■特集:今シーズンの総括、来シーズンの計画
トヨタテクノクラフト(TRD)(スープラ)
佐藤直樹MS事業室マネージャー「ハード面で言いますと、今年に向けての目標は、できるだけ早期にクルマを作り、各チームにデリバリーして、それぞれチームごとの熟成を図ってもらい、スープラの持っているポテンシャルを発揮してもらいたいということでした。そして、レースに強いクルマ作り、タイヤ作りを目指してくれと各チームにお願いしてきました。そういう面での目標はクリアできたと思います。開幕戦で38号車がクラッシュした以降は、レース中にトラブルでリタイヤしたということはありませんし、信頼性も上がっていると思いますよ。
来年の新車に関しては、NSXが新車になって新しい開発要素を盛り込んでくるはずですから、それにはいまから脅威を感じていますね。今年のNSXは去年のクルマですから新型のスープラと互角だっただけです。来年新車になればやはりNSXが速くなると思いますよ。予選タイム、決勝タイムを見ると毎年3メーカーともに1秒ずつぐらい速くなっていて、スープラもその流れには乗っていると思いますけどね。今年速い速いと言われたことも、足回りやタイヤ、空力、エンジン、ボティー剛性と、すべての部分を見直して、積み重ねた結果です。
スープラは、もともとベース車のポテンシャルとして、ホイールベースが短くて、ピッチングしやすい。でも、その部分は変えられませんから、カバーするには、低重心化を図り、重いものを真ん中に集めるしかありません。それでも雨が降るとごまかしがききません。FRだからブレーキング時にリヤがロックするんです。その点NSXはミッドシップで雨には強い。ウェットレースはミッドシップにそのぶんのウェイトハンディをつけてもらいたいぐらいです(笑)。
来年のスープラについては、体制的、台数的には来年も変わらないと思います。02モデルは01モデルの悪いところをまた『チリも積もれば山になる』という感じで改良したものになるでしょうね。すでに7〜8月から基礎データの解析に入り、その後レイアウト検討や詳細な設計を行ないました。風洞モデルも作ってテスト中です。いまはボディを作っている段階ですが、年内にはシェイクダウンしたいと思っています」
ニスモ(スカイラインGT-R)
柿元邦彦監督「今年は全体のクルマのレベルが上がりましたが、相対的にスープラが速くなった分、ウチのクルマはちょっと落ちたかなというところはありますね。GT-Rももちろん進化しましたが、限界に達してきているという感じはあります。もともとGT-RはスープラやNSXに比べて空気抵抗が大きいですし、ダウンフォースを減らして最高速を稼ぐしかありませんでした。また、フロントがヘビーで、全体的には軽くしたいんですが、いずれにしてもリヤが軽くてトラクションが効きません。ストレートを速くというのはやむをえずやっていることです。辛うじて富士だけがGT-Rにとっては得意とするコースですが、5月の富士ではスープラがテストから速くて、クルマを根本的に見直さなければいけないんじゃないかとまで思いました。でも、2回目は勝つことができた。1回目はテストのときのスープラの速さにこちらが振り回されて、セッティングに迷いが出ていたんだと思います。
レース自体も今年は非常に緊迫したものが多くて、ちょっとしたミスでポジションを落としてしまうような状態になりましたね。第5戦までの結果を見ると、その状態が各チームに対してそれぞれ働いていたと思います。今回の最終戦に来るに当たって残念なのは、前回の鈴鹿で4位という絶好のポジションをキープしながら、22号車がアクシデントで結果が残せなかったこと。あれは痛かったです。23号車についてもタイトルの可能性は残っていますのであきらめてはいませんよ。今年の22号車のドライバーコンビについては、もともと田中選手を迎えたことでうまくいくのではないかと思っていました。セカンドドライバーに要求される条件は自分の走りをフレキシブルに変えられること。また安定したタイムでミスなく走れるということ。ファーストドライバーのセッティングというのはトンガっているものなんですが、それに順応できないとダメなんですが、その点田中選手は非常に器用なドライバーだと思いますね。
来年モデルのマシンについては、1月にはシェイクダウンする予定ですが、いまのGT-Rのボディと直6のエンジンを使う以上はハード的にはかなりきびしい状態でしょうね。でも各社ともそんなに大きくステップアップするとは思えません。また、来年は2003年のレギュレーション変更を控えたむずかしい年になると思います。予算が大きいところは来年もバンバンやるでしょうが、ウチはチーム力でチャンピオンをねらいにいきます。予算がないところにとって来年は2003年のための準備の年になりますから。もちろんGT-Rがもともと持っている弱点をカバーする努力はしますが、ミッドシップや4気筒エンジンに対して、同じ努力ではかなわないでしょうね。まぁトヨタとホンダにはシリーズ全体のためにもどんどん新車を出してもらいたいですが、ウチは進化版でやります。それで新型をやっつけるというのも気持ちいいでしょうね。レースというのは、1年間で気候も変わりますし、コンディションとタイヤのマッチングもある。コースによっての戦略もあります。ですからハードの速さがすべてではない。GT-Rもクルマ的に限界と言いつつ、ほかと勝負できると思います」
無限×童夢プロジェクト(NSX)
永長 真プロジェクトリーダー「2003年からレギュレーションが大きく変わるので、2002年はその準備をしながらシーズンを戦わなければならない。開発するほうにとっては非常にタフな一年になると思います。当然来年のための準備はもう始めていますし、それと同時に再来年をにらんでどういうカタチにしていこうかというラフな検討も始めています。ただクルマの作り方が違ってくるし、再来年をにらんだ来年のクルマというのはちょっとないような気がします。むしろ今年の延長としての来年、と。来年のクルマが今年の正常進化だとすると、その最終性能に対して再来年のクルマがどういう位置にあるかは、まだだれにもわからない。そこらの見極めをどこかでやらなければならない。新しいレギュレーションはFR車には有利になっていますが、ミッドシップのクルマに対してはあまりメリットが感じられない。その意味では、いまあるFF、FR、RR、それにミッドシップのクルマの差を縮めたものになると思います。また空力にしても、2003年のレギュレーションがスタートしたとき2002年までのクルマをどうするのか、ハンデをつけるのかどうかというのはまだJAFなどでスタディをやっている段階で結論は出ていません。
NSXの開発については、われわれだけでやっていればたぶんここらが限界だろうということになったのかもしれない。でもライバルがありますから。今年についていえばスープラが非常に速い。夏の鈴鹿1000kmでああいう負け方をして非常にいい刺激を受けました。シーズン後半になって速さを見せることができているのもそいういう刺激を受けたのが結実していると思います。
来年の態勢については今回の最終戦が終わってから今シーズンを総括して来年のことを決めるので、もうすこし時間が必要です。台数については各チームさんとスポンサーとの話し合いで決まることですし、われわれ自身もどうなるのかわかりませんから。
ホンダS2000をGT300クラスにですか? それはどういう目的で、ということになりますが、たとえばいまわれわれがNSXでやっているようなやり方でやるにはそれなりのコストがかかる。GT300でそれをやる意味があるかどうか。ビジネスとして成立しなければなりませんから。いまのレギュレーションではきびしい。NA2リッターで、オープンなので空力的にもつらいところがある。GT300のなかでいい成績を挙げようとすればかなりいろいろやらなければならない。検討したことはあるんですけどね(笑)」
アールアンドデースポーツ(R&DポルシェGT3R)
本島伸次監督「今年はGT参戦1年目ですが、ポルシェはほんとうにすばらしいクルマだということを実感しています。タイサンなどポルシェに関わるチームもいいところが多いですし、改めて奥深いおもしろさを知りました。今年はさまざまなことをポルシェを通じて勉強させてもらいましたね。約2400万円でレースができてしまうのはスゴイし、年間で1回ていどエンジンをオーバーホールするだけで年間OKというのもうれしいじゃないですか。
じつは現在、来年用に“ビーマック”(イギリス製スポーツカー)のGTバージョンで作っているんです。もちろん自信作です。来春の3月にはシェイクダウンを予定しています。国内では3台ほど走っているんですが、来年には市販車として出回ると思います。前回の鈴鹿でも(パドックに)置いてあったんですよ。社内的には、ポルシェでGTをスタートさせる当初から決まっていました。すでにデザインスケッチも、設計も8割以上仕上がっている状態で、JAFにも確認している最中です。
我々がレースにたずさわっている主旨は、自分たちが勝つためだけではなく、レース界全体を活性化、そして発展させていくことなんです。基本はプライベーターが続けられる環境づくりをしたいです。自分でおカネを出して走らせてる人が楽しめない状況はまずいでしょう。ただ単純に速く走らせるのにこだわりすぎて、お客さんに『速いですよ、でも8000万かかりますよ』じゃダメだと思うんです。レースをしたいプライベーターに限りなく手の届く安さに商品(クルマ)をリンクさせていきたいですよね。
メーカーに頼りすぎない、ワークスで成り立っているだけではない、プライベーターも優勝争いに加われるようなクルマと体勢作りが今後の目標です。もっと外車が増えればおもしろくなるだろうし、いつだってお客さんの目線に立っていたいと思います」
RACING PROJECT BANDOH(MR-S)
坂東正明監督「今季は1戦目のTIが間に合わず、2、3戦目はセッティングが決まらず、なかなか波に乗れなかったのですが、富士あたりからあるていどほかと同じ土俵に上がれた気がします。そしてもてぎでは自分たちのかたちがやっと完成し、優勝を果たすことができました。でも、先日の鈴鹿でノーポイントでボロ負けするとは…。なんとかなる気配はあったんですけどね(苦笑)。最終戦はチャンピオンの可能性はなくなったもののもう1回勝ちたいですね。ただ今回は木曜からエンジントラブルでまともに走れてないんですよ。予選までにはなんとかして、攻めるか堅くいくか見極めたいと思います。
シリーズを通して、チャンピオン争いには加われなかったもののチームの全体的なポテンシャルは確実に上がっている実感があるので、来年も引き続きこの体制でいきたいと考えています。再来年は新しいレギュレーションが導入されるようですが、ウチとしてはエンジンの見直しをして、空洞をきちっとして、なおかつ新しいタイヤのためにボディワークを検討したいと思っています。それらについてはシーズンオフに早速つめていきたいです。とにかく今年はクラフト等も含めて『MRSの進化の年』でしたね」
TEAM DAISHIN(シルビア)
大八木信行代表「今年はGTメインで活動していたものの、十勝24時間や鈴鹿1000kmにも参戦して、意外にも相乗効果というか、得たものは大きかったですね。クルマは違うけど、不思議なものでそれぞれにいい流れが作れたんですよ。結果はもちろんのこと、チームの雰囲気などプラスアルファな要素が非常にありました。たとえば長いレースだとデータがたくさんとれて、それがほかの短いレースにも生かせたりするんです。そういう意味で体はきついけど、還元できる部分は多かったです。今年のGTに関していえば、初戦でノーポイントだったのは惜しかったですね。4、5点でも稼いでおけたらと少し悔やまれます。でも勝負に執着しすぎず、ここ2〜3年かけて作り上げてきたチーム体制や雰囲気が結果として見えるようになったのはうれしいですね。このやり方は今後も一貫してたいせつにしていくつもりです。最終戦も結果にこだわりすぎず、自分たちらしいスタイルのレースができればいいですね。いままでやってきたことがどこまで通用するのか、また発揮できるのか、確認と挑戦で今季を締めくくりたいと思っています。来年についてはまだ未定ですが、今年以上にいろいろなことに挑戦していきたいと考えています」
RE雨宮レーシング(RX-7)
河野高男チーフエンジニア(RSファイン)「今年は全体的にそこそこいい状況でしたが、『たられば』が3レースぐらいあったかなあ。クルマは去年よりぜんぜんよくなりました。SUGOでは新車を投入して勝てましたしね。ツキもあったけれど、メカのがんばりでクルマが仕上がったし、みんなのおかげです。メカはいつもよりウンと働かせていますよ。これまで、マシンもエンジンもプライベーターとしての制約があるなかで少しずつ開発をしてきたことが、トータルに今年の結果につながってると思います。
来年はまだ決まってないですけれど、いつもの年より見通しは明るいですね。(今年のマシンの)モディファイ版で早期のテストから参加しようと思っています。12月にTIでヨコハマのテストがあるので参加したいです。そうしてシーズン最初からいい状況でレースができればいいかな、と。ただ、体制もまったくまだ決まってないんで、ウチも外されるかもしれないし(笑)、GOサインが出ないことには勝手にできないですけどね。クルマは、今年をベースにジオメトリー、ブレーキも含めてマイナーチェンジレベルでいきたいです。2003年レギュレーションに関しては、国産勢では唯一メーカーがからんでない完全なプライベーターですから、非常に不利になると思います。そのへんを含めてGT-AないしJAFで考慮したレギュレーションをつくってくれるように願っています。レースをやる以上ポテンシャルの高いクルマでやりたいですし、ホモロゲのあるなかではRX7でやる方向じゃないですか? RX-8はまだわからないですね」
CUSCO RACING(インプレッサ)
加勢裕二代表「今年は手堅いレースを覚えてつまらないリタイヤなくいこうというのが目標でしたが、前半はうまくいったのにセパン以降の後半がくずれてしまいました。最終戦はしめていきたいなと思っています。つまらないトラブルは防げるようになってきました。パーツのライフ管理なんかがだんだんわかってきたんです。目標に対してまあ60〜70%というところかな。もっと高いところをねらいたかったけれど、後半崩れたんでね。通算2台目のクルマなので1台目のいいところが生かされてるし、(チームとしても)レースがわかってきた。3台目を作れればさらにいいところにいけるのではないかな? 97年最終戦から丸3年終えて、だいたいわかってきたところですよ。みなさんが笑うような初歩的なところ、たとえばタイヤ交換のタイミングや黄旗の出たときのピットインのタイミングなどがね。これまではスラローム競技(ダートラ、ジムカーナ)やラリーは相手の見えないタイムとの戦いでしたから。
2002年はまだなにも決まってないです。希望としては新しいクルマ(4ドア・インプレッサ)を夏前ぐらいには投入したい。検討に入って図面は引きはじめているんですが、時間とおカネがあればというところですね。ドライバーなどの体制もまだなにも決まっていないです。2003年からの新レギュレーションはクラッシュテストしなければいけないっていうけれど、その中身が未知数なのでできるのかできないのか判断がつきかねてます。むちゃくちゃにきびしい数値ならウチはできないし、3台も4台もクラッシュテストできるわけないですよ。細かいところのレギュレーションを早く出してほしい。おカネがかかることは(プライベーターには)きびしいので安全性のアップにポイントをしぼってほしい。スポンサーでも付けばいろんなことできるけれど、貧乏チームはダメだね(笑)。ウチはワークスじゃなくてスバルにおカネ払ってるお客さんなんですよ」
910 RACING(ナインテンポルシェGT3R)
安永 孝監督「今年、予選はタイム的に国産トップから1.5秒から2秒近く離されているのが現状です。周回ラップにしても1〜2秒確実に遅い。ウチなんかラッキーで2位になったりしてますけれど、上がつぶれてそうなったみたいなレース。作戦としてムリせず確実にポイント獲るしかないんです。たまたまこれまで全戦ポイントが獲れているけれど、やってておもしろくないよね。クルマの開発はボクらが根本的なところまでできるわけがない。できてきたものをベースにして空力やサスペンションを変更するぐらいですよ。国産勢ばかりじゃつまらないし、外車があってこそおもしろいのだから、そのへん考えてほしいんだけど。理論上はこれでいいらしいけど、ポルシェユーザーにはきびしいし、魅力がなくなってるでしょう。来年以降もできればポルシェでやりたいと考えています。リストリクターを去年なみぐらいにしても、速すぎることはないでしょう。
GT500とGT300の速度差がこれ以上出てくると危険だと思います。いまでもけっこう危ない。レースをクラス別にするか、もっと速度差を少なくしないと。プライベーターにとってクルマが壊れるのはダメージが大きいんですよ。壊してもなんでも速けりゃいいみたいなGT500の一部ドライバーの意識を改めてほしいですよ」
A&Sレーシング(MOSLOR MT900R)
滝川大輔代表「よく1年プライベーターで参戦できましたね(笑)。JGTCのレベルの高いことがわかりましたよ。アメリカのGTレースは1秒のあいだに6〜7台も入るなんてないです。開発のレベルも年間通してどんどん上がってますよね。そこにユニークなクルマで混ぜてもらって、持ってきた状況ではこうなるっていうのがわかったんで、シーズンオフに来年に向けて開発できる体制にしたいです。リストリクターというのはアメリカでは最初理解できなくて、アメリカから持ってきたエンジンにリストリクターつけてやってみて、次はリストリクターに対応した仕様のものをつくったら、これが惨敗でした。それで後半戦はつらい状況になってしまいました。
オフには体制作り組織づくりりから始めたいです。開幕から新しいマシンを投入しますんで、シェイクダウンを行ってエンジンも日本のレースに合わせてパーツも供給してもらえる体制にして、日本のメカによってチューンしてもらえるようにしたいです。日本のレースですからね。タイヤのサイズも大きくなるようで、ヨコハマでレギュレーションギリギリのサイズのものを開発してもらう予定です。ウチのクルマは1号車なんですが、その他に3,4台レースモデルが走っています。ヨーロッパでも年内にフランスのチームで走ることが決まりました。今年は(チーム体制をめぐって)いろいろなことがありましたが、ボクらがこうしてクルマを持ってここに来ているということで、理解していただきたいです。来年は体制も一新して年間で乗ってもらえるドライバー、組織づくりからすべて新しくしたいです」
JLOC(ランボルギーニ・ディアブロJGT-1)
則竹功雄会長「今年はクルマを大改造したわけですが、ボクが1994年からGTのレースにたずさわってきて史上最悪の年でした。でも裏を返せば、ステップアップのための意味ある試練の年だったと思います。マルコ(アピチェラ)からはいろんな角度から勉強させてもらいました。彼はどんな状況でも速く走らせるのがほんとうに上手なドライバーですよ。そしてわかったことは、レースの世界は非常に正直だということ。いいエンジニアやドライバーがいればかならず答えが出るんですね。来年は今年の経験が生かせるような、絶対に今年みたいにならないような方針に上手に変えるつもりです。60%くらいの改革かな? 今季はいままでに2回完走しましたが、ボクの気持ち的には30点くらいでしょうかね。ほんとうはもう少しいいと思ってたんですけど…。再来年の新レギュレーションについても、来年の終わりごろにはランボルギーニのV型10気筒の、コンパクトでパワーあるものが出るらしいので十分に対応できると思いますよ。それと(シリーズ的にも)願わくばいろんな車種が出られるといいですよね。メーカー同士の戦いだけでなく、お客さんが喜んでくれるようなレース体制をさらに作れるといいんですけど」
GTアソシエイション
加治次郎事務局長「GTアソシエイションとしてこれまでも言い続けていることなんですが、レースにはシリーズとして成り立っているものと、ル・マン24時間のように単独で成り立っているものがあります。JGTCはシリーズとして成り立っているものです。GT-Aとしてはシリーズとして充実させていこうと言い続けてきたわけです。
そうした状況のなかで競争が激化したことから生じる問題が、今年ジャッジやレースの運営方法が各レースで異なっているというかたちで表面化してきたのではないでしょうか。ですから、来年以降は、これまでより踏み込んだかたちであらゆる面を向上させていく必要があると考えています。
とりあえずはシリーズを通して共通化したマニュアルを作り、シリーズ全体を大局的に見るアドバイザーを置きたいと考えています。これまでは各レースごとにいろいろな面で差があったのですが、ずば抜けたひとつのレースよりもシリーズ全体が均一のレベルになるよう考えていかなければならないと思います。そのための第一歩がアドバイザーの設置であり、医療、レスキュー態勢の整備です。テストデーも含めて、チーム、ドライバーが安心できる医療・レスキュー態勢を整えていくことが必要でしょう。そのためにGTドクターというグループの機能を明確にして、サーキットともさらに協力していかなければならないと思います。
マレーシアラウンドのシリーズ戦化に関しては、JGTCは日本のトップカテゴリーとして、できるだけたくさんの人に観てもらうことで、モータースポーツ全体の認知度を上げ、地位を向上させていく役割があります。そうするためにはおカネもかかります。日本のなかだけでやっていたのでは、けっきょくローカルなものとしてしか扱われず、地位向上につながりません。そのために海外に出ていくんです。これまで、国際化というと外国のものを日本に持ってきて、それに日本が合わせることしか考えていませんでした。ですが、ほんらい国際化というのはそういうことではなくて、独自のアイデンティティを外国に理解してもらうということなのだと思います。いま、JGTCはいろいろな意味で世界一のGTレースといっていいと思います。これをさらに育てていくために国際化が必要なのです」
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