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2019.03.27
【SUPER GT 観戦ガイド 2019】第4回:SUPER GTマシンの基本

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SUPER GTマシンの基本 - 両クラス車両の違いや特徴とは?

 2019 AUTOBACS SUPER GTの開幕を前に、レース観戦初心者やまだサーキット観戦が慣れないという方に向けたSUPER GTの基本情報や楽しみ方をご紹介。
 第4回は「SUPER GTマシンの基本」として、SUPER GTのGT500クラス、GT300クラスの違いや主な特長などをご紹介します。

 

 

■SUPER GTに参戦できるクルマとは?

 SUPER GTに参加できるクルマは“GTカー”ですが、市販車名に“GT”があれば良いという訳ではありません。SUPER GTを運営するGTアソシエイション(GTA)と国際自動車連盟(FIA)/日本自動車連盟(JAF)のレギュレーションによって定められた「グランドツーリングカー」に準じた車両でなければなりません。
 以前は「GTカーは2座席、2ドア」という縛りもありましたが、SUPER GTでは「GTカーのレースを超えたGTレース(つまりスーパーなGT)」として、幅広い高性能車やレース車両が参加できるようになっています。

 

Honda NSX-GT(GT500クラス)

 

 

■GT500とGT300。この車両の違いとは?

 モータースポーツでは、1種類の車種だけで行う「ワンメイクレース」と、複数の車種やクラス(条件)に合わせた車両で行うレースもあります。ワンメイクレースはフォーミュラカーや初心者向けのレースに多く、複数クラスのレースは車種が増えることもあり、ツーリングカー(乗用車)系のレースに多いスタイルです。
 SUPER GTでは、「GT500クラス」と「GT300クラス」の2つのクラスが、同じレースを混走して行う方式となっています。この2つのクラスは“車両規則”が異なっており、それによりGT500クラスはGT300クラスより“速い”マシンになっています。
 GT500クラスはSUPER GTの前身である全日本GT選手権(JGTC)で約500馬力のパワーを持つ車両、GT300クラスは約300馬力の車両という目安から命名されました。現在は車両の進化もあり、この馬力が単純に当てはめられるものではありませんが、クラス名称としてそのまま使用されています。

 

LEXUS LC500(GT500クラス)

 

 

■国内の3メーカーが開発するハイレベルなGT500マシン

 GT500クラスには、現在はLEXUS LC500、Honda NSX-GT、NISSAN GT-R NISMO GT500の車両を国内の3メーカーが供給しています。
 GT500車両は、DTM(ドイツツーリングカー選手権)との共通車両規定「Class 1(クラス・ワン)」に基づいて製作されています。
 エンジンはSUPER GT参戦3メーカーが基本仕様を定めたNRE(ニッポン・レース・エンジン)という2000ccの直列4気筒、直噴シングルターボが搭載されています。基本の仕様は定められていますが、各自動車メーカーが最新エンジン技術を結集し、開発したレース専用のエンジンです。
 このエンジンでは燃焼効率、エネルギー変換効率など、市販車用エンジンの省燃費やエコロジー技術の基本にもなる技術、データが得られ、現代の“走る実験室”にもなっています。

GT500クラス車両の概略

シャシー 共通のモノコックを使用し、ベース車両のデザインを活かす。
空力パーツ

過度な開発競争やコストアップとならないようにリアウイングなどは共通部品を使用。それ以外も自由に開発でき

る場所は規則の範囲内となる。そのパーツも開幕戦で決めたパーツを1シーズン使用する。

共通部品 性能差がほとんど生じない部分では共通部品を使用する。
サスペンション/ 
ブレーキ
規則の範囲内で自由。
エンジン 2000cc直列4気筒シングルターボ(直噴)が共通仕様。
駆動方式 フロントエンジン/リアドライブ(※NSX-GTは参加条件を定めミドシップにエンジンを搭載)
電子制御 セミオートマチックミッションは使用可能。アンチロックブレーキ(ABS)、トラクションコントロール、
アクティブサスペンションなどドライビングアシスト機能は禁止。
出力制限 燃料の使用量を瞬間的に制限できる燃料流量リストリクターを使用。
タイヤサイズ フロントが最大幅336mm、最大外形685mm。リアが最大幅356mm、最大外形7125mm。

 

NISSAN GT-R NISMO GT500(GT500クラス)

 

 

 

■多くの車種が参戦するが戦闘力が均衡するGT300マシン

 2019年のGT300クラスには14車種が参戦する予定ですが、大きく分けると3種類の車両規則によるマシンが存在します。それは、JGTC時代から存在するJAF-GT300規定の車両、そのJAF-GT300規定で定めるマザーシャシー車両、そしてFIAによって定められたFIA-GT3車両です。

GT300クラス車両の概略

シャシー JAF-GT300車両はベース車両の車室部分を残すこと。FIA GT3車両は変更不可。
空力パーツ JAF-GT300車両は規定の範囲内で製作。FIA GT3車両は変更不可。
サスペンション/ 
ブレーキ
JAF-GT300車両は規定の範囲内で製作。FIA GT3車両は変更不可。
ABSはオリジナルで装備されている場合は使用可能。
エンジン JAF-GT300車両のマザーシャシーは指定のエンジンを使用。JAF-GT300車両はベース車両と同じメーカーの
エンジンなら変更可能。FIA GT3車両は変更不可。
駆動方式 JAF-GT300車両は変更可能(エンジン搭載位置の変更は不可)。FIA GT3車両は変更不可。
電子制御 セミオートマチックミッションは使用可能。JAF-GT300車両はJAFに承認された機能は使用可能。
FIA GT3車両はオリジナルで装備されているものは使用可能。
出力制限 エア(吸気)リストリクター、過給器の最大過給圧を使用。
タイヤサイズ 最大幅14インチ、最大外形28インチ。

 

JAF-GT300車両

JAFによって定められているGT300クラス用の車両。ベース車両の車室部分は残さなければなりませんが、比較的広い範囲を開発する事ができます。特に空力やミッション、サスペンションを毎戦変更できる事が利点になっていますが、エンジンパワーの面ではかなり制限を受けています。

○TOYOTA PRIUS PHV GR SPORT ○SUBARU BRZ GT300

 

SUBARU BRZ GT300(JAF-GT300車両)

 

 

JAF-GT300車両・マザーシャシー

JAFによって定められているGT300クラス用の車両のうち、GTAが供給するマザーシャシーを使用した車両。マザーシャシーとは、モノコックとエンジンなどのキットパーツを使用して、チームがベース車両に模して製作したGTマシンです。エンジンは共通ですが、空力やサスペンションの開発で自信があるレースガレージが大きなコストを掛けずに個性的なマシンを造ることができます。

○TOYOTA 86 MC ○TOYOTA Mark X MC ○LOTUS EVORA MC

 

TOYOTA 86 MC(JAF-GT300車両・マザーシャシー)

 

 

FIA GT3車両

FIAが定めるFIA GT3規定に準じた車両。世界各国の自動車メーカーが製造し、販売しています。車種の個性は豊かで、GTカーらしいハイパワーが魅力ですが、基本的に販売時の状態から改造することができません。世界の様々なGTレースで使用されています。

○Mercedes AMG GT3 ○NISSAN GT-R NISMO GT3 ○LEXUS RC F GT3 ○PORSCHE 911 GT3 R 
○Lamborghini HURACAN GT3 ○Honda NSX GT3 ○Audi R8 LMS ○Aston Martin Vantage GT3 ○McLaren 720S GT3 

 

Mercedes AMG GT3(FIA GT3車両)

   

NISSAN GT-R NISMO GT3(FIA GT3車両)

LEXUS RC F GT3(FIA GT3車両)

   

Honda NSX GT3(FIA GT3車両)

 

 

 このようにSUPER GTに参戦する各マシンは、メーカーや車種で、いやチームごとにも個性や特性があり、それぞれに興味深いものです。応援するチームはもちろん、ライバルマシンの特徴も知れば、より面白くレースを観戦できるのではないでしょうか。

 

 

次回のSUPER GT 観戦ガイド 2019は、
第5回「チームとドライバー タイトルを目指しての戦略は?」をお送りします。

お楽しみに!


 バックナンバーはこちらから

 第1回 サーキットってどんなところ?
 第2回 SUPER GT観戦ノウハウ
 第3回 レースの基本ルール

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