2023年の最終戦を終えたばかりの11月6日、モビリティリゾートもてぎ(栃木県)で、2024シーズンでGT300クラス車両が使用するカーボン・ニュートラル・フューエル(以下、CNF)の走行テストが実施された。
先の最終戦のGTアソシエイション(GTA)定例会見で、坂東正明代表が説明した『SUPER GT Green Project 2030』で導入を進めているCNFだが、すでにGT500クラスでは今季から化石燃料を一切使わないハルターマン・カーレス社製の合成燃料『GTA R100』を使用している。GT300クラスでも同じ物を導入する予定でシーズン前と途中にテスト走行を行なったが、残念ながらGT300クラスへの実戦には導入が見送られることになった。
だが、これらのテストを踏まえて合成燃料50パーセントの「GTA R50」が開発され、この日に実走テストを実施することになった。テストを主催するのは、SUPER GTに参戦するチームで構成されるGTエントラント協会(GTE)で、最終戦を戦い終えたばかりのGT300クラス車両が周回を重ねた。
CNFの『GTA R50』は1台あたり300リッター用意され、No.2 muta Racing GR86 GT、No.30 apr GR86 GT、No.31 apr LC500h GT、No.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT、No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT、No.65 LEON PYRAMID AMGという6台のGT300車両が参加した。
最終戦の決勝レースも雨が振ったり止んだりだったが、昨夜も雨が降った。朝には止んでいたが、早朝の路面はウエットコンディション。それでも晴れ間が出てきて路面は乾いていった。このため午前9時からの予定だった1回目の走行を1時間遅らせ、午前10時から走行はスタートした。
午前の走行では、まずは各車がピットアウト、インを繰り返すショートランを続けて、路面とマシンの状況を確認する。今回、4台は最終戦もてぎと同じドライバーラインアップだったが、2023年のチャンピオンとなったNo.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GTには、第7戦オートポリスで第3ドライバー登録された野中誠太も加わった。
また、No.31 apr LC500h GTは小高一斗がドライブしたのに加え、FIA-F4の2023年チャンピオンを獲得した小林利徠斗(写真下の右)と、最終戦もてぎまで小林とタイトルを争いランキング2位となった中村仁(同の中央)も加わっており、CNFのテストに加え、初めてのSUPER GTマシンを経験している。
この日のもてぎ上空は曇りだが、前日の最終戦同様に気温が大幅に下がることはなく、まずまずのコンディション。また大きなアクシデントやトラブルも発生せず、午前10時からの2時間、午後1時からの2時間のセッションが行われた。
なおトップタイムは午前がNo.65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗)の篠原が1分47秒410を記録。2、3番手はNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)、No.2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)。午後も65号車がトップで蒲生が1分48秒184を記録。2,3番手は2号車と61号車だった。
走行したドライバーたちのコメントを聞くと、GTA R50に関してパワーの面では今季使用していた通常燃料と走行フィーリングの違いは非常に少なかったようで、GT300でのCNF導入に向け大きな一歩となるテストとなった。
■ドライバーコメント
堤優威(No.2 muta Racing GR86 GT)
「新燃料による大きな変化はありませんでした。2022年の最終戦の後にもCNFテストがありましたが、他車種に比べると僕たちはトラブルが少なかったです。ただその時は路面コンディションの変化などがあったので、その点は気になるところです。今回については、タイムも変わらなかったですし、アクセルを踏んだときの印象も変わりませんでした。他の車種もトラブルはなさそうだったので、レースでも使えるように感じています」
小高一斗(No.31 apr LC500h GT)
「違和感はまったくなかったです。公式テスト等でGT300車両がたくさん走ったときには路面がオイリー(滑りやすい状況)になったりしたことがありましたが、今回は6台しか走っていなかったことも関係があるのか、コンディションの変化もありませんでした。問題なく走ることができたと思います」
川合孝汰(No.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT)
「以前GTA R100をテストしたときにはちょっとしたパワーダウンがありましたが、今回は特にありませんでした。ライバルのターボ車からの排気も変化がありませんし、昨日(最終戦のレース)と同じようなイメージで走ることができたと思います。今回、僕たちもショートランが中心でしたが、今後ロングランの時に問題がなければ良いのではないでしょうか」
山内英輝(No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT)
「今回、乗った感じでは、良い意味で(ガソリンと)違いが分からないですね。パワーの出方が少し違う感じはありますが、順調に走行することができました。路面の変化もなかったと思いますね」
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