2001 GT INSIDE REPORT NETWORK EDITION
Round4 JAPAN SPECIAL GT CUP Special Report

■特集:GT500/GT300、2クラス混走を関係者はどう感じているか?
JGTCはシリーズが発足した当初から2クラスの混走(95年までGT1/GT2、96年からGT500/GT300)で行われている。それが参加台数の増加、豊富な車種のバラエティにつながり、観客の興趣を盛り上げている。しかし、速度差のあるクルマが同時に走ることで危険性が増すことも事実。ことに最近はGT500のコーナリングスピードが上がり、コーナーのなかでの接触が増えている。ドライバー、チーム関係者はこの点をどうみているのか、何人かに話を訊いた。


No.1 ロックタイト無限NSXNo.18 TAKATA童夢NSX
熊倉淳一監督「GT500のレースに集中しているので、GT300との性能差が開く一方かどうかということはぜんぜんわからないですね。いままでは彼らとのタイム差がどうのこうのということはまったく気にしていませんでした。ただ、GT300でも前のほうと後ろのほうではレベルの差があると思いますね。前のほうを走っている人たちとはそんなに差は感じないけれども、後ろのほう、プライベートと言ったら失礼なのかもしれないけど、そういうクルマと出会ったときはちょっと危ないかなと思います。ドライバーからは『どちらに動くか分からない』とかいう話も聞きます。マナーの問題だと思うんですけどね。GT300の人は抜かれる恐さというのがあると言っているようですし、こちらも引っ掛かったときにはヒヤッとすることはあります。決まったサーキットしか出てこないチームもありますし、ウチもぶつかったことがありますからね。だから、引っ掛かりそうなら無線で『GT300のマシンがいるから気をつけろ』とか指示を出しています。GT300とからむなどのシチュエーションでレースを落とすのはイヤなので、ドライバーにも十分注意させています。
 混走はお客さんにとってはおもしろいと思いますけど、やってるほうにとってはGT300と出くわす場所によって有利・不利もありますし、見ててハラハラするのはたしか。自分たちに有利に働くとよかった、ラッキーだって思うし、立場が変わって不利に働くとなんでそこでってなりますし、その場その場でどうしようもないことですよ。今後どういうふうになっていくかはわかりませんが、分けてレースをしたほうがいいって言ってるドライバーもいるみたいですね。これから議題に上がる可能性もあるかもしれません。私としては決めてもらえば従うだけです。でも、GT300がいるからこそ40何台もエントリーがあるわけですよね。GT500だけなら20台足らずのレースになるし、雰囲気が変わってしまうんじゃないですか。
 だから、もっとGT300に有利なようにレギュレーションを変えてあげればいいと思います。GT500(の性能)を落とすわけにはいかないでしょうけど、スピード差を抑えるのであればGT300に有利なようにしてあげれば、またタイム差もなくなってくるからいいんじゃないですか」


No.22 ザナヴィ ヒロトGT-RNo.23 ペンズオイル ゼクセルGT-R
柿元邦彦監督「昔のグループAがうまくいっていて危ないという話がなかったのは、クラスごとでパワーは違っていたけれども車重も違ったからですよね。その点いまのGTはGT500クラスもGT300クラスも最低重量が同じで、タイヤはGT300が小さくパワーも小さい。そうするとGT300はストレートだけでなく、コーナーもブレーキングも遅くなります。コーナーが同じぐらいのスピードで走れれば危険性はないんですけど。それを解決する方法としては、たとえばGT500を重くするかGT300を軽くするかということがありますが、GT300を軽くするのはかなり予算がかかる。その点GT500はむりして予算をかけて軽くしていますから、GT500を重くするほうがいいかもしれません。2003年には大きなレギュレーション変更があるので、そのときにGT500を100kgぐらい重くするのはひとつの手ですね。とにかくなんらかの方法で二つのクラスのブレーキング、コーナリングを近づけて、ストレートは馬力の差でドーンと違いがあるようにすれば、クラスの違いや性能差がもっとよくお客さんに伝わると思います。ただ従来と違うことをしようとすると反対する人もいますから…。JAFの3部会(レース部会、技術部会、マニファクチャラーズ部会)で議論していますが、現状維持のままでいいという声もあります。そのなかでだれがリーダーシップを取るかという問題もあります。
 それからマナーの問題ですが、それはGT500とGT300というだけでなくGT500どうしでもあります。ドライバーというのはクルマに乗ったら半分理性を失うもので、ボクはそれでいいと思ってるんですけど、マナーが悪いと言われている人はただ注意をしたから直るというものではないでしょうね。ですから、相手のドライバーの性格なども把握していなければダメでしょう。ドライバーの自覚に任せるというのは、電車のなかの携帯電話と同じで、言ってもやる人はやる。すでに功なり名を遂げた人はいいですけど、これからのし上がろうとする人は目立とうとしてがんばりますしね。レースの世界でも名をあげようと思ったら、モラルに訴えてもダメ。そういうこともルールで決めていかないといけないと思っています」


No.25 FK/マッシモADVANスープラ
土屋春雄代表「日本のレースでこれだけ人が集まるレースはないでしょう? だからお客さんが喜んでくれるレースを行うのがいちばんだと思います。混走が多少危険であっても別々に行っては成り立たないでしょうしね。安全面でいえば別々に行うにこしたことはないのでしょうが、レースはもともと危ないのが大前提。ルマンなんてもっと差があっても成り立っているのだから、ドライバーの意識を上げるのが先決だと思います」
織戸 学「ドライバーの意識につきると思います。抜き方も抜かれ方もプロ意識があればなんの問題もないはず。仮にGT300とGT500のレースを分けたとしても各20台以下では観る側はつまらなくなってしまうでしょう。そりゃ自分もGT300のころは走っててトップがわかりやすいほうがいいなと思いましたけどね(笑)。だからたとえば一つの方法として、各コーナーごとにモニターなどを設置し1ラップのタイムがわかったりすると、より観戦してる人はおもしろくなるのでは」


No.38 auセルモスープラ
竹内浩典「すべての面でGT500が上になっているというのは感じますね。通常、混走のカテゴリーっていうのはストレートスピードは大排気量のほうが速くて、ブレーキングとかコーナリングスピードは小さいクラスのほうが速いんですけど、GTはGT500クラスがすべての面で勝っています。危ないといえば危ないですよね、ボクはそうは思ってませんけど。とくにGT300に乗っているとGT500よりも神経を使わないとダメでしょ。これだけブレーキングやコーナーでやられちゃうとね。ボクがGT300に乗っていたときはコーナーではGT500と同等かもしくはGT300のほうが速かったんでいまほど気を使わなくてもよかったんですけどね。
 GT300からするとなんでこんなところで抜いてくるんだって思うでしょうけど、GT500もコーナーでひっかかりたくないってことで、ブレーキングで少々むりしても抜いちゃえってなります。そうなるとGT300がステアリングを切ってきたときに当たってしまって、それでマナーが悪いっていうことにもなると思います。ツーリングカーとしては速くなりすぎていると思うので、GT500もGT300もスピードダウンして、もう少しブレーキやコーナリングでGT300に有利なルールを作らないとGT300の立場がないんじゃないでしょうか。お互いいい状態でレースできるようにしないと。車重を変えるのがいちばん効いてくるかもしれないですね」


No.64 Mobil 1 NSX
ドミニク・シュワガー「まずいえるのは1クラスだけのほうが危険はないということ。でも2クラスでも大きな問題はないと思います。2クラス間の差はありますけど、バックミラーさえ見ていれば問題はないです。経験のあるドライバーとは一度もからんだことはありません。若干のスペースを作ってくれれば抜いていくには十分です。GT300に乗っていたとき(99年/No.26 STPアドバンタイサンGT3R)も一度も問題はありませんでした。マシンが迫ってきたらラインをキープして、ブレーキングも同様にすれば危険はないです。突然ラインを変えるドライバーがいますけど、その場合に危険が生じるんです。ボク自身、経験のないドライバーがドライビングに集中していてミラーを見ていなくて、ボクが抜きかけているのに突然ラインを変えたのでグリーンに押し出されてしまったことがありました。基本的にバックミラーさえ見ていれば危険はないと思いますよ。ストレートのスピードはそれほど違わないですから。
 それに2クラス混走は世界中で行われています。アメリカン・ルマン・シリーズはGT300のようなクルマとプロトタイプカーが一緒に走るわけですから、もっと大きな差があります。それでもうまくいっているわけですからね。速いクルマに乗るドライバーは遅いクルマに注意して、遅いクルマに乗るドライバーはバックミラーを見て、みんなが注意していれば問題はないと思います」


No.88 ノマドディアブロJGT-1
マルコ・アピチェラ「速度差はあるけれど、両クラスのドライバーはそれぞれ注意しなくてはいけない。GT300はGT500が来たら譲るようにレースをしないといけないし、GT500はどこから抜くか選択の優先権を持つべきだろう。ボクも去年GT300クラスに乗っていたときは危ないと思ったことがときどきあった。今後はGT500とGT300のラップタイムの差を少なくすればいいのでは? GT300のタイヤを大きくしてコーナリングが速くなれば、抜くところが少なくなるし危ない。ストレートでの差も出にくい。もし2つのクラスを混走させるなら、違いはあったほうがいい。それかひとつのクラスにするかだろうけれども、そのへんは政治的なこともあるだろうからどうしていいかわからないね」


No.100 RAYBRIG NSX
伊藤大輔「たしかに毎回危ない場面には遭遇するんですけど、いっぱいありすぎて具体的には思い出せないですね。でも、GT300クラスの人にバックミラーをキチンと見てもらうとか、お互いにリスクを背負わないような抜き方、抜かれ方をすれば問題ないんじゃないかと思います。もちろんレースですからお互いにしょうがない場合もありますけど、そういう場合は一概にどちらかを責めることはできないですし、安全のためといってどちらかのクラスだけのレースにしてしまったらおもしろくないと思います。
 ただ抜くときに意思表示がつかめないというのはありますね。そういう場合、小さいコーナーだったらちょっとぶつかるぐらいで済みますけど、高速コーナーだったら致命的なクラッシュになりかねない。だから、GT500はGT500でこっちから抜きますよっていう意思表示が必要だと思いますし、GT300のほうもウィンカーを出すとかいうことだけではなく、ちょっとした動きで示せると思うんです。信用して飛び込んでいったときに違う動きをされると危ないですよ。人間ですからすべてがパーフェクトにいくワケではないですが、安全を考えてどちらかが犠牲にならなければいけない場合もありますよね。GT500でも強情を張らずに我慢しなきゃいけない場面もあると思いますし、GT300が譲ったほうがいい場合もある。レース中はペースを落としたくないですからできるだけお互いタイムロスをしないようにやりたいです。自分のラップタイムとかコーナリングに集中しているとわりを喰っちゃう場合もあるんです。なかには自分のことしか考えない人もいるんですけど、すぐれた能力を持つ人の集まりなんですから、回りの状況も考えながら走らないとダメだと思いますよ。もちろんボクもパーフェクトにできているかというと、そんなことはないんですけどね」



No.3 ユニシアジェックスシルビア
長谷見昌弘監督「いま問題なのは、ストレートや立ち上がり加速だけでなくブレーキングやコーナリングスピードまでGT500のほうがGT300よりも速い点ですね。少なくともブレーキとコーナースピードはGT500とGT300が同じぐらいになるようにすべきじゃないでしょうか? そのほうが接触も少なくなるでしょうし、コーナーの立ち上がりやストレートでGT500がGT300をブチ抜くほうがお客さんも喜ぶと思います。ブレーキングで抜かれるとGT300のドライバーは自信を失っちゃいますよ。GT300にもうまいドライバーは大勢いるんですが、ブレーキング勝負で負けるといちばんプライドが傷つきますから。立ち上がり加速ではいくら差があっても気にならない。グループAのときもディビジョン1から3までブレーキングからコーナーのなかまでは全部同じスピードで、みんなそれぞれプライドを持って走っていましたからね。新人を育てるのにコーナー入り口で抜かれるのは困ります。クルマの差だけでへたな人に抜かれたら自信を失っちゃいますから。
 なぜそういう状況になっているかというと、GT500とGT300で総重量は変わらないけれどもGT300はタイヤが細いからです。コーナリングとブレーキングを同等にするためにはGT300のウェイトを100kgぐらい軽くしたうえでGT500のタイヤを細くするかミゾを切る。それがいちばん安上がりな方法じゃないですか? GT300のチームはお金がないのでタイヤの幅は簡単に広くできないんです。ホイールも新しくしなければいけないしシャシーもやり直さないとダメですからね。GT500のストレートスピードは2〜3年前から変わっていないんです。ラップタイムが上がっているのはコーナーが速くなっているから。それだけクルマがコーナーで安定していて動きがないってことですよ。それよりもパワースライドして立ち上がっていくほうがおもしろいでしょう? タイヤにも負担がかかるのでそれによって戦略もいろいろ考えられますよね。コーナーでクルマが暴れたほうが『おっ、スゲ〜』ってお客さんにも思わせられる。だからGT500はコーナリング性能を落として、そのかわりストレートスピードはいままで以上に上げないと。富士では300km/hを超えないとね。そうするとお客さんが喜ぶんだな。いまはS耐や街乗りのツーリングカーのほうがストレートは速いですから、そうすると観ている人も自分のほうが速いって思っちゃいますからね」
井手有治「レース全体に関してはボクは混走のほうがいいと思っています。自分のクルマより10秒ぐらいラップタイムが速いクルマのなかでレースするのは楽しいですよ。お客さんもGT500とGT300が一緒にやってるレースを楽しみにしてると思います。GT500とGT300の差もいまぐらいでちょうどいいと思っています。
 そりゃあレース中にGT500に抜かれるのはたいへんですよ。いちばんつらいのは自分がバトルをしていて前か後ろにクルマがいる状態でGT500の団体さんが来たとき。自分がロスするかたちで譲りたくはないですけど、GT500をじゃますることもできないので見きわめがむずかしい。たとえば自分が1レースで30周受け持ったとしたら、そのなかでGT500の処理だけで15〜20秒も変わってくるんです。自分ががんばってラップタイムをコンマ5秒上げるのはたいへんですけど、GT500に抜かれるときにコンマ5秒ロスするのは簡単。だからむずかしいんですよ。
 GT500のなかには何人かいじわるに近い抜き方をする人もいます。じゃまをするつもりはぜんぜんないのに結果としてうまく譲るタイミングがないことってあるんですけど、そういうときこっちは悪いなと思いながら走ってるんですよね。なのに抜いていくときに仕返しみたいに幅寄せされたりする。GT500の人がGT300はじゃまだっていう気持ちになるのもわかりますけど、『GT110番』とか、危険なドライバーを訴える場所を作ってほしいです(笑)。マナーの面でみんなが気持ちよくレースできる約束ごとは作ってほしいですね。たとえばボクはレース中GT500のマシンが来たら、自分に余裕があるときは右から抜いてくれとか左から抜いてくれとかいうつもりでウィンカーで合図しています。そうすればたいていみんなわかってくれます。自分もちゃんと意思表示しなかったことでぶつけられたくないですからね」


No.24 JCMタイサンGT3R
松田秀士「最大の問題はブレーキだと思います。いま、GT500のクルマはコーナーでも加速でももちろん直線スピードでも、あらゆる点でGT300に勝っている。とくにブレーキ性能の違いがコーナーのなかでの接触の原因になっているんです。いまのJGTCは(レースの性格が)けっこうスプリントになっていて、GT500もGT300もそれぞれにレースしているから接触に関して一概にドライバーを責められない。とくにGT500のドライバーはメーカーからのプレッシャーを受けてなにがなんでも勝たなきゃいけないと必死になってますからね。
 クルマの性能にしてもGT500を下げろとかGT300を上げろとか、単純には言えないと思います。もうちょっと根本的に考えていかないといけないでしょうね。アイデアとしてはレース距離を長くするというのもひとつの方法だと思います。距離が長ければそれだけ気持ちに余裕が生まれるから、ムリに抜くこともなくなるでしょう。いずれにしても、ドライバーをはじめとする関係者がもっと率直に話し合える場が必要だと思います。いま、ドライバーが一堂に会して話をする場はブリーフィングのときくらいしかない。だからブリーフィングが毎回ダラダラと長引いてまとまりがつかないんですよ。関係者全員からメールでアンケートを採るのもいいかも」


No.31 ARTA・アペックスMR-S
長谷川勇監督「現状ではGT500クラスのスープラより重いんで、クルマを軽くして、追い抜きはコーナーを立ち上がってからできるようにしたらいいね。コーナリングスピードが離れすぎだから、GT300の車重を軽くするべき。絶対スピードはGT500が速いんだから。そうしたらMR-Sとか小さいクルマはファンに受けると思うよ。いまは70kgぐらい鉛のおもりを規定ウエイトとして積んでるわけで、軽くしてもバランスは崩れないでしょう」
新田守男「スピード差はたしかに危ないけれど、GT500とGT300の差をつけてる以上それはしかたない。差を近づけたり区分けをなくすことはプライベーターにとっては不可能でしょう。ただボクは事故が起こる原因はスピード差とは思えない。必要以上に寄せてきたり余裕を持って抜いていってもらえない。GT300のクルマを速くしても、もっとそういうことが激しくなるんでは? 人のモラルの問題が大きいと思うから、ペナルティ与えるしかないでしょう。サッカーでいうと頭を蹴りあげたりするような明らかな危険行為は罰するべきだと思う。それも1戦2戦じゃなくて、次の年まで尾を引くようなペナルティでないと、タイトルに関係ないヤツはなんでもやると思う」
高木真一「GT300の立場からいうとGT500は全車ライトをつけてほしい。速いのはわかってるし、最近は大人になったから(笑)気をつけてるけど、真横で当てられたこともある。わざわざすれすれ走ったりするドライバーなんかもいるし、マナーがわかんない人が多いよ。GT300のドライバーだって悪気があってブロックしてる人はいないと思う。(以前乗ったことのある)GT500の立場からすると、じゃまだったりは当然あるし遅い人もいる。明らかに危険な人もいる。海外みたいに危険行為をしたら出場停止にしてほしい。失格っていうか1〜2戦出させないぐらいにしてほしい。海外はジャッジとオフィシャルと複数の人が判断して、3ポイントで出られなくなるでしょう。国内でも、たとえば元ドライバーでGTと直接関係ない人が外から見てジャッジしたらいい。あとは、ドライバーからのアンケートを採って『こういう場面で当てられた』なんていうのを出しあってもいいかと思う」


No.55イクリプス オメガ タイサン バイパー
山田英二「バイパーは同じクルマでGT500からGT300にエントリーを変えたわけだけど、クルマが古くなっていますからね。たとえばスープラでも96年型といまのを比べたらぜんぜん比較にならないわけじゃないですか。バイパーも、もうGT500では闘えない状況になってきたからクラスを変えたんです。クラスが変わってもクルマはいっしょですから基本的には変わりません。ストレートは遅くなってしまいましたけど。
 GTが混走で行われること自体はいいと思います。GT300がいなければ台数が少なくなってしまうし、車種も限られてしまっておもしろくないでしょう。そのGT300を支えているのはプライベーターなんですよ。プライベーターがいないとレースがつまらなくなってしまう。GT300にメーカーが力を入れすぎて、ポルシェやフェラーリで走るプライベーターが押し出されてしまってはいけないと思います」


No.77クスコスバルインプレッサ
加勢裕二代表「やはりGT500とGT300を別にしてしまったらおもしろみに欠けるでしょうね。ただペースカーが入ったとき順位が変わってしまうのはなんとかしてほしい。せっかくのいいレースも周回遅れのクルマと一緒になってしまったり、いままではしょうがないなぁとあきらめてきましたけれど、それだけは損した気分ですよ」
小林且雄「混走の態勢そのものよりもドライバーの意識だと思いますよ。たとえばこちら(GT300)があちら(GT500)に譲ったときのマナーがいいと次の場面でも協力しようと思いますからね。逆に悪気はなくてもタイミングよく譲れなかったときに中指なんて立てられちゃうとガッカリするんです。それに(混走は)都合の悪いことばかりじゃなく、前後のクルマをうまく使ってタイムを出したり、抜いたりと作戦も練れて楽しいじゃないですか。やるほうも観るほうもね」
谷川達也「お互いさまだと思うんです。譲ったり譲られたりね。場合によっては相手を利用して抜くこともあるわけで、そうなったらドライバーのモラルのみですよ。GT500だから上、GT300だから下という位置づけではなく、みんなプライドを持ってやっているので、進路を譲ったら次のラインの立ち上がりで空けてくれたりと、いい意味で利用しあえればレースはおもしろくなるじゃないですか。海外には混走レースがいっぱいあるし、鈴鹿1000kmでも外国人ドライバーはわきまえていて、速いクルマはていねいに抜いていくでしょう?」


加治次郎GT-A事務局長
「いまはGT500の開発がタイヤを含めてかなり進んでいるいっぽうで、GT300のほうはそれほどまでは煮詰められていません。また車重に関しては当初GT500は1200kgていど、GT300は1050kgていどを想定していたんですが、さまざまな経緯からGT500が相対的に軽くなって、GT300と変わらないレベルになっています。タイヤのキャパシティはGT500のほうが余裕があるので、そのぶんコーナーやブレーキで差が出ています。台数的にもコースによっては密度が高すぎることがあるかもしれません。以上が私としての現状認識です。
 ただし、2003年からの新レギュレーションでGT500とGT300の性能差をなんとかしようという話にはなっていません。ぶつかったときの安全性をもっと高めようということは考えています。GT300をもっと軽くしろという意見もあるでしょうが、いまのレギュレーションではGT300はポルシェがトップ争いに加われるということを基準に考えているんです。その基準を軽くすると(プライベート勢が中心で大がかりな改造のしにくい)ポルシェがつらくなってしまう。
 そもそもこのレースは混走のあるレースなんだという認識をドライバー、オフィシャルを含めた関係者全員にあらためて徹底していただきたいと思います。スキーにモーグルもあれば滑降もあるように、モータースポーツにもいろいろな種類があるんです。このレースは速さの違う二つのクラスが混走しているレースなんです。うまいドライバーはスピード差のあるクルマでもうまく抜くし、抜かれるほうもうまく抜かれる。ドライバーのホントの評価は一発の速さだけではない。いいドライバーは抜き方、抜かれ方もうまいんです。いちばん危ないのは『(クラスの違う)おまえらはじゃまだ』という意識です。
 二つのクラスに速度差があって、コーナーのなかでも抜きつ抜かれつがあるからこそ観ている側にとってはおもしろい。JGTCは観てもらうためのレースなんですから、その点は忘れていただきたくないですね。たしかに危険性はあるでしょうが、そもそもレースは危険なものなんです。危険性を前提にして、ではどうしたらいいかということを考えるべきです。観ていておもしろいレースをすること、観客を『自分にはとうていできない』とうならせることがプロフェッショナルなのではないでしょうか」



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