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2019.04.01
【SUPER GT 観戦ガイド 2019】第5回:チームとドライバー

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チームとドライバー - タイトルを目指しての戦略は?

 2019 AUTOBACS SUPER GTの開幕を前に、レース観戦初心者やまだサーキット観戦が慣れないという方に向けたSUPER GTの基本情報や楽しみ方をご紹介。
 第5回は「チームとドライバー」として、SUPER GTの参戦資格や目指すタイトルについてご紹介します。

 

 

■参戦ドライバーの資格

 SUPER GTで激しいバトルを繰り広げるマシンとドライバー。それを支えるチームのキビキビとした動きは本当に格好良く誰もが憧れます。では、SUPER GTのドライバーになるには? チームを運営するにはどうしたらいいのか? 簡単に紹介しましょう。

 

 

 レーシングドライバーになるには、まず競技運転者(ドライバー)ライセンスが必要です。日本では日本自動車連盟(JAF)より発行されます。このドライバーライセンスは、公道でクルマを運転できる運転免許証の保持者がJAF公認の講習会を受講することによって取得できます。これで取得できるのは国内のモータースポーツに参加する為に必要最低限のライセンス(国内Bライセンス)です。国際レースであるSUPER GTに出場するには、レースに参戦して一定の成績を挙げ、高いグレード(段階)のライセンスを取得しなければなりません。SUPER GTでは、国際ドライバーライセンスのグレードB(国際Bライセンス)以上が必要となります。
 さらにSUPER GTに初参加であれば、GT300クラスでは事前の公式テストなどで「ルーキーテスト」を受けて、SUPER GTに参戦する最低限の力量をクリアしているかがチェックされ、合格しなければなりません。GT500クラス初出場者にルーキーテストはありませんが、チームやメーカーから認められる必要があります。これは安全で公正な競技を実現し、GTレースをファンの皆さんにお見せするために重要なことなのです。

 

   

 

 

■チームにも様々な事が求められる

 ドライバーにドライバーライセンスが必要なように、チームにもライセンスが必要です。これは競技参加者(エントラント)ライセンスと呼ばれるもので、チームの監督(代表者)が取得する必要があります。このエントラントライセンスにも国内競技用と国際競技用があり、国際レースであるSUPER GTでは国際エントラントライセンスが必要です(ドライバーの国際Cライセンスでも可能)。

 

 

 また、チームの判断となりますが、直接クルマを整備し、パーツなどを加工するメカニックには自動車整備士などの資格が求められるでしょう。エンジニアには特定の資格が必要なわけではありませんが、メカニックとしての経験や実績、機械工学の専門知識が必要とされます。この他、マネージャーはスケジュールや予算を管理する能力が必要とされるでしょう。レーシングチームは非常にシステマチックで、プロフェッショナルな集団もしく会社なのです。
 チームには1つの団体ではなく、チーム管理をする会社、マシンの整備などのレース参戦を担う会社、資金提供をするオーナーなどいくつかの組織・個人が組み合わさっている場合もあります。

 

 このようなチームをまとめてSUPER GTを運営、統括するのが、株式会社GTアソシエイション(GTA)です。GTAは、SUPER GTをプロフェッショナルレースとして、観客や支援するスポンサーに満足していただけるレースシリーズとして運営しています。
 ドライバーやチームの資格も“SUPER GT”=“満足を提供するレース”というブランドを築く大事な要素なのです。

 

   

 

 

■チームとドライバーが目指すシリーズタイトル

 そして、SUPER GTに参戦する選ばれたチームとドライバーが目指すのが、シリーズタイトル、いわゆるチャンピオンです。
 SUPER GTには、GT500クラスとGT300クラスそれぞれに、ドライバーのためのタイトルであるドライバーチャンピオンと、チームのためのチームチャンピオンの2つがあります。どちらも1シーズン全戦で獲得したシリーズ得点(ポイント)を合計して、最多の者に与えられます。各戦では、1位から10位までにポイントが与えられます(第3回・ポイント制参照)

 

 

 

 もし、シーズンのポイント合計が同点だった場合は、優勝回数が多い方が上位となります。それも同じだった場合は、2位の回数を比較し、それも同じなら3位の回数と、順次比べて上位を決めます。

 

   

 

 

 

■シーズンを通した戦略が重要になる!?

 タイトル獲得には、シーズンを通してポイントを確実に上げていくことが大切となります。もちろんすべてのレースに勝つ、表彰台に連続して登ることができれば容易ですが、なかなかそうはいきません。SUPER GTにはウェイトハンディ制という、ポイントを獲得するとそれに比例して車両にウェイトを積むというルールがあります(第3回・ウェイトハンディ制参照)。また、マシンにおいてもテクニカルコースが得意とか、パワーがあるのでハイスピードコースで強みが出るなどの特性もあります。

 

 

 そのため、やみくもに勝ちを狙うのではなく、ドライバーやマシンが得意なサーキットで勝ちを狙うとか、ポイントが高くなる長距離戦を重点に置くとか、残り何戦で勝負に出るなど、シーズンを通じて戦略を考えるチームもあります。
 昨年はHonda NSX-GTプロジェクトの首脳陣が、冷却系の負担が減る気温の低い時期(シーズン序盤と終盤)に勝負すると基本方針を立て、見事チャンピオンを獲得しました。また、車種によって得意不得意のコースが分かれるFIA GT3マシンを使用するGT300チームでも「ここはガマンで、この次のレースで勝負!」と言う声が出ることもあります。
 そこで、応援するチームのマシンやドライバーの情報を知り、「このレースは無理してないな」とか、「次のレースを狙ってくるかも?」と、チーム監督気分で各レースを見るのも楽しいものです。

 

 

■そしてチャンピオンは栄光のトロフィーを掲げる

 チーム、そしてドライバーのタイトル獲得者には、シーズン終了後の表彰式“GT HEROS”でチャンピオンの証し“AUTOBACSトロフィー”が贈呈されます。
 さらに、GT500クラスのチームチャピオンには経済産業大臣杯が、GT300クラスのチームチャピオンには自由民主党モータースポーツ振興議員連盟杯が贈呈され、その栄誉が讃えられます。

 

 

  

 

 

 SUPER GTは参戦するだけでも、高いハードルあり。それをクリアして、入賞、勝利を積みかさね、最後に栄冠を掲げる。今シーズンも各所で熱いバトルが繰り広げられると思いますが、その裏側にはこんなチームやドライバーの積み重ねがあると知ると、より観戦に熱が入るのではないでしょうか。

 

 

次回のSUPER GT 観戦ガイド 2019は、
第6回「ファンサービス&社会貢献 レース以外にSUPER GTができること」をお送りします。

お楽しみに!

バックナンバーはこちらから

第1回 サーキットってどんなところ?
第2回 SUPER GT観戦ノウハウ
第3回 レースの基本ルール
第4回 SUPER GTマシンの基本

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