All Japan FUJI GT Race
5.2sat / 3sun - FUJI Speedway




☆レギュレーション変更について

 今回、レギュレーションの一部改訂があった。そのポイントは、まずGT500クラスのウェイトハンディが1位50kg、2位30kg、3位20kgに増やされたこと。ウェイトハンディ上限がGT500クラス120kg、GT300クラス80kgになったこと。それから、JAFによる判定規準をクリアしたチーム/マシンについては、リストリクター径の拡大または最低重量の軽減が認められたことなど(正確なレギュレーションについては公式通知を参照)。GT-A事務局によれば、「ウェイトハンディは、前のレースで勝ったクルマを次のレースで勝ちにくくしてシリーズをおもしろくしようという考えに基づいている一方、リストリクターはマシンの性能差を均等化させようという考えに基づくもので、本来はそれぞれ別の発想によるものです。ウェイトハンディについては、従来の数値ではGT500クラスでの効果が薄かったので変更をJAFに提案しました。上限も含めて、各クラスの性能差を考えれば妥当な数値になったと思います」(加治次郎 GT-A事務局長)とのこと。

 なお、今回、リストリクター径拡大または重量軽減ができる対象になったのは以下のマシン。ただし、このうちNo.30、No.55、No.9、No.911は各チームの判断により変更は加えられていない。また、No.7 RE雨宮マツモトキヨシRX7は、レギュレーション上これ以上の重量軽減またはリストリクター拡大ができなくなっている。

GT500クラス
No.6 ESSO Tiger Supra/No.8 FET SPORTS SUPRA/No.30 綜警PORSCHE/No.37 カストロール・トムス・スープラ/No.50 ARTAスカイライン/No.55 STPタイサン バイパー

GT300クラス
No.7 RE雨宮マツモトキヨシRX7/No.9 ワークステーション大黒屋ぽるしぇ/No.10 アビリティポルシェ993GT2/No.60 TOYOTA CAVALIER/No.70 外車の外国屋ダンロップポルシェ/No.71 シグマテック911/No.77 クスコスバルインプレッサ/No.911 ナインテンPCJポルシェ


◎対象チームのコメント

6 ESSO Tiger Supra


卜部治久監督「今回リストリクターの径を変えてきています。実際にやるのはTRDなんですが、コンマ2ミリというのは製作誤差の範囲だそうですよ。4psアップしているということです」



8 FET SPORTS SUPRA
ワイン・ガードナー「リストリクターの変更は聞いている。でもドライブしていて違いは感じないよ」



37 カストロール・トムス・スープラ
伊藤宗治エンジニア「今回のレギュレーションだとリストリクター径を大きくするか、重量を軽くするかのどちらかを選べますが、軽量化にはいろいろおカネがかかるので、リストリクター径を選びました。多少エンジンのセッティングは変えなきゃダメなんですが、金銭的な負担はないですからね。でも、その効果は、ウチのクルマに関してはほとんどないと言っていいでしょう。リストリクター径が大きくなって速くなったところは、足回りと空力のバランスがよくなったんじゃないでしょうか?」



50 ARTAスカイライン
土屋武士「今回がほとんどシェイクダウンですが、クルマとしては素性がいいと思います。まだセッティングの煮詰まっていない段階で、97モデルと同じぐらいのタイムが出ていますからね。リストリクターの径が大きいことで、最終コーナーの上りとかはいい感じだし、ラップタイムでコンマ2秒ぐらいは上がっているような気がします」



7 RE雨宮マツモトキヨシRX7
雨宮勇美代表「ウチのチームの名前は上がっていたんだけど、リストリクターは広げちゃダメだと言う話で、納得がいかない」



9 ワークステーション大黒屋ぽるしぇ
安田 崇監督「低速域をコントロールしているECUが合わなくなるんで、リストリクターはそのままです。たった1mmではアドバンテージにならないですよ。テストもできていないんで、もう少し時間があったらうれしかった。一番いいのは軽量化ですが、おカネがかかる。ほかのチームを重くしてくれたほうが楽ですね」



10 アビリティポルシェ993GT2
金子マネージャー「リストリクターは大きくしましたが、うちのは排気量が小さいですから、他チームほど大きくはパワーアップしてないですね」



60 TOYOTA CAVALIER
平岡寿道監督「もともとリストリクターはついていないので、20kgくらい軽量化しました。ちょっとずつの積み重ねの20kgなんで、人間のダイエットよりも難しいですね」



71 シグマテック911
星野 薫「レギュレーションの変更でリストリクターが大きくなったので、鈴鹿のときよりもパワーアップしてます。うちのがGT300では一番パワーもトルクもあるんじゃないかな。この富士ではこれは武器になりますから、上をねらいますよ」



77 クスコスバルインプレッサ
玉本秀幸「たった1mmのリストリクター拡大ですが、ターボだから違いは出る。でも、他車よりは遅い。体感的な力強さはないけどトップエンドの伸びはあるみたいです」



911 ナインテンPCJポルシェ
高橋規一「リストリクターが1mm拡大OKだと言うんですが、1本18万円するんでしょう? 中速は影響なさそうだし、変えていません」






☆代役ドライバーに聞く

 今回、ル・マンの予備予選に出るドライバーの代わりに、何人かのドライバーがスポット参戦している。そうしたドライバーに話を聞いた。


2 ZEXELスカイライン


ペドロ・デ・ラ・ロサ「今回乗る話があったのはずいぶん前で、NME(ニッサン・モータースポーツ・ヨーロッパ)と日本のニスモから連絡があった。今年はジョーダンのテストドライバーをしているけれど、テストだけでなく(実戦の)レースに出る必要があったんだ。これが今回乗ることになった第一の理由だ。ル・マンにも出たくて1月にバルセロナでテストもしたんだけど、残念ながらニスモのスポンサーとボクのスポンサーのバッティングでレースに参加することはできなかった。スープラとの比較では、メカニカルな部分はスカイラインのほうがよく、スープラのほうは空力がいいと思う。だからまったく互角だよ。スカラインはツイスティーなサーキットに向いているし、スープラは富士のようなストレートの長いコースに向いている。でもスカイラインはドライブが楽しいよ。どちらを選ぶかって? スカイラインだね。コーナーがいいから」



6 ESSO Tiger Supra
アンダース・オロフソン「P-H.ラファネルがル・マンの予備予選に行くため富士のレースに出られなくなった。それでチームから、よかったら彼の代わりに走らないか、と連絡があったんです。とても関心があったので“イエス”と言ったんです。もちろんフェラーリのチーム(No.27 TFCJフェラーリF355GT)にも話したんですが、OKしてくれました。チームとは理解しあっていますからね。(代わりにフェラーリに乗る)アンドスカーはすでにあのクルマに2度乗っているし、チームも彼のことを知っているのでこれが一番いい方法だと思います。私自身はこのあとまたフェラーリに乗ります。スープラに乗るのは今回だけです。クルマのフィーリングですか? エンジンはすごくいいです。ただ、ハンドリングには満足していないので、まだやることはあります。メカニカルグリップが充分ではないんです。前回テストしたときのフィーリングのほうがよかったです。でもあのときの状態に戻せると思いますよ。それは私の仕事ですし」



12 カルソニックスカイライン
ミハエル・クルム「一月ほど前にNMEから連絡があった。星野さんがル・マンの予備予選に行くので代わりに出ないか、とね。テストは1週間前にちょっとしている。スカイラインGT-Rはスープラと比べるとかなり違うね。それぞれにいいところと悪いところがある。でもスカイラインのポテンシャルはかなり高いと思う。昨年のマシンよりかなりよくなっているはずだよ。ただ、ホンダをやっつけるのは難しい。かなり先に行ってしまっているからね。スープラとどっちがいいかって? さあそれを言うのは難しいね。まだその質問に答えられるほど乗ってないから。まだ充分にポテンシャルを把握していないんだ」



23 ペンズオイル・ニスモGTR
ラルフ・ファーマン「昨年4レースだけポルシェで出ましたが、今年も機会があれば日本でGT選手権に出たいと思っていたんです。今回はニスモのレギュラードライバーがル・マンの予備予選のために出られなくなって、ボクが乗ることになったのですが、昨年末にすでにニッサンのテストはしています。昨年、何度かボクからニスモにコンタクトしています。マシンはすごくいいです。ただ、ホンダ勢がすごく速いので、もう少しスピードアップしたいところです。でも、レースは雨になったらなにが起こるかわかりませんからね。ベストをつくしますよ」



50 ARTAスカイライン
加藤寛規「今回は、本山選手の代役なんですが、とにかく壊さないでいい成績で終われればと思っています。開幕戦ではBMW(No.21 ダンロップ-BP-BMW)に乗っていたんですが、それに比べてGT-Rは“ストレートが速いな〜”という印象。コーナーでは加重がジワーッとかかってきて、お風呂のなかで地震に遭っているみたいです。もちろん、BMWもハコなので同じような動きなんですが、GT-Rのほうが重量もあるしエンジンパワーも大きいので、よけいにそう感じるんでしょうね。その分、タイヤがタレやすくもあると思います。だから、タイヤを持たせるように気をつけて走ってるんですよ」

土屋武士「今回がほとんどシェイクダウンですが、クルマとしては素性がいいと思います。まだセッティングの煮詰まっていない段階で、97モデルと同じぐらいのタイムが出ていますからね。リストリクターの径が大きいことで、最終コーナーの上りとかはいい感じだし、ラップタイムでコンマ2秒ぐらいは上がっているような気がします。今回は、チームオーナーとエースドライバーが不在ということで、ボクとしてはGT500でこれだけキチンと走るのは初めてだし、初めてらしく頑張りたい。何をどうしようとか、カッコいいところを見せようとか考えている余裕はないですね、やることが多すぎて。でも、逆にプレッシャーはないですよ、忙しいから。決勝レースでは、諸先輩がたの洗礼を受けるかもしれませんが、なんとか頑張りたいと思っています」







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