第3戦 セパン・インターナショナル・サーキット：決勝 GT300レビュー

　2025 AUTOBACS SUPER GT第3戦『SUPER GT MALAYSIA FESTIVAL 2025』の決勝レースが、6月28日（土）にマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキット（1周5,524m×55周）で行われた。2013年以来のマレーシア開催となったSUPER GT公式戦、第3戦の決勝レースだが、GT500クラスでは予選4位のNo.37 Deloitte TOM’S GR Supra（笹原右京／ジュリアーノ・アレジ）がクラス最後までピットインを遅らせる戦略が成功して、昨年第6戦以来の優勝を飾った。GT300クラスはポールポジションのNo.18 UPGARAGE AMG GT3（小林崇志／野村勇斗）が一時トップを譲るもライバルのミスもあって逆転し、結果的にポール・トゥ・ウインを決めた。

　12年ぶりにセパンで開催されたSUPER GTのマレーシア大会。決勝レースのスタンドには多くのファンが詰め掛けた。そして決勝レースは、午後4時30分（現地時間。日本時間は＋1時間）にスタートを迎えた。気温33度／路面温度42度というコンディションのもと2周のフォーメーションラップを経て、バトルがスタートする。

　スタートではポールポジションのNo.18 UPGARAGE AMG GT3（小林崇志／野村勇斗）の野村が首位を守るも、1周目の終盤、ターン14からターン15にかけての攻防でNo.52 Green Brave GR Supra GT（吉田広樹／野中誠太）の野中がトップを奪い、2周目からリードを広げていった。

　一方、18号車の後方にはNo.0 VENTENY Lamborghini GT3（小暮卓史／元嶋佑弥）、No.87 METALIVE S Lamborghini GT3（松浦孝亮／坂口夏月）の2台がピタリと続いていく。トップ4から少し離れてNo.2 HYPER WATER INGING GR86 GT（堤優威／平良響）が続いていた。

　その後のトップ争いは小康状態となったが、5番手の後方ではNo.777 D’station Vantage GT3（藤井誠暢／チャーリー・ファグ）を先頭としてNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT（井口卓人／山内英輝）、No.56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R（平手晃平／金丸コウ）、No.4 グッドスマイル 初音ミク AMG（中山友貴／奥本隼士）、No.31 apr LC500h GT（オリバー・ラスムッセン／小山美姫）といったグループによるバトルが展開され、マレーシアのファンを魅了した。

　16周を終えると、6番手に浮上していた4号車がピットイン。中山から奥本に交代し、これを皮切りにGT300クラスでも上位が続々とピットイン。一方、ややピットインを遅らせたのはトップ2。首位の52号車は24周を終えてピットインし、野中から吉田に交代する。52号車は得意のタイヤ無交換作戦は行わずに4輪交換を行うが、この時にホイールナットが飛んでしまうアクシデントが発生。このリカバリーで、彼らは貴重なマージンをロスしてしまった。

　対して昨年のチャンピオンである0号車を抑えた18号車は、26周を終えピットイン。野村から小林崇志に交代し、ノーミスでピット作業をこなす。これによって52号車からトップを奪還してみせた。

　レース終盤はトップの18号車を、8秒ほどの差で52号車が追う展開となった。その差はGT500車両との交錯で前後するが、実質的にしばらく膠着状態となる。その後方でセパンの観客を盛り上げたのは、0号車の小暮と4号車の奥本、GT500も制している昨年チャンピオンと今日がGT300初レースの激烈バトルだった。

　激しい3位争いを後目に、18号車が余裕でマージンを使って逃げ切るかに見えたが、操る小林はかなり厳しい状況で、52号車の吉田の追い上げにペースを上げられない。最終ラップには、ついにその差が1秒を切ってしまうが、小林がトップを守りきってゴール。

　No.18 UPGARAGE AMG GT3（小林崇志／野村勇斗）が実質、ポール・トゥ・ウインを達成して2023年の第5戦鈴鹿以来の優勝となった。なお野村にとっては、これがSUPER GT初優勝となった。また小林は2013年の第3戦セパンがGT300の初優勝で、奇しくも12年を経てセパン連勝の達成となった。

　2位はNo.52 Green Brave GR Supra GT（吉田広樹／野中誠太）で、今季初得点／初表彰台。そして0号車と4号車のバトルは、激しい攻防を経て47周目のターン2で奥本が小暮をオーバーテイク。これでNo.4 グッドスマイル 初音ミク AMGのドライバーコンビ、中山友貴／奥本隼士が見事に表彰台獲得を果たした。

　一方、0号車は、残り3周で同じJLOCの87号車にも抜かれてしまう。これで87号車は4番手でゴールするが、複数の走路外走行があったと判定され、このペナルティで40秒の加算があって結果は9位に。そしてNo.0 VENTENY Lamborghini GT3（小暮卓史／元嶋佑弥）は4位となった。5位はNo.2 HYPER WATER INGING GR86 GT（堤優威／平良響）が入って、ドライバーランキングでも2位に浮上した。

　また、No.65 LEON PYRAMID AMG（蒲生尚弥／菅波冬悟）はサクセスウェイト72Kg（搭載重量50kgに給油リストリクターを絞られる）に苦しみながらも、しぶとく8位に滑り込み8ポイントを獲得。これによりランキングトップの座を守った。