SUPER GT 2025 SERIES

JAPANESE FIA-F4 CHAMPIONSHIP

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『タイムペナルティ』の導入、その目的は?

 

 

 SUPER GTを含めたモータースポーツは当然のことながら「競技」である。公正、かつ厳正に競技を執り行うために、他のスポーツ同様に厳密なレギュレーション(規則)を定めている。これにより安全性を高め、公正なレースを運営している。GTアソシエイション(GTA)はSUPER GTをより魅力的なものとするために、前年や新シーズンの状況を考慮し、毎年のように規則の改定、見直しを図っている。

 SUPER GTの魅力であるGT500クラスとGT300クラスの混走や、数多くの車両による高速でのバトル、そしてドライバー交代などが行われるピット作業。熾烈な戦いを繰り広げているが故に、様々な争いの中で規則に反する違反行為も起きてしまう。その際には、これも規則に基づいて違反の判定が下され、その違反に対する罰則(ペナルティ)が課せられる。
 この罰則に関しても、SUPER GTでは今季より『タイムペナルティ』の項目を追加した。先日の第2戦富士大会でのGTA定例会見においてGTA坂東代表がこの『タイムペナルティ』について言及したので、この導入の目的について解説する。
 今季の規定改定については下記より。
 【2025 SUPER GT規定改定】予選はノックアウト方式としQ2進出台数が増加。GT300クラスのポイントは15位まで授与などを改定

※画像と記事本文は直接関係ありません

 

 

■接触行為の罰則厳格化

 決勝レース中に発生した違反行為の罰則に関してはSUPER GT Sporting Regulations(競技規則・SpR)に定められている。罰則は、従来のSpRでは『ドライブスルーペナルティ』(ピットレーンに進入し、ピットに停止せずにピットレーンを通過しレースに復帰)、『ペナルティストップ』(ピットレーンに進入し、ペナルティストップエリアでペナルティとして課せられた時間を停止した後、レースに復帰)の二つが定められていた。
 また、危険なドライブ行為によりスポーツ精神に反する行為をしたドライバーに対しては『黒白旗』が提示され、警告が与えられる。そのドライバーが、同一競技会で2回以上、危険なドライブ行為と判定された場合は罰則が課せられる。

 このように、接触行為に対する罰則は、黒白旗の提示かドライブスルーペナルティ以上のどちらかで運用されてきた。例えれば“1か10か“の極端な罰則しかなかったのだが、新たに設けられた『タイムペナルティ』は、競技結果に対して指示されたタイム(秒数)を加算することで罰則を課すもの。まさに「黒白旗以上、ドライブスルー以下」の間を埋める罰則と考えれば分かり易い。
 過去にも「黒白旗以上、ドライブスルー以下」相当の接触行為は度々発生していたが、「ドライブスルーが妥当」と判断される接触以外は、黒白旗の提示にとどめられていた。しかし、今シーズンからの『タイムペナルティ』の導入により、接触の度合いに応じた“1から10”に細分化した罰則を課せられるようになった。レース中に起こってしまう接触行為を、より厳格に管理していくことが可能となったのだ。

 

 

■接触行為以外の罰則の軽減

 一方で、決勝レース中に起こりうる違反は接触行為にとどまる訳ではない。例えばピットインの際のピット作業でも違反行為は起こりうる。
 こうした違反行為の罰則は昨年までは『ドライブスルーペナルティ』以上となっており、これを課せられたチームやドライバーはその時点で勝負権を失う事となっていた。しかし、『タイムペナルティ』の導入は、比較的軽微な作業違反においては勝負権を失われなくするための措置ともなっている。『タイムペナルティ』で課せられた時間は、その後のチームやドライバーの努力で挽回する事も可能である。
  勿論、ホイールナット飛ばしなど重大な作業違反では従来通り『ドライブスルーペナルティ』以上の罰則が課せられるのは変わりない。

 

 

 このような規則の改定で、接触行為に対する罰則の厳格化と、軽微なピット作業違反行為への罰則の軽減を図ることにより、レースはより緊迫した熾烈な争いとなる。SUPER GTは今まで以上に魅力的なシリーズへの進化を遂げていくので、ぜひ楽しんでほしい。

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