GTC 1999 GT INSIDE REPORT
Round1 SUZUKA GT300km



3.21 - Race Day #1

Free Practice

No.100 RAYBRIG NSX(フリー走行1位)
飯田 章「朝はインターミディエイトから最後はスリックに変えたんですけど、コース上にオイルが出ていてスピンしてしまいました。NSXには朝のようなコンディションはきつい。インターミディエイトタイヤも、対応できるコンディションのレンジが狭いので、レースは雨のほうがいいですね。クルマもまだ決まっていません。無限や童夢と比べると、99仕様での走り込みが足りないんです。まだまだデータ不足ですね。だからウチのクルマはほかのNSX以上にアンダーが強いと思いますよ。レースは想像がつきませんね。状況がどう変わっていくかでしょう。でも、ひとつでも前でゴールしたいし、欲をいえば3位ぐらいでフィニッシュしたい。とにかくポイントは獲りたいですよね」

No.18 TAKATA童夢NSX(フリー走行2位)
金石勝智「スリックで出ていって2周目に逆バンクでスピンしてしまいました。なんだか簡単にブレーキがロックしてしまって。寿一が最近ボクに危ないことばっかりさせるんです(笑)。昨日も雨がひどいときにインターミディエイトで行かされたしね」
脇阪寿一「この状況でスリックはNSXにとっては無理がありますね。でも、皮むきをしておきたかったので金石さんにお願いしました。ボクがレインで先に走ったんですが、ピットに入ったときに思いきり『スリック、スリック』って言ったんです(笑)。マシンの調子は金曜日から比べると徐々に良くなって、今日は調子がいいですよ。ただ、天候は朝みたいなハッキリしないのはイヤですね。雨が降るか晴れるか、どっちかになってほしい。微妙なコンディションはNSXにとっては難しいんです」

No.2 ARTAゼクセルスカイライン(フリー走行3位)
鈴木亜久里「タイムを出したときはインターミディエイト。燃料は90リッターぐらい積んでたんじゃないかな? 昨日まではクルマの調子が悪かったんだけど、今日は普通に走れるようになったよ。全然サスペンションが動いていないような感じだったんだけど、全部やり直してもらったんだ。タイヤの摩耗もすごく良かったし、レースでもみんながインターミディエイトでウチもインターミディエイトだったら、ウチはいいと思う。もちろん雨でもOKだよ。予選は9番手でしょ? まぁ、3~4周でトップだな(笑)」
ミハエル・クルム「今朝のフリー走行ではスカイラインのなかで一番だったけど、状況が変わりやすかったし、タイヤ(インターメディエイト)の皮むきをしただけだったので、タイムについて言っても意味はない。ただクルマにはなんの問題もないし、調子はいいよ。いいレースをしたい。目標? 表彰台に登ることだ」

No.88 JLOCディアブロGT-1(フリー走行5位)
和田 久「インターミディエイトのタイヤが柔らかいんで、たまたま出たタイムです。路面は、最後の方はもうスリックでいける状況になってました。決勝はとりあえずスリックを想定してます。あとは状況を見て、浅ミゾにするか深ミゾにするか、タイヤを選択していこうと考えています。セッティングはドライ用のままです。あまり雨がひどくならないといいんですけど…。燃費は昨日の雨のなかでもあまり伸びてないんですよ。なんとか1回ピットでいけるとは思うんですが…。とにかくレース展開がどうなるかわからないですよね。開幕戦だからなにかありそうですし、ペースカーが入るようなことになるかもしれないでしょう。だから最後まで走りきって、結果的に上位にいられればいいですね。今回はまったくトラブルもないし、クルマの調子はいいんです」

No.81 ダイシン シルビア(フリー走行GT300 1位)
福山英朗「予選と同じようなコンディションで、路温と路面にあったタイヤを持ってたということで、たまたま出たタイムですよ。決勝は安定した天候を望んでるし、お客さんにもドライのほうがいいよね。目標としては、新車だし去年もここを落としているんで、5位以内で確実にフィニッシュできれば。ヘビーレインだと結構大変ですね。路温が低いのが問題だね」

No.61 テイボン・トランピオ・FTO(フリー走行GT300 2位)
中谷明彦「クルマはすごくよくなった。(路温が想定より)10度低いから、温度レンジから外したということだね。タイヤの温度はシビアに管理しているんで。決勝も温度がどうなるか運だけだし、気温が上がるのを祈るしかないね。パートナーは実績がある選手なんで、彼でだめなら誰を乗せてもだめでしょう」
ラルフ・ファーマン「いまは慣らしで2周ぐらいゆっくり走って、あとは中谷さんがアタックしていた。こういう(ハコ)タイプのクルマは初めてだし、前輪駆動も初めてだからね。タイヤも2周ぐらい温めないとグリップしてくれない。昨日もちょっとリアタイヤに問題があった。温まらないんだ。今日のほうがいいみたいだね」

No.910 ナインテンポルシェ(フリー走行GT300 3位)
玉本秀幸「天候が味方してくれたね。昨日の1回目の走りはじめと今日のコンディションは、乾きつつあるけど濡れてるところもある感じのチョイ濡れ。(ポルシェは)ウエットでもほかのクルマよりドライブしやすいからね。後半はちょっとコース上にオイルが出てた。ほぼ1周ぐらいに渡ってた。決勝は天気が流動的ですが、雨が降ったらむりしなくても速いでしょう。プッシュしないで黙って走れば、いいところにいけるんじゃないかな。シーズン後半には国産勢が煮詰まってきてつらいだろうから、頑張ります」




☆特別レポート

■GT-Aが『地域交流宣言』活動として大阪府知事と懇談
 去る3月16日にGTアソシエイション(GT-A)の高橋国光会長と加治次郎事務局長が、ドライバーの星野一義氏(TEAM IMPUL)、鈴木亜久里氏(NISMO)らとともに大阪府の横山ノック知事への表敬訪問を行った。
 この訪問はGT-Aが今季掲げた『GT-A地域交流宣言』の一環として行われたもの。大阪府とGT-Aが、ともにモータースポーツや自動車社会と地域社会の交流と自治体の振興活動を結びつける可能性を語るためのものであり、今年の大阪府のイベント参加や将来の公道レース開催の可能性も語られたという。横山知事は、国内A級ライセンスを所持しており、鈴鹿サーキットの走行経験もあるなどモータースポーツへの理解度も非常に高いという。
 この懇談に参加した加治事務局長にこの懇談の内容を、星野一義氏に横山知事の感想を聞いた。

−今回の大阪府知事訪問が実現した経緯を教えてください。
加治事務局長(以下略)「もちろん、今年発表した『GT-A地域交流宣言』に基づいた活動です。私どもとしては、開幕戦の鈴鹿に合わせて、まず関西の自治体を中心に働きかけを行いました。サーキットなどで行ったこれまでのアンケートによると、鈴鹿をはじめ関西のサーキットはハコのレースへの関心がいまひとつなので、それに対するアクションでもあります。そのなかで、大阪府が地域交流という我々の提言に関心を示してくれましたので、今回の知事への訪問が実現したわけです」
−どのような内容を知事と話し合われたのですか。
「横山知事には、我々の『GT-A地域交流宣言』についてご説明し、ご理解をいただきました。そのうえで、GT-Aの持つ資産を地元社会にいかに還元し、交流していけるかを大阪府としてどのような形で実現できるかを話し合いました」
−何か具体的な活動案が出たのでしょうか。
「まずは、今年の9月に大阪で行われる交通安全のイベントにGT-Aとして協力ができそうだということで、現在話を進めています。このほかにも関西空港に隣接する『りんくうタウン』で何かイベント、マシンの展示や写真展、テスト走行などが展開できないかと検討しようと言われています」
−その「りんくうタウン」での公道レース開催という話があったそうですが。
「りんくうタウンで公道レースをやるという話が先にあったわけではないのです。この公共の場所で、大阪府とGT-Aでなにができるかをいろいろ考えているわけです。そのなかの可能性として公道レースもありうるということなんです」
−では、実現は未知数なのでしょうか。
「GT-Aとしては、これまでも実現が難しいと言われたことをひとつひとつ段階を重ねて実現しました。公道レースに関しても同様で、ただの花火というかプランニングで終わらせるつもりはありません。ただ、公道レース実現に関しては、ご存じの通り課題も多くあります。コースプランを作り上げて我々だけが盛り上がっては、これまで机上の案で終わったものと同じになってしまいます。そこで、GT-Aとしては自治体側でも開催してどうメリットがあるか、その後に何が残るかまで、自治体と一緒に考えていきたいと考えています。そして、当然このプランにしても実現を前提に考えているわけです。ですから、条件が整えば来年にできるかもしれませんし、まだまだ長い時間がかかるかもしれない。とにかく、これをひとつのケーススタディとしてじっくり考えていきたいと思います」

ドライバー代表:星野一義(TEAM IMPUL)
「(GT-Aとのイベント展開に対して)ノックさん(横山知事)はすごい乗り気なんだよ。ノックさんの考え方が進んでるんだ。『星野さんの走りにあこがれて、アルファロメオの車高下げて鈴鹿まで走りにいったんです』なんて、そういう年代の人が政治家になるようになってきたんだね」




タイヤメーカーに聞く

ブリヂストン
「ドライ用はソフトとハードと2種類を用意しました。選んだのは、この気温では全車ソフトですね。ウェット用もソフトとハードの2種類。使っているのはやはり全車ソフトです。パターンはインターミディエイトとレインの2種類です。インターミディのほうはミゾの深さは1種類ですが、レインは浅ミゾと深ミゾがあります。選択は状況次第ですね。ほんとうはドライでやりたかったですね。データ収集という意味でもね」

ヨコハマ
「今年からGT300は台数が増えたんで、(ドライ用は)全車同じスペックを履いてもらうようにしてます。2種類用意するとトラックに積みきらないんです。ただ、FFのセリカ(No.19ウェッズスポーツセリカ)だけはソフトだと保たないんでハードにしてます。それ以外はソフトめのものです。ウェット用も1種類です。昨年秋から使っているものを今年用にリファインしています。パターンは今年からレギュレーションで制限されているんで、2種類です。インターミディエイトというのはないんです。ダイシン(No.81ダイシンシルビア)はマッチングが良かったみたいですね。MR2(No.25モモコルセ・アペックスMR2)とインプレッサ(No.77クスコスバルインプレッサ)は今イチ。セリカはどうも良くないようで…。GT500はコンパウンドでいうとドライ用3種類、ウェット用3種類です。ウェット用はそれぞれパターンが2種類ありますから、3×2種類ということになります。ちょい濡れのときはいいんですけど、土砂降りだとどうも…。今回、気温は20度以上のつもりだったんで、15度近く低いんです。タイヤが温まらないんですよ。GT300のほうは面圧が高いのか(想定温度の)40度くらいまでいくんですが、GT500は、昨日の午後のような土砂降りだと20度か30度までしかいかない。決勝は土砂降りにならないことを祈るのみですね」

トーヨー
「GT500に参戦したのは、チーム(No.88 JLOCディアブロGT-1)のほうからオファーをいただいて、JTCCも終わったし、活動の場を広げるという意味でもやろう、と。ダンロップさんの件もありますし、供給するのもひとつの努めだろうということで。今回、ドライ用は(GT500/GT300とも)ソフトとハードの2種類を用意しました。選んだのはディアブロとBMW(No.21 BP-トランピオ-BMW)がソフト、FTO(No.61テイボン・トランピオ・FTO)がハードです。ウェット用はパターンとしては浅ミゾとインターミディエイトの2種類ですね。コンパウンドはやはりソフトとハードがあります。ディアブロとBMWがソフト、FTOは状況によってハード、ソフトを使い分けることになります。場合によってはフロントがハード、リアがソフトということもありえます。ディアブロ用の深ミゾは1セットしかないので、状況によって必要になったら金曜日に1回使ったものを再使用するということになります。パワーに対してクルマが軽いので、雨がひどいとハイドロ(プレーニング)が出やすいんです。だから、あまり雨はひどくなってほしくないですね」

ミシュラン
「日本のGTCには初参戦になりますが、FIA-GT選手権などはやってますから、GTそのものは初めてではないんです。それに、昨年からGTC参戦ということも視野に入れながら開発はやっていました。今シーズンは同じ車種のなかで一番になるというのが最低限の目標ですね。さらにトムスが全体のなかで上位にいける役に立ちたいと思ってます。他のチームへの供給は、ユーザーからの要望があれば考えます。GT300のほうもタイヤとしては用意できます。今回用意したタイヤはドライ用は2種類です。ハードとソフトですが、これは気温が20度くらいまでの温度域での話です。夏になれば、ここでハードと呼んでいるものがミディアムなりソフトなりになるということもありえます。ウェット用もソフトとハードの2種です。ほかにもいろいろと持ってきてはいたんですけど。2種類のなかではソフトを選んでいます。パターンとしては通常のレインとインターミディエイトの2種類です。レインのミゾの深さは1種類だけです。昨日の午後くらいまでの降りなら深く掘り直さなくても大丈夫です。スタートは、このくらいの降りか、これから止めばインターミディエイトでいけます」


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