GT INSIDE REPORT
Network Edition
GTC 2000
Round4 JAPAN SPECIAL GT CUP


No.5

真夏の暑さ対策

真夏の暑さ対策
 真夏の富士のJGTCでは、その暑さをいかに克服するかが、勝利のポイントとなる。そこで各チームのオリジナル暑さ対策を尋ねてみた。

No.81 ダイシンADVANシルビア
中村吉明監督「運転席のペダルにパッドを貼って熱が伝わらないようにしたり、ドライバーに当たる風を流すためのダクトを、運転席側(の窓)から1本ドライバーの襟首に向けて、助手席側から1本を足許に向けて取りつけています。青木選手がコンタクト(レンズ)をしているので直接顔に風が当たるのがよくないみたいなんですよ。あと、パワステが電動なのでそのモーターを冷やすダクトもつけています。クールスーツは当然のことですけど、これはオーソドックスな水冷式です。水温は、もともとシルビアはラクなんでラジエターの容量を増すようなことはしていません」

No.24 986ボクスター
野間 徹メカニック「今回からエンジンがGT3Rのものになったんです。それにともなって、いままでインタークーラーのあったところにもラジエターを取りつけています。テストデイの走りはじめに水温がちょっと上がってしまったんですけど、バンパーの横のエアを逃がすところに手を加えたり、フロントフード上のアウトレットのルーバーを追加したりして水温は安定しました。ドライバー用にはクールスーツと、リアウィンドウに穴を開けています」

No.35 マツモトキヨシ・トムススープラ
柏原規人チーフメカニック「まずインタークーラーの容量を大きくしています。それとベーパーロック対策。デフクーラーなどのクーラー類も全部大きくしています。ドライバーに関してはクールスーツだけですね。これはガスタイプではなく水です。それとTRD純正で今年のスープラにはみなはじめから装備されているんですが、サイドウィンドウのところにあるダクトから入った空気をファンで強制的にドライバーの首のところに送る装置がつけられています。ファンはアルテッツァの純正ファンです。ふつうラジエターに当たる風がドライバーに当たるわけです。これはかなり能力あります」

No.77 クスコスバルインプレッサ
大溝敏夫監督「今回はセパンで起きたパーコレーション対策をしてきました。マレーシアではピットインしたときにエンジンがかからなかったんです。具体的には、燃料ラインを熱でやられないように断熱したのと、取り回しも変更しています。ドライバーに対しては、空気の取り入れとフロンのクールスーツ。でも、フロンのクールスーツはよく故障するので、もしかしたら使わないかもしれません。ドリンクは普通のスポーツドリンクに氷をたっぷり入れたもの。ひとり700ccぐらい用意して、(レース後に)残るのは3分の1ぐらいですね」
小林且雄「(クールスーツは)最初は冷たく感じるんだけど、体が慣れちゃうし運転に一生懸命だと暑くなってきちゃう。スイッチを手動で切ってまたつけたりすると効果的です。そのためのタイマーなんかもあります。ただ、ほんとうは体に風を当てるほうが涼しいと思うんですけれどね。ダクトで風を送り込んだりするのがいいと思いますよ」

No.39 デンソーサードスープラGT
才木祐二チーフメカニック「インタークーラーの容量を大きくしています。あとドライバー用にはクールスーツは積んでます。水冷式です。いままではずっとフロンガスのものを使っていたんですけど、いろいろありまして水になっちゃいました。あともちろんドリンクボトルは積んでいます」

No.16 Castrol無限NSX
熊倉淳一監督「今回のクルマはセパン仕様。ラジエターの開口部を拡大してあります。それ以外に用意してきたのはクールスーツだけですね。ウチのは氷のヤツです。ドリンクは道上も中子もスポーツドリンク。小さいペットボトルを途中で交換します」

No.12 カルソニックスカイライン
高橋紳一郎チーフメカニック「セパンにいく前に、ドライバーの暑さ対策としてフレッシュエアのダクトをつけましたが、今回はストレートで抵抗になるのでつけません。クールスーツはフロンのものを使います。去年からフロンに変えたんですよ。ドリンクはスポーツドリンクと水を混ぜたもの。水にちょっと味がつくぐらいにしています。クルマのほうではサブラジエターを追加してきましたが、それ以外はナイショ」

No.19 ウェッズスポーツセリカ
坂東正明監督「暑さ対策としては、ドライバーの体力をつけてきた。だけど原はトシだからこれ以上の体力アップは望めないかもしれない(笑)。ま、ドライバーの代わりはいくらでもいるから、体力のあるヤツを選べばいい。強いていえば少しはアタマのいいヤツがいいな(笑)。冗談はともかく、クールスーツ、ドリンク、ダクトなどはひととおり全部備えている。クルマのほうは今回けっこういっぱいいっぱいだと思う。木曜日なんかセパンよりも暑かったから。温度が気になる部分はセパンよりすべて10℃ぐらいは高い。でも、それはどの車輌でも同じ。そうなると、車体の基本的なポテンシャルがどこにあるかだろうね。入ってきた空気をどう出すかはクルマをつくる段階で決まる。どのクルマも対策していることは同じだよ。とはいうものの、じつはウチもギンギンにやっている。ダクトを空気の取り入れ口に移したり、考えられることはすべてやってきた。あとはドライバーの体力と部品を信頼するだけだね(笑)」

No.86 BP・KRAFT・トレノ
平岡寿道監督「ウチはダクトを引っぱったりとか、そういう単純なことをしてきただけ。レースが250kmで短いから。ドライバーもクールスーツのみだね。ウチのドライバーは毎日トレーニングしてるもん。もうバッチリ(笑)。クールスーツもスタンダードなヤツなので壊れにくいと思う。ボンベのヤツのほうが壊れやすいじゃない。ドリンクは氷水。糖分の入ったものを使うと電動のドリンクシステムが壊れやすくなるから」
田中 実「ドリンクが氷水なのは甘いものだと気持ち悪くなるから。お茶も原液より水割りにしたほうが飲みやすい。で、最後にレモンをキュッと絞ってもらわないとね(笑)」

No.88 ノマドディアブロGT-1
伊藤章裕チーフエンジニア「今回はラジエターが新品になりました。いままでのヤツは目詰まりしてたので。あとは、もともと熱に対してきびしくないクルマなんで(問題ない)。ただドライバーは暑がっているので、セパンの前にダクトを引いたぐらいですね。予選では使いませんが、本番は水のクールスーツもつけます。シートベルトでラインが締まるとあまり効きませんが、普通に動けば大丈夫でしょう。ドリンクはドライバーが自分で調合しています(古谷直広「スポーツドリンクと水とあと粉を混ぜてます」高橋毅「ボクはスポーツドリンクだけです」)。ウチの(ドリンクシステム)は電動ではなく、自力で吸うヤツですよ」



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