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2017.07.13
【SUPER GT基礎講座・第4回】チームとドライバー ~ハイレベルなクルマのプロたち~

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SUPER GT基礎講座 第4回

チームとドライバー ~ハイレベルなクルマのプロたち~

2017年も熱戦が続くAUTOBACS SUPER GTシリーズ。夏休みも間近ということで、「サーキットに観戦に行こう!」と観戦計画を練っている方もいらっしゃると思います。そこで“SUPER GT夏の3連戦 (※)”に向けて、SUPER GTの基礎中の基礎を改めてご紹介します。

第4回のテーマは「SUPER GTに参戦するドライバーとチームの基本」です。

※“夏の3連戦”は7月から8月に行われる、SUGO大会、富士大会、鈴鹿大会のこと。

 

◇ ◇ ◇

SUPER GTに参戦できるチームの条件

 SUPER GTファンのあなたは、なんと7億円の宝くじを当てました。「これでFIA GT3車両を買って、プロのレーシングドライバーと契約すれば念願のSUPER GTに参戦できる……」。
 残念ながらマシンとドライバーだけでは、ダメなのです。ちゃんと資格のあるチームをつくらないと、SUPER GTには参戦することはできないのです。

  SUPER GTを運営している株式会社GTアソシエイション(GTA)は、チームが参戦するにあたり様々なレギュレーション(規則)を定めています。まず、SUPER GTに参加するために必要な事項を定めた「シリーズ参加規定」。この規定で参加するための条件や、必要な資格が定められています。そして、SUPER GTの競技に関して厳格に定めたのが「スポーティングレギュレーション(SpR)」。公式車検に始まり、公式予選、決勝レースといったレースウィークの競技の手順や内容、違反行為への罰則や、SUPER GT特有のウェイトハンディ制もこのSpRに定められています。さらに付随する項目の詳細を定めた「付則」も設けられています。

 

 

 意外と知られていませんが、公式のレースに参加するにはチームにもライセンス(許可証)が必要です。このライセンスはエントラント(競技参加者)ライセンスと呼ばれるもので、日本ではJAF(日本自動車連盟)が発給し、チームの代表者が取得する必要があります。このエントラントライセンスには国内競技用と国際競技用があり、国際レースであるSUPER GTでは国際エントラントライセンスが必要です(参加規定 4)。

 また、実際にレースに出場するとなると、レースの指揮を執るチーム監督、レーシングカーに精通したエンジニアやメカニックは、チームには欠かせません。プロモーション活動ややスケジュールを管理するチームマネージャーや、メディアなどの取材窓口となる広報担当者も必要です(参加規定 5)。
 華やかに見えるレーシングチームですが、その中身は非常にシステマチックで、プロフェッショナルな集団、組織なのです。
 ただ、チームは必ずしも1つだけの組織で構成されるわけではありません。例えば、資金を集め管理するチーム母体となる法人、レースチーム自体を運営するレーシングガレージ、車両やパーツを提供するサプライヤーの3つ以上の組織が組み合わさって存在するチームもあります。

 

 

 このように、GTAでは、SUPER GT各戦すべてでハイレベルなプロフェッショナルによるレースをファンに見せることを大切に考えているので、こうした基準が“SUPER GT”というレースを保つための仕組みになっています。

 

 

SUPER GTを走ることができるドライバーの資格

 ポディウム(表彰台)に上がって大観衆の前で大きなAUTOBACSトロフィーを掲げるレーシングドライバーたちはカッコ良いですよね。
 では「僕もレーシングドライバーとしてSUPER GTに出たい!」と思い立った時、どんな資格が必要なのでしょうか?

 

 

 SUPER GTに限らず、公式な自動車競技に参加するには、自動車運転免許証とJAF(または各国のFIA公認の統括団体)が発給するドライバー(競技者)ライセンスが必要です。運転免許証が取得できない年齢でも、カートで実績があれば特定のレース限定でドライバーライセンスが発行される場合もあります。
 競技者ライセンスにも国内ライセンスと国際ライセンスがあり、競技の実績によりA、B、Cといったグレード(段階)があります。まずは運転免許証を取得し、JAF公認のライセンス講習会を受講して国内Bライセンスを取得し、ジムカーナなどのスピード行事に参加します。そして競技経験をつみ、一定の結果をクリアすると次のグレードに上がれます。
 SUPER GTは国際レースですので、国際ドライバーライセンスのグレードB以上が必要になります(SpR 4.1)。

 

 しかし、国際ドライバーライセンスBを取得したとしても、それだけではSUPER GTに参戦することはできません。次に先程解説した、SUPER GTに参戦するチームにドライバーとして所属しなければなりません。
 また、SUPER GTの1チーム(ゼッケン単位)から参戦できるドライバーは年間で4名までと決められています(SpR 10)。そのため、毎戦違うドライバーが参戦することはできません。
 ドライバーとして“速い”“強い”“マシンを壊さない”“チームの信頼を得られる”。そんなドライバーが必要とされることは間違いありません。

 

 

 あなたは国際ドライバーライセンスBを取得し、SUPER GT参戦チームとの契約も得られました。これで、いよいよ参戦開始……、とはまだいかないのです。
 SUPER GTのGT300クラスに初出場するドライバー、2シーズン以上SUPER GTに参戦していなかったドライバーなどは、初参戦の前に公式テストなどで「ルーキーテスト」を受けなければなりません(SpR 4.2)。テストではGTAのドライビング・スタンダード・オブサーバーが、ルーキードライバーの走りをチェックします。このテストに合格して、晴れてSUPER GTへの参戦が認められるのです。なお、GT500クラスでは所属チームやメーカーによる確認があるため、ルーキーテストは行われていません。

 

 

 ここで紹介したのはドライバーがSUPER GTに参加するための資格を定めた規定の一部です。このように厳しい条件が定められていますが、GTAはハイレベルなレースを行うためにドライバーにも一定の水準を求めているのです。

 

 

チームとドライバーが目指すのはシリーズタイトル

 いかがですか? SUPER GTに参戦するチーム、ドライバーは選び抜かれた存在であることがお分かりいただけたでしょうか?

 そんなチーム、ドライバーにとって最大、究極の目標はSUPER GTでのシリーズタイトル(チャンピオン)の獲得です。SUPER GTには、GT500とGT300クラスのそれぞれに、ドライバーのためのタイトルであるドライバーズチャンピオンと、チームのためのチームチャンピオンの2つがあります(SpR 7.1)。

 

 

 どちらもシーズン全戦で獲得したシリーズ得点(ポイント)を合計して、最多のチームとドライバーに与えられます(SpR 7.5)。各戦では、1位から10位までにポイントが与えられます(下表参照)。
 なお、決勝レースが不可抗力で中止になった場合、先頭車両の周回数が1周以下ならポイントはなしとなります。2周以上で予定周回数の75%未満までなら半分のポイントとなり、75%以上周回できた場合は所定のポイントが与えられます。

 またドライバーズでは、公式予選でポールポジション(1位)を獲得した参戦車両のドライバーにも1ポイントが与えられます。
 チームには、決勝レースの完走車両の周回数に応じて1~3点が与えられます(SpR 7.2)。

 

 

ドライバーズ・ポイント

決勝順位 1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9位 10位
ポイント 20 15 11 8 6 5 4 3 2 1
ポイント
(レース距離 700km以上)
25 18 13 10 8 6 5 4 3 2
※予選ポールポジション : 1pt

チーム・ポイント

決勝順位 1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9位 10位
ポイント 20 15 11 8 6 5 4 3 2 1
ポイント
(レース距離 700km以上)
25 18 13 10 8 6 5 4 3 2

 

決勝レースの走行ラップ数によるポイント
GT500クラス トップと同一周回 1周遅れ 2周遅れ以上で完走
ポイント 3 2 1
GT300クラス トップと同一周回 1周遅れ 2周遅れ以上で完走
ポイント 3 3 1

 

ドライバーズチャンピオンの得点について

参戦したドライバーが、同一チーム(ゼッケン単位)で1シーズンに獲得したポイントをすべて合計します。別チーム(ゼッケン単位)で参戦した場合は、チーム別に合計し、ポイントの多い方を最終成績とします。
同一チームに乗る複数の選手は同一順位となります。また、欠場した場合でも同一車両で同一ポイントの選手は同一順位となります。
 

チームチャンピオンの得点について

チームは車両のゼッケンを単位に1チームとして、1シーズン獲得したポイントをすべて合計します。同じチーム名であっても、ゼッケンが違う別車両として出走すればポイントは別となります。
ドライバーが変わっても、このチームが1シーズン獲得したポイントが合計されます。
 

1シーズンのポイント合計が同点だった場合

1シーズンのポイント合計が同点だった場合は、優勝回数が多い方が上位となります。それも同じだった場合は、2位の回数を比較し、それも同じなら3位の回数と、順次比べて上位を決めます。それでも同じ場合は、ドライバーズにおいては各戦決勝レースの走行距離を合計し長い方を上位とします。それでも決まらない場合はGTAが判定します。

 

 チャンピオンにはシシーズン終了後の表彰式“SUPER GT HEROES”でチャンピオントロフィー(AUTOBACS杯)が授与されます。さらに、GT500クラスのチームチャピオンには経済産業大臣杯、GT300クラスのチームチャピオンには自由民主党モータースポーツ議員連盟杯が、またGT300クラスのJAF-GT規定車最上位チームには国土交通大臣杯が授与され、その栄誉が讃えられます。

 

次回のSUPER GT基礎講座は、
第5回「公正で安全なレースをするために」をお送りします。
お楽しみに!

 

 バックナンバーはこちらから

 第1回 サーキットに行こう! ~7つの開催サーキットを紹介~

 第2回 レースを観戦しよう! ~チケット購入とサーキットの歩き方~

 第3回  SUPER GTマシンの基本を知ろう! ~2つのクラスと多彩な車種~ 

 

 

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