GT INSIDE REPORT
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GTC 2000
Round3 SUGO GT CHAMPIONSHIP


Special


長谷見昌弘、JGTCから引退
すでに新聞等で報道されているが、去る5月23日、No.3 ユニシア・ザナヴィスカイラインの長谷見昌弘が来季以降はドライバーとしてはJGTCに出場しないことを発表した。昨年の高橋国光に続くベテランドライバーの現役引退表明である。

長谷見昌弘 長谷見昌弘:1945年生まれ。東京都出身。1965年四輪レースデビュー。以来F2, GC, JSPCを始め国内のメジャータイトルを数多く獲得。また、パリダカールラリーやラリーレイドモンゴルに出場するなど様々なカテゴリーのレースでも活躍。JGTCには初年度の94年から参戦し、優勝2回、PP3回。今年の第3戦SUGOまでの通算獲得ポイント275は歴代No.1。

長谷見昌弘(No.3 ユニシア・ザナヴィスカイライン)
3 UNISIA XANAVI SKYLINE
「長いあいだトップで活動してきたのに、この2年マシンが型落ちでしょ。ボクのがまんの限界が2年だったってことですよ。今年も新型が出ないってわかった時点で、挑戦意欲もなくなっちゃったし、年齢的にももういいかな、と。だれにも話さず、ボクと女房しか知らなかったけどね。開幕戦の前に発表しようかと思ったけれど、まだスポンサー契約が正式に決まっていなかったので、それを待って今回のタイミングになりました。ニスモには(事前に)なにもいってない。この発表をしたことで安達(ニスモ)社長はずいぶん気にされていると聞いたんですけれど、ニスモだって日産からおカネが出ないんだし、現状ではしょうがないところもあると思うしね。
 ボクが辞めるっていっても、ハセミモータースポーツとしては(JGTCを)続けますよ。日産とケンカする気はまったくないし、トヨタとかホンダとか、ほかのメーカーでJGTCをやろうという気は全然ない。チームオーナーとしてはちゃんとスポンサーを集めてメーカーと交渉するのも責任。今のご時世でスポンサーもままならないけどね。
 フォーミュラを降りたときはふたつ理由があったんです。ひとつは当時使ってたダンロップがブリヂストンに全然かなわなくて、おもしろくなくなっちゃった。同じ条件でトップを争うレースができないっていう点では今回と一緒だよね。もうひとつは同じタイヤ、同じクルマのE.アーバインに、何回やっても0.2〜0.3秒負けるんですよ。くやしくってしょうがない。でも、M.シューマッハはそれよりさらに0.2〜0.3秒速かった。シューマッハのドライビングの世界はわからないですね。アーバインはその後フェラーリに入って、自分がナンバー2であることを認めちゃったでしょ。あれは、アーバイン自身シューマッハには勝てないっていうことがみえたんだと思うんです。(自分とアーバインの関係は)それと一緒ですよ。
 今は、パリダカにまたいきたいね。前のほうに土煙りがあがってて、あそこまでたどりつこう、あいつを追い抜こうってがんばってると、後ろ姿が見えてくる。そんなことを一日中繰り返してる。JGTCなんか(自分のパートは)せいぜい1時間だけど、一日中レースしてられるんだよ。それが何日間も続く。ものすごく楽しいよ。(2000年型パリダカ用テラノを製作した)NME(ニッサン・モータースポーツ・ヨーロッパ)の日置(NME代表)さんともずっと話してきたし、マメにアプローチしてきたんだけど、NMEも(2001年は)引き上げちゃうんでしょ。がっかりしちゃった。ラリーレイドモンゴルはなんとか出られそうだけどね。今年はできれば息子と乗りますよ。ナビゲーターに払うおカネもないし、そのために去年二輪で出場させたんだから(笑)」


田中哲也(No.3 ユニシア・ザナヴィスカイライン)
「長谷見さんの件は、はっきり聞いたのは発表のときでしたけれど、高橋国光さんの引退のときにそれらしいことをいってました。そのときは本気だとは思いませんでしたけれど。すごい決断で決められたことでしょうし、ボクなんかがなにかをいえる立場でもないんですけど、こういう状態ではなくて、最後なら最後で、他人と同じ道具で全力をつくしてやってもらいたかったなという気持ちは正直いってありますね。そういう意味ではものすごくくやしいです」

高橋国光 GT-A会長
「長谷見ちゃんはホントにレース好き、クルマ好き。辞める必要はないね。辞めろといってもむりだし、アイツのは死ぬまで治らない。治す薬はないよ。星野、長谷見、それとボクなんかはいつまでもやっていたいほうだし、回りから見たらやっていてほしいというのもあると思う。でも、ボクも含めて昔からやっている人たちは、走ることもさることながら日本のモータースポーツ界でやらなければいけないこともあると思うので、みんなで協力していかないと。だからボクは長谷見ちゃんの件は引退とは受けとってない。今まで以上に仕事してもらわないと。思い出? 日産のファクトリー時代から一緒で、本当に兄弟分っていう感じだからね。八王子と小金井で、同じ町内会という感じもするし。いい後輩だなと思って、感謝してます。最近では(二輪の)もてぎの7耐にも一緒に出たしね」

星野一義(No.12 カルソニックスカイライン)
「ずっと先輩として目標にしてきたから、さみしいという気持ちもあるし、その反面お疲れさまという気持ちもあるし…。まあ、長谷見さんには長谷見さんのやり方があって、ボクなんかは一歩引いた立場でやろうと思っても神経がグーっと入っちゃうんだけど、長谷見さんにはゆっくりしてください、ということかなあ。とにかくずっと目標にして『追いつけ追い越せ』でやってきたからね。ボクにとってホントにいい目標だったけど、長谷見さんにとっても2年下の星野の存在っていうのが自分にむち打つ材料になってたんじゃないかな。とにかくお疲れさまでした」



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