでも前に。ひとつでも前に”という気持ちでいました。(実際には)川合選手が前のクルマに詰まっているのであれば早めに(ピットに)入ろうということで、ピットに入れて代わったんですけど、そういう気持ちで戦いつつも、最後に雨が降ってきた時は、やっぱりいろいろな車種がいたり、タイヤメーカーが違うなかで、さまざまなライバルというか、自分たちが順位を争っている選手と戦うなかで、“雨×スリックタイヤ”で負けるのがドライバーとして悔しいという気持ちがありました。“どうにかそこを踏ん張って戦いたい”という気持ちと、自分の気持ちだけで(走り続けて)万が一何かあって……2号車の順位でチャンピオンも変わってくるのでなんとも言えないんですけど、そこで僕が何かミスをするとシリーズ(チャンピオン)がどうなるか分からないということもあったので、そういう自分の個人的な気持ちと、チームとしてどういう走りをしなければいけないかということを考えて、できるだけリスクのないところではそういう方(自分の気持ち)を選んでしまいました。今回はそれでチャンピオンといういい結果に結びついたんですけど、今後のレースでは、そういうコンディションこそ攻め切らなければいけない状況も出てくると思うので、個人的には今後もそういう部分で自信をもってしっかり戦えるように、自分に自信をつけられるように成長していきたいなと思ったレースでした。
毎年、そこ(チャンピオン)を目標に掲げてきていたんですけど、(そのために)“獲りこぼしをしない”ということを自分たちのテーマにしていました。(今年は)1回だけ、第5戦の鈴鹿でマシントラブルでリタイアというのがあったんですけど、その後のSUGOで、状況も含めて、いろいろ自分たちの思いどおりにいっていたレースで(優勝を)落としたと思ったら、(優勝したクルマが失格となり)また(繰り上がりで優勝を)獲れたというのがひとつポイントだなと思っていて、シーズンを考えると(そのSUGOが)ターニングポイントかなと思います。その次のオートポリスで連勝できたのも本当に大きくて、僕らはいつも(タイヤ)無交換の作戦を採ることが多いんですけど、今年のオートポリスは距離も初めて450kmと長くなって、どれくらいタイヤをもたせられるかというのが分からないなか、結果から言うと同じタイヤだったり、ちょっと違うタイヤを使っていたライバルの2号車を押さえ切れたのは(大きかった)。速さでは予選からぶっちぎられていたんですけど、チームやエンジニアが考えてくれた作戦を、川合選手も僕もうまく進められました。速さでは負けていたかもしれないですけど、チームの強さでカバーできて、最後まで押さえ切って勝てたというのが自分たちにとってはターニングポイントというか……SUGOもそうですし、オートポリスもそうだったかなと思います。そのおかげで、このもてぎも同じような気持ちで戦うことになったとはいえ、余裕がありました。もう少しポイント差が違ったら、最後、ああいう(雨が降ったりやんだりした)コンディションのなかで、自分たちももっとリスクを取った攻め方をしなければいけなくて、それがうまくいっていたかどうかも分からないと思うので、SUGO、オートポリスで連勝できたことが今シーズンのターニングポイントだったかなと思います。
川合 孝汰
「ゴール後のチームのみなさんの笑顔を見られたのが嬉しかった」
本当に嬉しいの一言ですね。僕もこのチームに入れていただいて4年目で、もともとFIA-F4をやっていたんですが、所属していたチームが撤退するということでお声を掛けていただいて、そこから大変お世話になっています。(SUPER GTに)デビューして、コロナ(ウイルス禍)でなかなか従来どおりのスケジュールで進まないなか、クルマも初めてという状況で右も左も分からないまま(チームに)加入させていただいたんですけれども、監督はじめ、一緒に組んでいる吉田(広樹)選手やチームのメカニック、埼玉トヨペットの会社のみなさまに教えていただいたり、助けていただいたりということが非常に多かったです。だから、しっかり結果として返していきたいと思っていながらもなかなか一歩届かずというのがここ3年続いていたので、それが今回、このようなチャンピオンという形で残せたことが非常に嬉しいです。今日はスタートを担当していたんですが、最後に吉田選手がチェッカーを受けた後に、メカニックみなさんの笑顔とかチームのみなさんのホッとした顔を見られたのが非常に嬉しかったなと思います。
今回は陽が出る方向というよりも影ってくれた方が僕らとしてはいい方向にいくのかなと思っていたら、結構影ってきてくれたので、いい方向に進めばなあと思っていました。僕らは7番手(スタート)だったんですけど、その前後にいるクルマが僕らよりもストレートが速かったので、序盤はついていって“どこかでチャンスがあったら”と思っていたんですけど、作戦として(タイヤ)無交換を選んでいたのであまり無理もできませんでした。ストップ&ゴーのコースということもあって、ブレーキングで入るところでは離れてしまうということが続いていたので、序盤は厳しいなという状況で見ていました。雨もまじってきたところで若干チャンスがありそうだったんですけど、その矢先に前から何か分からないんですけど“モノ”が飛んできて、ボンネットに当たって……若干、冷や汗はかいたんですけど、クルマ的にバランスは問題なかったので、なんとかそのまま、タイヤをうまく残しながら、吉田選手にバトンをつなぐことができました。ただ、ペース的にはもう少し速いペースで走れていたと思うんですけど、結構引っかかってしまったので、そこはもったいなかったかなと思っています。
今シーズンを振り返っていくと、前半はウエットのレースが多かったと思うんですけど、中断とかいろいろあったりするなかで、その前半の富士と鈴鹿で表彰台を連続で獲れたというのがまず大きかったですね。次の鈴鹿(第5戦)がリタイアに終わってしまったんですけど、それを抜くと、トータルしてポイントをしっかり獲れたシーズンでした。過去3年を見ても、獲りこぼしがあって、最終戦のもてぎでチャンピオン争いに残れてはいるものの、追う立場で、かつポイントも離れていて、“だいぶ厳しいな”という状態で毎年(最終戦に)入っていたので、そういう意味でシーズンをとおして考えると、安定したポイント圏内で走れていたというのが非常に大きかったかなと思います。
僕も(青柳)監督と同じように(ターニングポイントは第6戦の)SUGOかなとは思ったんですけど……クルマ的にどうしても得意不得意があって、僕らとしては富士が得意なんですけど、今シーズンを振り返ると、意外と富士よりもほかのコースの方が成績が良くて、それがクルマなりの進化だったり、違いが出ているのかなと思います。サクセスウェイトがハーフポイント(2〜6戦より係数が半分)になる手前(のSUGO)を勝って、ハーフポイントになったオートポリスでまた勝てたということが非常に大きかったかなと思います。
青柳 浩 監督
「SUPER GTに参戦して7年でGT300の頂点に立てたことは本当に嬉しい」
(SUPER GTでタイトルを獲得できたことは)夢にまで見た舞台です。(自動車)販売店の人間としてモータースポーツにチャレンジをして、まだまだ獲得が難しいタイトルだと思っていたのですが、SUPER GTに参戦して7年で、このGT300の頂点に立てたことは本当に嬉しく思います。すごく光栄なことですし、こういうディーラー(自動車販売業者)が活躍することでモータースポーツを盛り上げていく一助を担えたらなと思っていたので、本当に嬉しく思っています。
レースが始まる前から、チャンピオン(獲得)に向けて非常に有利な条件のなかで、チームとしては“(チャンピオン争いの)対象である2号車を意識してやるよりは自分たちのやれることを淡々とやっていこう”という気持ちで臨んだレースのなかで、ドライバーのふたりがそれをしっかり理解して……吉田選手は闘争心でイキすぎてしまうところがあるんですけど、その闘争心を抑えて冷静にレースを運んでくれた結果、今回の結果に結びついたということだと思っています。
やはり今シーズンのなかで一番、僕らのチーム順位を含めて大きく方向性が変わったのは(第6戦の)SUGO大会だと思います。盤石なレース運びができて、チェッカーの数メートル前まで1位を確信しているなかで18号車に逆転されて……“天国から地獄、天国へ”みたいなことで記事にもしていただいたんですけれども、あそこで優勝というかたちで大きく前進できたことがポイントの面でも、シリーズ(チャンピオン)を獲る大きなきっかけになったタイミングだと思っています。あれだけしっかりとウチのエンジニアが作戦を立てて、燃費も計算して(レースを)進めているなかで、(燃料の)流速に少し計算違いがあって、最後にガス欠という結果になってしまったんですけれども、“最後まで油断しちゃいけない”ということを思い知らされたレースでした。結果として、あの時、一番チェッカーを受けた18号車が車検というところで(失格となり)、我々としては“拾わせてもらった”レースであるものの、あそこのSUGO大会で勝って、シーズンに向けて大きく飛躍できたというのが一番思い出に残っている、ポイントになった大会だなと思っています。
4/13-14 | Round1 OKAYAMA | |
5/03-04 | Round2 FUJI | |
6/01-02 | Round3 SUZUKA | |
8/03-04 | Round4 FUJI | |
9/21-22 | Round6 SUGO | |
10/19-20 | Round7 AUTOPOLIS | |
11/02-03 | Round8 MOTEGI | |
12/07-08 | Round5 SUZUKA |