GT INSIDE REPORT
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GTC 2000
Round2 ALL JAPAN FUJI GT RACE


Special


太田哲也選手の近況
 98年第2戦の事故で重傷を負った太田哲也選手は、のべ約100時間にわたる手術とリハビリを経て、現在はMT車を運転できるまでに回復した。だが、まだ体の一部に機能障害が残っており、依然としてリハビリと手術を繰り返す毎日を送っている。
 99年11月には、主催者、レース運営者らの事故に関しての責任を追及する民事訴訟を東京地方裁判所に起こした。訴えられたのは日本モーターレーシングセンター、ビクトリーサークルクラブ(VICIC)、富士スピードウェイ、FISCOクラブ、日本自動車連盟、テレビ東京と中村靖比古競技長の6団体・1個人。初公判は2000年1月、第2回公判は3月に行われ、被告側は訴えの棄却または却下を求めている。3回目の公判は5月22日に行われる予定。以下は、提訴にあたって太田選手側から発表されたコメントと、各被告のコメントである。


太田選手の提訴コメント

提訴にあたって
平成11年11月12日


 主催者が規則を遵守してレースを運営してくれていたなら、こんな目に遭わなくてすんだのにと思い続けた18ヶ月でした。延べ約100時間にわたる十数回の手術を受け、現在も顔と全身に火傷の跡と重い運動機能障害があります。
 提訴の動機は、「真実を公にしたい」ということです。主催者は、事故原因はドライバーたちにあったと一方的な見解を発表しました。その後、レースを管轄するJAFの調査によって誤りが正されることを期待していましたが、本年九月に出されたJAF調査報告書は、私を含む事故の当事者から事情を聴取することなく、重大な事実誤認を含んだまま、基本的に主催者発表を追随する結論を出したに過ぎませんでした。レースの運営団体、あるいは管轄団体が真実を明らかにしようとしない限り、今後も安全対策が誠実に実施されることはないと考えます。
 かつて私自身、過去の富士スピードウェイにおける重大事故について、その多くが「ドライバーのミスが原因」と結論づけた主催者発表に疑いをはさんだことはありませんでした。しかし、今回の経験から、それらの事故に関しても、実は運営側に過失があった事例が含まれているのではないかと考えるようになりました。疑問を抱かなかった過去の自分を反省すると同時に、このまま黙っていてはいけないと思ったのです。
 日本のレース運営が正しく実施されるようになり、第二、第三の私が出ないことを切望し、私が人生を賭けてきた愛するレース界が真の発展を遂げることを願い、訴訟を提起いたしました。

太田哲也


訴えられた側のコメント

○日本モーターレーシングセンター/VICIC/中村靖比古競技長
「事実関係を含めて、裁判のなかですべて明らかにしていく」(本田耕介VICIC会長)

○富士スピードウェイ/FISCOクラブ
「裁判はまだ始まったばかりですので、これからお互いの主張をはっきりさせていくことになると思います。現時点ではコメントできることはありません」(南沢和也富士スピードウェイ総務部係長)

○日本自動車連盟(JAF)
「事故に関しては『事故報告書』がJAFとしての公式見解です。裁判に関しては現在係争中につき、お答えしかねます」(原島清隆モータースポーツ局事業課長)

○テレビ東京
「現在裁判が進行中であります。私どもの考えは裁判の中で明らかにしていく所存です」(広報部)



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