GTC 1999 GT INSIDE REPORT
Round1 SUZUKA GT300km



3.20 - Qualify Day #1

Qualify 1st Session

No.1 ペンズオイル・ニスモGTR(1回目 2位)
エリック・コマス「2番手だけど充分満足している。コンディションが難しくてインターミディエイトで走るタイミングがちょっと問題だった。それがうまくいっていれば、あと1秒くらいは短縮することはできたはずだ。ただ、ポールを取れたかどうかはわからないけど。セッションもあと一回残っているしね。ペアを組むドライバーも良い。本山選手は去年のフォーミュラ・ニッポンのチャンピオン。ボクも10年近く前にF3000でチャンピオンになっているんだ(笑)。去年優勝したときもグリッドのポジションはたしか4位だったし、状況は非常にいいよ」

No.81 ダイシン シルビア(1回目GT300 1位)
福山英朗「暫定の(クラス)ポールじゃなんにもいえないんだけど、今日はいいチャンスにいけたね。路面コンディションがいいタイミングだった。クルマはトラクションがいい。ドリフトキングは(このクルマを)買うべきだね(笑)。午後の予選はキャンセルじゃないの? 決勝は、『ポイントを確実にとる』というのが今年のスローガンだから。今年はなんでもスローガンにしちゃうからね(笑)」

No.77 クスコスバルインプレッサ(1回目GT300 2位)
小林且雄「GT300クラスのセッションになって路面が回復してきた。昨日とはセットを変えて、セミウエットでは初めての走行だった。安定して走れたけど、ラスト1周のアタック中のヘアピンで目の前のクルマがスピンしてしまって、アタックできず残念でしたね。どうせ重りを積まれるならトップのほうがよかったね。でなければ4番手とか…。マシンのポテンシャルも上がってきてるんで、あとは決勝でミスせず、トラブルなく淡々といくことですね」

No.910 ナインテンポルシェ(1回目GT300 3位)
玉本秀幸「アタックは余郷くんで、まだ決めてないけど決勝スタートもたぶん彼でしょう。クルマの状態もウエットバランスがいい。昨日そのままの状態で走っていてこのポジションですから。このままの天気で決勝までいけば…。個人的には去年乗っていたNo.77(クスコスバルインプレッサ)も上位なのでうれしいです。ポルシェは雨が多少上がっても降っていても安定したクルマなんです。その強みを生かしたいですね」

No.25 モモコルセ・アペックスMR2(1回目GT300 12位)
新田守男「レインで走っていて、スリックに替えて出ていって3周目ぐらいの130Rでいっちゃった…。路面は濡れていて、ちょうど雨が強くなってきたところだった」

No.36 カストロール・トムス・スープラ(1回目 4位)
関谷正徳「予選は3番手までウェイト積まれるの? じゃあ、今のまま(4番手)でいいや。ベストラップを出したときは、実はABSが壊れてたんだけど、基本的にはクルマの調子もいいよ。タイムを出したときは、インターミディエイトを履いていったんだけど、あれはタイミングじゃないよ。読みだよ、読み。読みが良かったんだよ」




☆特集 99年型ニューマシンについて聞く

トヨタスープラ
関谷正徳(No.36 カストロール・トムス・スープラ)
「98年型と99年型を比べると、今までのものが20mm動いてたとすると今年のは15mmという感じ。すべての部分でね。重心が下がったのと軽くなったことでシャープになった部分があるけど、一方メカニカル的にはハンドルを切っても動きが鈍くてアンダーが強いというような部分もある。まだまだ煮詰めが足りないから今の時点ではなんとも言えないね。もっとこのクルマの性格を知らないといけない。いろいろ試していかないとわからないんだけど、走る時間が少ないからね。エンジンのフィーリングは違ってるね。今年のもののほうがレスポンスが良くなっていると感じる。だからコーナーの立ち上がりはいいよ。ただパワー的には、クルマを軽量化した分リストリクターが小さくなってるから、ちょっと少なくなっているかな? 全体としてはすごく速くなる可能性を秘めているし、素性はいい。これからどんどん良くなると思うし、そうなるように頑張ります」
佐藤直樹(TRD主担当員)
「99年型の一番のねらいは低重心化と軽量化ということです。空力面も風洞実験をかなりやっています。リアウィングは高効率化をねらった形状です。ノーズ下部の形状は、フロア下に空気を採り入れることでグランドエフェクトを企図したものです。フェンダーの形状はタイヤ径を大きくしてスカイラインと同じにしたので、それをカバーするためです。エンジンの吸気口も変更してます。ラム圧効果をねらってるんですが、まだいろいろとトライ中です。エンジンは搭載位置を下に下げてます。後ろには下がっていません。エンジン自体は基本的には一緒ですが、細かいところをいろいろ改良してます。出力はリストリクターで制限されるので、過渡特性を良くしてます。(室内後部のカーボンパネルは)燃料タンクが前のほうに来たので、そのためのファイアウォールです。タンクをホイールベース内に移動した効果ですか? ほかにもいろいろ変更点があるので、それだけの効果というのはわからないんですが、もちろん重心などの点で良くはなっているはずです。サスペンションは前後ともインボード化しました。これはバネ下荷重を軽くしようということですね」


日産スカイラインGT-R
鈴木亜久里(No.2 ARTAゼクセルスカイライン)
「99年型マシンの印象? もうキュウキュウって感じ(笑)。去年がサンザン(R33)で今年がキュウキュウ(笑)。それはもちろん冗談。クセがないし乗りやすいよ。安定感があるしね。素性の良さっていうのは乗ってすぐに感じられるよ。いろんなことに対する反応がいい。セットアップすればすぐに(結果に)出てくる。去年のクルマはなにをやっても変わらないというところがあった。とくにボクの(去年の)クルマは調子が悪かったんだけど、今年はそういう個体差はなくなった。ロールバーの付け根に問題があったらしいけど、具体的にどこをどうしたっていうのはエンジニアに聞いてよ。ただテストではちょっとトラブルがあったし、今日(19日)は雨。明日はもう予選なんで、テスト量がまだ少ないんだけどね。ちょっとアンダーの傾向があるので、これからそのあたりの煮詰めをやっていく。(他車との比較では)NSXは一発はたしかに速いけど、レースでは負けてないと思う。勝っているとは言わないけどね」
岡 寛(NISMO監督)
「R33ではここをやればいいというところをやりつくしていたので、R34では全体的にシェイプアップを目指しました。生産車が剛性アップしているので、それを生かす方向ですね。それから去年は富士が遅かったので、空力の見直しも行ないました。リヤウィングを含む前後の空力バランス、空気の抜き方が変わっています。レギュレーションで最低地上高が45mmと高くなったので、サスペンションも見直しています。(サスの)構造自体は変わっていませんが、ジオメトリーの変更を行ないました。それと、ホイールベースが短くなって回頭性が良くなっています。ホイールベースが短くなったことでブレーキングの安定性が悪くなるという心配もありますが、今のところドライバーからはそういう意見は出ていません。エンジンに関してはやりつくしている感はあるんですが、さらに手を入れています。絶対出力はリストリクターで決まってしまうので、いかにそこまでの到達を早くするか、レスポンスを重視しています。成果は出ていると思いますよ。97年モデルから98年モデルに変わったときのようにガラッと変わった印象はないと思いますが、中身はそれと同じぐらい変わっているんです。
 前回のテストで他社との速さの違いはわかりました。やっぱり一発はホンダが速いでしょう。でも、レースアベレージになったときは日産、トヨタ、ホンダで大きな差はないと思います。ちょっとホンダが抜け出ていますが、そこはドライバーとピットワークで補いたいですね。GTCの観客にはスカイライン・ファンが多いので頑張ります」


ホンダNSX
道上 龍(No.16 Castrol無限NSX)
「新車といってもリア回りのエアロが変わっただけで、クルマ自体は去年のままです。今日(19日)は雨だったのであまり比較できませんが、去年と同じようなフィーリングで乗っています。リストリクターを絞られているのですが、その分空力でカバーしているので、パワーダウンは感じません。コーナーの立ち上がりでもそれは同じです。全体的に良くなっているとは思います。とくに低速コーナーよりも高速コーナーでのクルマの安定性が出てきています。エンジンパワーのロスを空力で補うというコンセプトは、そのとおりになっていると思いますよ」
永長 真(無限 技術部マネージャー)/中村卓哉(童夢 開発部マネージャー)
「97年からやってみて、2年間は充分に使えるということで車体は去年のものを使っています。昨年と比べて変わっているのは空力です。低ドラッグ・ハイダウンフォースということで、98年型をさらに進化させるというカタチです。基本はそのままで、そのなかでできることを開発しています。リア回りのレギュレーションが変わったので、どうせ変えなければならないなら(出力ダウンを)空力でカバーしようという考えで開発しました。エンジンは去年に比べてかなりリストリクターの径が小さくなっています。つまりレギュレーションで出力が抑えられている。リストリクターは直径でいうと1ミリ絞られているんですが、面積では7パーセント減っています。パワーはそこまでダウンはしていませんが、原点復帰まではいっていない。明らかに下がっています。重量も(ライバルより)50kg多く積まなければいけませんしね。それから去年トラブルが出たところ、とくに駆動系の対策は地道にやっています。去年だってやったつもりだったんですが、クルマの使われる条件が想像以上だったので途中で壊れるということになってしまった。今年もその結果をフィードバックしているんですが…。今は試験前の心境ですよ。足回りについては今のところは98年仕様と似たり寄ったりというところです。最低地上高の45ミリ規定に合わせて若干変えた程度で、基本的には98年仕様を踏襲しています。去年速かったといっても、われわれとしてはまだまだ問題点は多いですよ。(レギュレーション改定で狙い撃ちされたと言われるが)もともとこのレースはひとり勝ちしちゃいけないというルールじゃないですか。昨年速かったということで条件をつけられるのは、それはそれで我々にとってもひとつのチャレンジになるわけですからね」


日産シルビア(S15)
福山英朗(No.81 ダイシン シルビア)
「第一印象がカッコいいよね! これでクルマから降りてくるのが40代の親父じゃなくて20代の若者だったらもっとカッコいい(笑)。市販車では3ナンバーから5ナンバーに戻したという考え方もいい。日産らしさが出てきた。乗ってみると取り回しがいいし、なによりいいところはトラクション。S14の倍ぐらいいいね。ドリフトコントロールしやすいから、みんな買おうよ! ボディ剛性が上がったことと、リアの足回りがすごく変わったのでトラクションが稼げてる。クルマの素性としてね。ただ、(レースカーの足回りとしては)フロントはストラットで大きく変えようがないんで、リアについていくようにしたいけれど限られている。だから(リアのグリップを)フロントの最大値に合わせて削っているから、もったいないよね。GT300クラスのレーシングカーは変わりつつあるね。これまでターボ車は、GT500も含めてドッカーンとパワーとトルクが出て、ゴー&ストップで走ってた。それが、ブーストに依存しないで、コーナリングレベルを上げる方向に進みつつある。フォーミュラ的になってきたってことだね。今まではウエットでポルシェが速かったけど、だんだんおいていかれるだろうね。だから乗り方もフォーミュラ的で、フォーミュラしか乗ったことのないヤツでもすぐ乗れる。コーナリング速度を生かしてというタイプ、カートとかフォーミュラしか乗ったことのない脇阪寿一なんか速いよね」
鈴村雅道(NISMO シルビア開発担当者)
「S14とS15は、ベース車両はそれほど大きく変わっていません。その分、今回のマシンを作るにあたってはロールケージを見直してボディ剛性を上げました。当初はS14のパーツを流用できるようにしようかと思っていたんですが、いろいろやりたいなと思うことを始めると結局は多くの部分が新しくなってしまいましたね。とくに大きく変わっている部分はリヤのサスペンション回り。ジオメトリーをかなり変えて、キャンバー変化などをいい方向にもっていくようにしました。エンジンはS14のときからかなりパワーは出ていたと思うんですが、最高速ではMR2などに劣っていました。これはドラッグが大きかったのが原因なんです。そのため今回のクルマはなるべくドラッグを小さくするように、フロントチンスポイラーの形状やリヤウィングを大きく変えました。ここにはスカイラインの空力担当者のアドバイスも生きています。こうしていろいろと改良した効果は足回りやボティ回りには出ていますね。福山さんからは『トラクションが良くなってS字でも今まで以上に踏んでいける』というコメントをいただきました。あとは最高速なんですが、まだドライで走れていないので、ちょっとその部分は分からないんです。これでドライで走って最高速も伸びていれば、かなり良くなっていると思います」


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