Round 4
SUGO GT Championship in SPORTSLAND SUGO




Qualify Day Report

Saturday, 25 Oct. 97


556 KURE R33

 金曜日の3回目のフリー走行セッションが始まる前に影山正彦に話をきいた。「スカイラインとしてはよく仕上がってるんだけどね。2セッション走って、スカイラインではNo.2 ZEXELに続く2番でしょ。しかもさっきZEXELはソフトタイヤだったのにウチはハードだったからね。まぁでも、スカイラインは97年モデルでは限界かもしれない。98年モデルに期待したいですね。実際、もう先行パーツを試したりしてますから、例年より早い時期に投入されることになると思います。それはそうとね、今回のレースは荒れるよ、きっと。だって今日のフリー走行も、首都高でレースしてるみたいだったもの。寂しい話だけど、レースは荒れてもらったほうがいいね。状況が悪くなれば、自分がトラブルに巻き込まれる可能性も高いけど、その分チャンスが開けるからね」。
 ところがこのセッションの終了間際に最終コーナーで激しくクラッシュし、マシン前部を大破させてしまった。『荒れる』という予感が早くも最悪の形で現れてしまったわけだが、ドライブしていた影山は軽いむち打ち症状程度で済んだ模様。しかしマシンは修復不可能と判断され、急遽東京から96年モデル(開幕戦で優勝した元ZEXEL号)を取り寄せて予選と決勝に出走することになった。
「ちょっと大袈裟に首にガードをつけてますけど、身体は大丈夫です。マシンは…、まぁガタガタになるまでテスト済みですから(笑)、大丈夫でしょう」(影山)


27 シェル・フェラーリ F355

 美祢の第5戦をNo.28のみで戦ったチームFCJフェラーリ。今回は2台揃い、No.27に太田哲也とハイランドで1回走ったスティーブン・アンドスカーのコンビ、No.28には山崎正弘とフェラーリ・チャレンジ・ジャパンのトップランカー、パトリック・バンスクートのコンビがそれぞれ乗ることになった。マシンにはとくに大きな変更はない模様。太田によれば、「トルクが足りないので、ストレート後半はまだいいのだけれど、前半の上り部分はとてもターボ付きのマシンについていけない。それでもここはコーナーでスピードを落とさずに行けるところが多いので、美祢よりはだいぶいいと思う。予選でなるべく前に行って、決勝で早めに逃げないとポルシェに追いつかれると思うから、予選は5位以内を狙います」


57 SiFo Spider Ver.GT

 第2戦の富士に登場したものの、フリー走行でエンジンを壊し出場できなかったルノー・スポール・スピダーが、最終戦にようやく再登場した。SiFo代表の藤井氏によれば、「今回はエンジンとミッションを3基ずつ用意しています」とのことで、スピダーが初めて決勝レースに出場するのは間違いなさそうだ。今回ドライバーは、N1耐久ラウンドで活躍、GTC第2戦ではナインテンポルシェをドライブした砂子智彦と、ミラージュ・レースなどで実績のある吉富章の二人。
 砂子によれば、「今回はとにかく80%の力で走って完走を狙うだけです。なにせパワーは250hpくらいですし、ギアが全然あってないものですから。2速が全然あってないのと、ストレートで4速までしか入らないのがきついですね。他のクルマに抜かれるのに神経を使うので、大変です」とのこと。


100 RAYBRIG NSX

 1回目の公式予選で飯田章がトップタイム(1分21秒805)をマークした。昨年R・シューマッハ(マクラーレンF1GTR)が記録したコースレコードを0.6 秒近く短縮するタイム。高橋国光によれば、「とにかくクルマが乗りやすいんです。童夢のほうは満タンだとアンダーからオーバーに変わるなんて言ってるようですが、ウチのはまったくクセがないんですよ。ガソリンの量もとくに関係ないみたいです。まぁこのコースは、美祢もそうでしたけど、NSXに向いているんでしょう。速いというよりムダがないという感じです。それと6速ミッションが、すごくうまくパワーをのせられるようにセットされているのがタイムに結びついているんでしょうね。今回はソフトめのタイヤを選んでいます。40周程度のロングテストもOKでしたので、問題ないと思います。午後の予選もこのままイケるでしょう」と、自信満々だった。


38 カストロール・セルモ・スープラ

金石勝智「昨日は(セッティングが)森のなかの迷路に迷い込んでました。昨日の状況のままではスカイラインが前にいってたかもしれない」

竹内浩典「やればやるほど深みにはまってたが、9月のここのテストのときのセットに戻したらうまくいった。20分のセッションで時間をうまく使って、タイヤを温めてアタックしました。No.18のタイムは見えたし、No.100のタイムもいけると思う。午後はいくだけいきます。コース状況は悪くないし、路面のグリップも高いと思う。決勝の作戦は思案中。フェラーリに当たらないように(笑)頑張ります。うまいところで抜けるかがポイントでしょう」


8 POWER CRAFT SUPRA

ワイン・ガードナー「マシンのセットアップは長坂さんが昨日やった。自分としてはほとんどそのまま乗ったが、ただ今朝スプリングをハードなものに変えた。これで乗りやすくなって速くなった。長坂さんはやわらかいスプリングのほうを好むようだけど。セッティングにはほぼ満足しているが、あとコンマ2から3秒速くなると思う。午後トラフィックがなければもう一度アタックするつもりだ。タイヤも1セットしか使っていないし。ライバル? 全車だよ。とくにトムスが速い。ホンダもね。チームが一生懸命やっているので表彰台に立ちたい」


25 つちやMR2

土屋武士「やりようによっては他チームも26秒台は出ると思う。ストレートスピードはポルシェも一緒。予選はMR2のコーナーの速さが生かせるけど、決勝はタイヤに優しいポルシェが有利でしょう。シルビアも、コーナーもストレートも速いし、すごくいいと思う。MR2はドッカンターボだから、そこらへんがネック。MR2とポルシェとシルビアがいい勝負になるでしょう。RX7もからんでくるかもしれないし。決勝ではヨコハマタイヤにGT300クラスの今シーズンのパーフェクトをプレゼントしたい。速いクルマはウエイト積んでるから、逃げるのはボクしかいないと思いますが、総合力を含めるとポルシェとの争いになるでしょう」


910 ナインテンポルシェ

玉本秀幸「昨日のシミュレーションでやったとおりのタイム。チームとしての目標はクリアした。No.81ダイシンやNo.25つちやのターボ車がタイムを上げているのは涼しいからでしょう。27秒6はみえないけど、28秒台のトップがねらえればと思う。でも、午後はコースが荒れるのがパターンでだから、タイムはそんなに上がらないんじゃないかな。まあ、2位も3位もローリングスタートだと関係ないけどね(笑)」


26 タイサンスターカードRSR

鈴木恵一「(予選1回目のタイムは)こんなもんでしょう。この重さであそこまで来てるからいいんじゃない。大渋滞だったしね」


60 ワイズダンロップBPキャバリエ

 予選1回目、田中実のドライブ中にドーン! という音とともにマフラーのタイコの部分が破裂した。佐藤久美は、「私が運転しているときに爆発するよう田中さんが時限装置をセットしたのだけれど、ちょっと早すぎて自分のときに爆発しちゃったみたい」と大笑い。一方の田中は、「急にドカーンとフロアの下で爆発したんでビックリしましたよ。タイコのところだけで済んだんですけど、交換パーツがないのでどうしようかと思ってるんです」と、笑顔ながらもちょっと困ったようすだった。


510 RH CERUMO SUPRA

ポール・ベルモンド「富士の第4戦でクルマの調子はすごくよかったし、今回もストレートが長いコースなのでチャンスは十分あると思う。ボクらのクルマは、エンジンだけは97年仕様だけれど、基本は96年モデルなので苦しいことは確か。でも美祢ではとてもきつかったHパターンシフトのハンデがここでは少なくなるので、ぜひともいい結果を残したい。最後のチャンスだしね」


34 STPタイサンアドバンバイパー

千葉監督「前戦の美祢より、リアのホイールを1インチずつ外に出し、それに合わせてリアフェンダーを20mmずつ広げてあります。またリアウイングを2ピースタイプにし、ブレーキも強化しています。ブレーキについては、今後タイサンのポンプを使った水冷装置をつける予定です。昨日のフリー走行で不調になったエンジンはハーネスのトラブルだったようです。なにしろ10気筒だもので、多少おかしくても走れてしまうんです」

松田秀士「さっきホンの少し走っただけなんだけれど、アンダーステアがまだ強いね。せっかくリアはトレッドがひろがって安定したんだけどね。だから本当はやりたくないんだけれど、リアのグリップレベルを少し落としてバランスを取った方がいいみたいだね。まぁそれでも、いろんな問題がクリアになれば、あと1.5秒は速くなると思うよ」


77 クスコスバルインプレッサ

 シーズン当初から噂のあったインプレッサが最終戦でデビューを果たした。キャロッセの加勢裕二代表によれば、「クルマを造るのに時間がかかって、最終戦になってしまいました。図面を引き始めたときから勘定すると1年ぐらいかかっています」とのこと。「出場のきっかけは、ただやってみたかったのと、インプレッサは速いはずと思ったから。ウチはインプレッサでジムカーナ、ラリーのタイトルをとったし、ダートラも他のチームのインプレッサがとってます。もし、このGTCでとれれば全部でしょう(笑)」。
 ベースマシンは4WDだが、キャロッセが独自にFRに改造している。エンジンは水平対向4気筒の2リッターで「パワーは340〜360馬力ぐらい出るはずですが、リストリクターで絞ってますからもう少し低くなっているはず」という。搭載位置はバルクヘッドぎりぎりまで下げ、低重心を心がけている。エンジン以外のボディと足回りは内製。レギュレーション上サスペンション形式は変えられないため、4輪ストラットのままだ。足回りに関しては「ごく普通にセオリーどおりに造っている」とのこと。「ダートラのDクラスの車両を造るよりはラクでした。シンプルなFRですからね。FRのクルマをつくるのはすごく久しぶりなんです」という。加勢本人はラリー歴が約25年。現在もインプレッサで走っているが、「もう15年ぐらい前にAE86とかサニーで筑波や富士を走っていましたよ」と、レース歴もある。このクルマのシェイクダウンも自分で乗ったという。しかし、チームは「ボク以外はサーキットは初めての素人集団」。チーム内では『パドックってどこにあるの? どうやって借りられるの?』とか『ピットの水って飲めるの?』といった珍問が飛び交っているらしい。今後については、「98年は未定ですが、全戦出たいですね」と、意欲は満まんだ。ただし今回は金曜日にエンジンが壊れてしまい、「予備エンジンがないんで、予選と決勝はN1よりもおとなしいノーマルエンジンで走ります」と苦戦は免れそうもない。
 一方、ドライバーの小林且雄は、昨年JUNオート・スカイラインで出場して以来のGT参戦。「シェイクダウンは先週の15日。FRでよく曲がるし、パワーもそこそこ出てるから、感触はいい。シェイクダウンでは1分32秒ぐらいのタイムが出た。クルマの回頭性は結構いい。サスペンションセッティングをしていけばさらによくなるでしょう。今は立ち上がりでオーバーが出やすいから踏めないけど。さすがダートラチャンプを生んだファクトリーのクルマだけにしっかりつくってあるし、ボディ剛性はかなりある。シャープな動きですよ」と、かなりの好感触をつかんでいるようすだった。


7 RE雨宮SuperG RX7

山路慎一「クルマはなにも変わっていないのにフィーリングがかなり変わってしまった。原因は不明。初期アンダーがすごくて、最終コーナーの飛び込みの『チョンブレ』はアウトに飛んでいくような危ない感じ。クルマがいうことをきいてくれない」


39 デンソーサードスープラGT

谷川達也「クルマのセッティングは決まってきたんですけど、タイムが出ないですね。ハンデの重さはとくには感じないんですが…。とりあえずNo.36の前ですけど、真後ろですからねェ。明日はスタートで正美さんにできるだけ引き離してもらわないと、ボクには少し荷が重いかな。でも、前回の悔しさをはらすためにも頑張ります。No.36もハンデが重いから、お互いに我慢のレースになりそうですね。ピット勝負になったら、ウチはいつも速いんで、そこで勝ちたいです」


36 カストロール・トムス・スープラ

ミハエル・クルム「予選9位というのはあまりうれしくない。午前中はエンジンに少し問題があって、午後はこれを替えてタイムを出した。あとコンマ1秒速ければNo.39の前に出られたのに残念だ。90kgのハンデは上りとブレーキにきつい」

ペドロ・デ・ラ・ロサ「明日はいい結果が出ると信じている。クルマはコンスタントにタイムが出るので決勝は大丈夫。90kgのハンデはあるが、そんなに心配はしていない」


38 カストロール・セルモ・スープラ

竹内浩典「午後はセッティングを変えたけど、タイムは変わらなかった。ただ、決勝セットはいいバランスが出ている。NSXは決勝セットでコンマ5秒以上速いんで、正直、関谷さんのところを含めたスープラ2台はつらいかな。でも、決勝はなにがあるかわからないから、くっついていく。後ろで熾烈なチャンプ争いをしてもらって、関係なく前でトップ争いをしたい。チャンプは関係ないんで暴れようかな。去年のハイランド以来勝ちがないんで、あとは運。いつ勝ってもおかしくない状況にはあるんです」


37 カストロール・トムス・スープラ

鈴木利男「クルマはとくに問題はない。今回は関谷さんの番なので、アタックもセッティングもおまかせしました。今回はセルモが勝つかなと思ったけど、上にいったね。でも、NSXは速いね」





正式予選結果



Pole Position Interview



Pole Position - No.100 RAYBRIG NSX
No.100 RAYBRIG NSX(総合予選1位)
高橋国光「おかげさまで最終戦でポールポジションがとれてうれしく思います。飯田章選手がかなり頑張ってくれましたし、マシン的にも、シャシーやその他の部分がすばらしくて、成果が出せたと思います。結果だけがすべてですから、前回の美祢の2位以上の結果を出せればと思っています。どこのチームも最終戦はかなりエキサイトして激しい戦いになると思いますが、そのなかで我々もアンラッキーなことにならないよう、頑張りたいと思います。最近どこのサーキットでも追い抜きが難しいので、やはりフロントローというのは有利ですから、明日は逃げるレースができれば一番いいですね。僕の若干マイナスの分、章にドンドン逃げてもらってプラスしてもらおうかなと思ってます(笑)。とにかく、このサーキットにNSXが合っている気がするんです。乗りやすいですし…。それとエンジンのほうにすごく元気が出てきて、他のクルマとの差があまり大きく出なくなったことも一因でしょうね」

飯田 章「たまたまというか、ポールポジションがとれてすごくうれしいです。クルマのほうもチームのほうもすごくいい雰囲気で、シーズンの後半どんどんいい方向で来ていますので、最後に勝って気持ちよくオールスター戦に出場したいと思います。で、クルムとペドロがチャンピオンとってウチが優勝なら一番いいですね。明日はできたらオープニングラップから逃げて、国さんに渡して、若い走りで(笑)頑張ってもらいたいです。国さん、金曜日からすごくコンスタント・タイムも速いんで、ボクもレースがすごく楽しみです。このサーキットではNSX速いですね。ただ真っ直ぐだけは、ターボ付きや大排気量のマシンのほうがやはり速いです。だからとにかくスタートで前に出ることですね。前に行かれてしまったら抜けないでしょうし。そのへんを重じゅう心得て……、まぁでも楽しいレースができればいいと思ってます。童夢のNSXと2台で逃げて、いいレースがしたいですね」




GT300 Top - No.25 TSUCHIYA MR-2
No.25 つちや MR-2(GT300クラス予選1位)
土屋武士「今日の予選の結果にはすごく満足しています。1戦欠場してしまったためにチャンピオン争いからは脱落してしまったんですが、メカニックが忙しい間をぬってマシンを仕上げてくれたので、とにかくメカニックのために明日優勝というかたちを残したいと思います。クルマの仕上がりはすばらしいんですが、富士の第4戦の例もありますし、レースはなにが起こるかわからないですから、その場の状況を判断してベストをつくすことだけをいつもどおり考えて、頑張ります。予定ではボクが先に乗って、引っ張れるだけ引っ張るつもりなので、最初はガソリン満タンでスタートします。今回はヨコハマタイヤのGT300クラスのパーフェクトがかかっているので、それをとにかく達成したいですね。オールスター戦にも出る方向で話は進んでいると聞いています」