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井口卓人、山内英輝両選手を擁してGT300クラスに参戦中のNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT。今シーズンは、第5戦鈴鹿でポールポジションを獲得するも、決勝は2位。優勝が待たれます。そんななか、10月14日にスバル/STIがSNSアカウント上で61号車用のエンジン「EJ20」の引退を明らかにしました。長年、エンジンエンジニアとしてEJ20に関わり、また近年はチーム総監督として牽引し続ける小澤正弘氏にお話を伺いました。
※ インタビューは公式練習後に行ないました。
No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT
小澤正弘総監督
── オートポリス戦を前に、SUBARU BRZ R&D SPORT用としてのEJ20の“引退”が発表されました。
「発表のタイミングですが、僕としては、いきなり(シーズン後、来季から搭載エンジンが)切り替わるという発表でもいいんじゃないかなと思っていたんです。ただ、周りの人とか……特にうちのドライバー(井口卓人、山内英輝)の思い入れが強くてね。そういうことであれば、やはりレースをやってるうちに、みんなが応援してくれるうちに発表するのがいいんじゃないかという意見をたくさんいただいたんです。突然のサプライズよりも、事前に発表するほうがファンの人たちにとってはきっといいだろう、ということになったんです」
── たくさんの思い出を胸に「みんなで見送ってください」ということですね。
「そうです。中の人たち(関係者)だけでしんみりと……じゃなくて、ファンの人たちも一緒になって、”EJ20、がんばったね”っと言ってくれるよう、早めに発表しようという話になりました」
── 長らく開発に携わってこられた小澤さんにとって、EJ20はどういう存在ですか?
「僕がSTIに来て、最初からずっとイジって(セッティングして)いました。そのときにはもう、WRC(世界ラリー選手権)で投入されていたんですけど、GTでもだいぶイジくって性能を上げて。もう、研究し尽くしたエンジンなんです。僕のことも育ててくれた思い入れの深いエンジンです。言うことは、意外と聞いてくれてましたね(笑)。僕がエンジンエンジニアとしてやってるときには『レースで壊したことはない』ってずっと言ってたんですが、この前のテスト(※1)でぶっ壊れちゃって。もうそんなこと言えないなっていう感じです」
※1:10月6−7日にモビリティリゾートもてぎで行なわれたGTエントラント協会主催の合同テスト
── ふたりのドライバーは2021年にクラスチャンピオンを、そして、今年は第5戦鈴鹿で山内選手がクラス最多となるポールポジションを獲得。エンジンもドライバーも共に”育った”という感覚ですか?
「そうとも思いますが、またトラブルも多かったですね(苦笑)。悔しい思いもいっぱいしました。うちにとってというか、ふたりのドライバーにしてみれば、(エンジンの)アンチラグひとつとってもすごく乗りにくい状態で乗り始めたんです。それを育てて(改善して)きて、『やっときちんと扱えるようになってコントロールできる、いいエンジンになったね』と言えるところまで来ました。最初、キャロッセと一緒にレースをやっていた頃(※2)からこのエンジンを積んでいるので、ほんとに昔からなんですよね。なので、もう耐久性において限界にきていて……。今は(ライバル車である)GT3車両の進化に合わせていかなければならないし、当時から比べると我々としてはもう100馬力以上パワーアップしているので、『そんな壊れ方をするの!?』みたいな壊れ方をするようになってきたんです。ほんともう、”いっぱいいっぱい”だと思います」
※2: 1997年、SUPER GTの前身である全日本GT選手権の第6戦SUGOにおいて、No.77 クスコスバルインプレッサ(小林且雄/古谷直広)でデビュー。
── 長い参戦のなかで、個人的に印象に残る思い出はありますか?
「SUPER GTでは淡々といろいろみんなで積み上げてきてやってきているので、思い出深い事はあまりないのですが(苦笑)、印象的なのは、今年の第2戦(富士)です。(ポールポジションからスタートして)ほんとに勝てそうなところで(ファイナルラップで)エンジンブローで壊れちゃって。これはもう、悔しいどころの話じゃなかったですね。あれは主機類ではなく、補機類……オイルポンプ周り(のトラブル)だったんですが、ほんと悔しかったですね」
── オートポリス含め、残り2戦となりました。今大会をどう戦いたいですか?
「ここは意外と2位表彰台が多いんですよ。『もしかしたら勝てるんじゃないの!?』という気持ちで現地に乗り込んでくるんですけど、我々を越えてくるチームがポコポコと出てくる……まぁ、それがレースなんですがね。勝てるチャンスはあるけれど、なかなか勝てず、今年はまだ勝てていないので、今回含めて残り2戦でなんとか勝てるようにがんばっていきたいなっていうところです」