11月11日、最終戦の練習走行日となったツインリンクもてぎで、2017年 GT500クラスの新型車両発表会が開催された。会場には、SUPER GTのGT500クラスに参戦するレクサスLC500、Honda NSX-GT、日産GT-R nismo GT500の開発車両が展示された。この3台は最終戦の開催期間中、特別展示会場にて一般の来場者にも公開されている。
冒頭に坂東正明GTアソシエイション(GTA)代表が、来年のGT500規定の概要を説明した。
「現行のGT500車両は、各サーキットのコースレコードを更新しており“世界最速のGT”と称されています。一方で行き過ぎたスピード競争により大事故が懸念されることも事実です。とは言え、我々は技術規定で車両の技術進化に歯止めを掛けようと考えてはいません。ですが、GT500車両のコーナリングスピードは異次元の領域に踏み込んでいると言っても過言ではないでしょう。このため2017年規則ではコーナリングスピードを低減すべく、ダウンフォースを現行車両から約25%低減しました。また、SUPER GTでは地球に優しいレースを目指し、燃費向上につながる2リットル4気筒エンジンの導入、長い距離をより速く走れる高性能タイヤの開発など最新の環境技術に取り組んでいます。さらに安全面でも向上させて、安全性能と環境性能を高いレベルで両立した“世界最速のGTレース”を目指してまいります」
続いて、各メーカーの開発代表者が2017年モデルの概要とテスト状況を説明した。
レクサスLC500を開発するトヨタ自動車株式会社からは、モータースポーツマーケティング部の高橋敬三主査が登壇。 「レクサスの新しいフラッグシップクーペであるLC500で参戦いたします。皆さんにレクサスの新たなかっこよさをお見せできれば、と思います。ここまで4回のテストを経て、3500kmを走ることができましたが、まだ開発と言うより、いろいろな要素がどう変わったかのデータ取りをやっている段階です。これをまとめ、12月、1月のテストに向けて新たな開発を行い、速さを上げていく段階になると思います。やはりコーナリングスピードは落ち、ストレートスピードは速くなっています。ダウンフォースが減った分、クルマ側でどう補うかが開発のキーと思っています。そこを来年に向け熟成させていきます」
本田技研工業株式会社からはモータースポーツ部の山本雅史部長が、新たなマシンであるNSX-GTについて説明。
「これまではNSX CONCEPT-GTと"コンセプト"が付いていましたが、2017年型のNSX-GTは、お客様の手に渡る量産車で、Honda唯一のスーパースポーツである新型NSXと同じデザインをベースにした空力性能が一番のポイントになるでしょう。この量産NSXの高い空力性能をベースに、ダウンフォース25%減を克服し、今年以上の走りができるようにしたいです。空力でNSX-GTは(ライバルを)上回っていくんだという思いで研究所では開発しています。来年もGT500唯一のミッドシップとして、強い意志でチャンピオンを狙っていきます」
最後に、現行車両では2014、15年と連覇し、今年の最終戦もてぎもポイントリーダーとして迎えた日産GT-R nismo GT500を開発するニッサン・モータースポーツ・インターナショナル株式会社の片桐隆夫代表取締役社長が2017年型車について語った。
「来年のGT-Rを敢えて言うと“深化したGT-R”でしょうか。“進化”ではなく“深化”です。ベース車両もGT-Rで変わったわけではなく、中身を煮詰めて、より速く、より安全なクルマにしていく。そういう意味で“深化”としました。これまでにない25%のダウンフォース削減でいろいろなところに様々な影響が出ています。実際にテストで走ってデータを分析すると、思ってもみないことも起きていました。このような“宿題”を開幕までにどこまでクリアできるかに懸かっているかと思います。空力という面では、現行のGT-Rにアドバンテージがあったのかもしれませんが、そのアドバンテージを来季型でも維持、向上できるよう、開幕まで全力でやっていきたいと思います」
また取材記者との質疑応答では、NSX-GTがハイブリッドであるかの確認と先日発表されたNo.15 Drago Modulo Honda Racingの今季での参戦終了について質問があった。これに対してHondaの山本部長は「レギュレーションも考え、今年同様にハイブリッドではない車両で戦います。また来季も5台のNSX-GTが参戦する予定です。ドラゴに代わるチームに関しては、年内に発表できればと考えております」と答えた。
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