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2014.01.15
2013年SUPER GTマシンを振り返る Part 3 GT500 “LEXUS SC430”

2013年SUPER GTマシンを振り返る Part 3 GT500 “LEXUS SC430”の画像


OFF SEASON SPECIAL -3-

シーズンを通した安定した速さ。その姿もほぼ不変

 

 2014年シーズンを前にSUPER GT参戦のマシンを振り返る企画の第3回目は、GT500クラスのチャンピオンマシンとなったLEXUS SC430を取り上げる。SC430はタイトルだけでなく、2013年シーズンの全8戦で4勝を挙げ、勝率5割の最多勝マシンともなっている。 

 強いマシンは変化しないというセオリー通りに、様々なトライをしたGT-RやHSV-010 GTというライバルに較べ、2013年のSC430の外観には1年を通じて大きな改変はなく、コースレイアウトやドライバーやチームの方向性による小さな変化しかなかった。マシン開発を担当したTRDのエンジニアも「空力やサスペンションにはドラスティックな変化はなく、昨年(2013年)の課題だった駆動系の熟成に注力しました」と語り、空力面では前年をベースによりドライバビリティを向上する方向を目指したようだ。また、シーズン途中に投入された空力パーツには外から“見えない”ものもあったという。

 

 

○ボディワーク

 

Rd.1 OKAYAMA No.6 ENEOS SUSTINA SC430

 


Rd.8 MOTEGI No.6 ENEOS SUSTINA SC430

 


Rd.2 FUJI No.38 ZENT CERUMO SC430

 


Rd.7 AUTOPOLIS No.38 ZENT CERUMO SC430

 

先の2回では細部を見てもらってから全体を見直したが、今回はまず全体を見てもらおう。開幕戦岡山と最終戦もてぎのNo.6 ENEOS SUSTINA SC430だが、見た目ではその差はまず分からないだろう。第2戦富士と第7戦オートポリスのNo.38 ZENT CERUMO SC430のサイドビューもほとんど同じ。差といえば、第7戦では暑さ対策でルーフの上に車内に空気を入れるダクトが少し出ている程度。空力パーツの違いをこの写真で見分けることはまず無理だ。

空力性能を極めてくると車種が違ってもボディワークが似てくるもの。だが、GT-RとHSV-010 GTと違うSC430独特の特徴的な点と言えば、フロントフェンダー横、タイヤの後ろにスリットがないこと。またリアフェンダー後方がすべて覆われておらず、タイヤの後ろのボディに縦のスリットが入っていること。バックミラーは小さめで、形状がシンプルであること。見た目ではこの3点であろう。

 

 

○フロントバンパー


Rd.1 OKAYAMA No.6 ENEOS SUSTINA SC430

 


Rd.8 MOTEGI No.6 ENEOS SUSTINA SC430

 

2013年のSC430で(これでも)もっとも目立つ外観の変化は、フロントバンパー両サイドのカナード(小翼)状の突起だ。開幕戦のものは比較的小さいが、最終戦では少し張り出しが大きくなった。また、突起のないものもコース、セッションよっては選べたようだ。

 

 

○フロントスポイラー


Rd.2 FUJI No.36 PETRONAS TOM'S SC430

 


Rd.5 SUZUKA No.39 DENSO KOBELCO SC430

 

普通に見ただけでは分かりにくいが、SC430の開発陣がこだわって改良を加えていたのが、フロントスポイラーの両端の形状だ。開幕戦から第3戦セパンまでは、端が丸く下に曲げられていたが、第4戦SUGO以降はストレートになり端にはH型のパーツが付けられた。大きくはないのだろうが、フロントのダウンフォースが増して課題であったハンドリングの向上に役立ったと思われる。

 

 

○リアウイングステー

Rd.2 FUJI No.36 PETRONAS TOM'S SC430

 


Rd.1 OKAYAMA No.37 KeePer TOM'S SC430

 


Rd.5 SUZUKA No.37 KeePer TOM'S SC430

 

2011年からSC430が先駆けて採用した“スワンネック(白鳥の首)”型のリアウイングステー。ウイングの下面に効率よく空気を通すことで高ダウンフォース/低ドラッグを実現する。第2戦富士でのNo.36 PETRONAS TOM'S SC430ではウイング上面とステーのすき間がないほどいっぱいにウイングが寝かされている。これに対し、No.37 KeePer TOM'S SC430の第1戦岡山、第5戦鈴鹿では同じくらいの角度がつけられている。テクニカルの岡山でも意外にウイングを立てていない。この辺にSC430の強みがあるのかもしれない。

 

 

ルーフの室内通気口


Rd.3 SEPANG No.39 DENSO KOBELCO SC430

 


Rd.6 FUJI No.6 ENEOS SUSTINA SC430

 


Rd.6 FUJI No.37 KeePer TOM'S SC430

 

コックピット内の熱対策としてルーフから車室内に空気を採り入れるダクトは、第3戦セパンや第5戦鈴鹿1000kmなどの暑いレースで使用される。9月の第6戦富士では、No.6 ENEOS SUSTINA SC430は使用、No.37 KeePer TOM'S SC430は使用しないとチームによって異なっていた。

 

 

※次回は1月23日、Part 4  GT300 “FIA GT3 (1)”をお送りします。

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