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2006 AUTOBACS SUPER GT Round4
JAPAN GT CHAMPIONSHIP MALAYSIA
2006-06-24, 25 / Sepang Circuit

Race

2006-06-25

■第4戦
■決___2006-06-25

□入場者数 : 36,000 人
□フリー走行
■決勝レース
11:00 - 11:45
16:00 Start
[54 Laps / 299.268 km]
course ■セパンサーキット
_5.542km

やはりセパンは楽に勝てない!?
ARTA NSXが見事なリベンジ勝利!
今年も緊迫した伊藤vs.ライアンの戦い

6月25日、セパン・インターナショナル・サーキット(マレーシア)で2006 オートバックス SUPER GT第4戦「JAPAN GT CHAMPIONSHIP MALAYSIA」の決勝が行われた。GT500はNo.8 ARTA NSX(伊藤大輔/ラルフ・ファーマン組)がポール・トゥ・ウイン。昨年の悔しい2位を見返す勝利だった。GT300はセパンを得意とするNo.7 雨宮アスパラドリンクRX7(山野哲也/井入宏之組)が、予選3番手から逆転で勝利を飾った。

Race 曇/晴、気温33度/路面温度44度、ドライ

GT500クラス

 決勝は、例年どおり暑さを避けるため16時スタート。上空には薄く雲がかかっていたが気温はこの週末でもっとも上昇し、開始直前で33度、路面温度は44度。しかもレース中に雲が晴れ、さらに気温が上昇するなかでの過酷なレースとなった。

 スタートはほぼ混乱なく切られたが、1周を終えて戻ってきたときにはNo.1 ZENTセルモSC(高木虎之介)が3番グリッドから6番手までポジションダウン。さらに後方ではNo.66 triple a SARD SUPRA GT(アンドレ・クート)が右フロント部を大きく破損してピットに戻ってきた。No.66はNo.6 Mobile 1 SC(飯田章)との接触があり、修復後コースに復帰したものの次の周にはドライブスルー・ペナルティ。クラス最後尾まで下がってしまう。また、No.6も大きくポジションを下げていた。
 ポールスタートのNo.8 ARTA NSX(ラルフ・ファーマン)は、これを尻目に快走。5周を過ぎるころには2番手のNo.22 MOTUL AUTECH Z(ミハエル・クルム)との間に約2秒のマージンを築く。この差はその後さらに広がり、10周を終えるころには約5秒に。No.22の後方にはNo.12 カルソニックインパルZ(ブノワ・トレルイエ)がじわじわと迫り始める。その後ろ、4番手はNo.36 OPEN INTERFACE TOM'S SC430(アンドレ・ロッテラー)、5番手はNo.100 RAYBRIG NSX(セバスチャン・フィリップ)がつづく。
 このころからトップをいくNo.8のピットがあわただしくなり、ガムテープで『Cool?』という文字を作ったサインボードがファーマンに提示される。実はクールスーツが機能しなくなったうえにピットとドライバーを結ぶ無線が通じなくなったのだった。さらに、ファーマンは、この週末、体調が完全ではなく、猛暑の中で体力が持つかどうか心配されていた。だが、ラップタイムは2分02秒台でほぼ安定し、2番手との差に変動はないまま。20周目には周回遅れに引っかかり少し差が詰まるが、その周を終えたところでピットに戻り、伊藤大輔への交代と給油、そしてリア2輪のみのタイヤ交換を終えてピットアウトする。

 これをきっかけとするようにルーティンのピット作業に戻るクルマが出始める。24周を終えたところで、No.100を抜き返して5番手に上がっていたNo.1がピットインし、立川祐路に交代。次の周にはNo.22(クルム>リチャード・ライアン)、No.36(ロッテラー>脇阪寿一)もピット作業を終える。No.22がコースに復帰したとき、No.8との差は約15秒。その後方、No.36との差もやはり約15秒と、ややバラけた間隔でレース後半を迎えることになった。
 その後、31周目にNo.12(トレルイエ>星野一樹)、次の周まで引っぱったNo.24 WOODONE ADVAN KONDO Z(エリック・コマス>柳田真孝)がピットインするとNo.8がトップに復帰。この時点でNo.22との差は約10秒にまで縮まっていた。No.8の伊藤と、No.22のライアンは、昨年もここでトップを争った間柄。伊藤のクールスーツは昨年と同じく機能しないまま。昨年は体力を失った伊藤が最後にトップの座を明け渡す結果となったが、果たして今年はどうなるのか。
 36周目、その差は約8秒。37周目、約6.7秒。41周目、約6.5秒。互いのラップタイムと秒差をにらみながら、2チームのじりじりする神経戦がつづく。周回遅れと出会うタイミングもあって、残り10周を切ったところで、ついにその差は5秒を切り、互いの姿が視界に入るところまで接近する。もっとも接近したところでその差は約3.4秒。

 だが、ライアンの追い上げもここまでだった。残り5周を切ってライアンのラップタイムが少し落ち始めたのに対し、伊藤はペースをキープ。残り1周となった時点で6.3秒のマージンを取り戻していた。最後は5.6秒の差を保ったままチェッカー。昨年、2位に終わった無念を晴らし、今季初優勝を果たした。2位はNo.22。
 3位はNo.12。トレルイエからステアリングを受け継いだ星野一樹が終盤までペースを乱すことなく、後続のプレッシャーもはねのけてGT500クラス初表彰台をゲットした。
 4位争いは終盤もつれた。44周目、No.36のインにNo.1(立川祐路)が入るがオーバーラン。アウト側にいたGT300の車両に接触、スピンさせてしまう。この結果、No.1は右前輪にトラブルを発生したうえにドライブスルーペナルティ。これで4位を確保したかに思われたNo.36にもギアボックストラブルが発生し、ピットに戻ったまま復帰できず。この結果、No.100 RAYBRIG NSX(フィリップ>細川慎弥)が4位に上がってチェッカーを受けた。5位はNo.23 XANAVI NISMO Z(本山哲>松田次生)。けっきょく、トヨタ勢の最上位はNo.25 ECLIPSE ADVAN SUPRA(織戸学>土屋武士)の10位だった。



GT300クラス

セパン・マイスターの面目躍如
雨宮アスパラドリンクRX7が見事なセパン4勝目!!
体力を振り絞った終盤のデスマッチ

 GT300クラスは、ポールポジションのNo.2 I.M JIHAN CO.LTD-APPLE-Shiden(高橋一穂)が序盤から大きくポジションを落とし、No.13 エンドレスアドバンCCI Z(影山正美)が代わってトップを奪う。この背後にはNo.7 雨宮マツモトキヨシRX7(山野哲也)が迫り、7周目にはぴたり背後に。最終コーナーでたくみにパスし、トップを奪った。この2台の差はその後徐々に広がり、トップ争いは膠着状態に陥る。  一方、3番手はめまぐるしく変わった。序盤はNo.110 TOTALBENEFIT GREENTEC BOXSTER(松田秀士)がつけていたが、10周を過ぎて大きくポジションダウン。No.14 ハンコックエンドレスポルシェ(木下みつひろ)が上がるが、14周目にはNo.55 DHG ADVAN FORD GT(池田大祐)が逆転する。No.14はその後少しずつポジションを落とし、代わってNo.27 direxiv ADVAN 320R(谷口信輝)、No.19 ウェッズスポーツセリカ(松田晃司)などが上位に上がってくる。No.55もピットインでポジションを落とし、光貞秀俊に交代した後は5〜6番手を走行することになる。

 トップをいくNo.7は27周を終えてピットイン。井入宏之に交代し、給油、タイヤ交換を終えてコースに戻る。2番手のNo.13は次の周にピットインするが、作業を終えて出て行こうとしたところでエンジンがかからず大きくタイムロス。燃料ポンプのトラブルによるもので、上位入賞圏外に去ってしまった。
 これによって2番手はNo.27(谷口>密山祥吾)、3番手No.19(松田>脇阪薫一)の順に。終盤、トップ3の差は少しずつ近づいたり離れたりするが、テール・トゥ・ノーズに迫るまでは至らず、けっきょく互いに数秒差を保ったままフィニッシュを迎えた。勝ったNo.7 井入はゴールラインを通過すると、すぐにマシンを止めた。彼はクールスーツのトラブルで熱中症状態でダウン寸前だった。一方、追っていたNo.27 密山も同じトラブルで、彼はゴール後に医務室に運ばれ、表彰台を欠席するほど厳しい状態だった。
 優勝したNo.7 雨宮アスパラドリンクRX7はセパンで5戦4勝(シリーズは3勝)。山野哲也にとってはJGTC初勝利もここセパンで、雨宮RX7によって挙げたものだった。