GT INSIDE REPORT
Network Edition
GTC 2000
Round4 JAPAN SPECIAL GT CUP


No.6




『JAPAN GT FESTIVAL in MALAYSIA』について加治次郎GT-A事務局長に訊く
 さる6月24、25日にマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットでJGTCにとってはもちろん、日本のレース界にとっても初の試みとなる海外レース開催はなされた。サーキットには3万人あまりの観客を集め、マレーシアを初め国内外のメディアにも紹介、報道された。このイベントに関して、加治次郎GTアソシエイション(GT-A)事務局長に聞いた。


−JGTC初の海外開催として、成功したといえるのでしょうか?
「われわれが海外に進出した“理由”にあてはめれば成功したのではないかと思います。なんでこういう歯切れの悪いいいかたをするかといえば、やはり課題も多く残ったからです。もう少し多くの観客動員がほしかったとか、経済的な面、手続き上でチームに迷惑をかけたなど、思うようにならなかった部分が意外とあった。初めての試みということを考慮すればある意味でしょうがないといってくれる方もいますが、われわれがいってはいけないですから。だから、手放しで成功とはいえないのです。最初のことですし、われわれも勉強させてもらったし、チームもよくわからないからこちらがいろいろやってあだになったとか、それはお互いに勉強したわけです」

−マレーシアの観客、関係者の反応はどう感じましたか?
「純粋にレースを観に来ていただいたお客さんにも、ビジネスとしてレースを考えている人にも、とてもエキサイティングでおもしろいのでまた来年も来てほしいという言葉はいただきました。公式発表の観客動員は3万460人ありまして、初回として認知されていなかった、あまり知られていなかったレースをいきなりやったということを考えれば、多くの人に来ていただけたと思います。
 ただ、これまで英語でのJGTCの情報発信や海外へのTVなど映像情報が十分でなく、これが認知の面で足りなかった一因ということは痛感しています。われわれとしてはアジアの一員だと思っていても、やはり日本は少し違って見られていまして、彼らにとってみれば、ヨーロッパのレースも日本のも同じなんです。アジア人の顔をしたのが行っているということでは意味が違いますけれど、(映像もないまま)遠くから間接的に見ていると、同じなんです。そうなると日本のレースは十分に英語で情報発信もしていないという基本認知の部分でヨーロッパのDTMやBTCCに比べて負けているわけです。そういうなかでは健闘したし、(日本のレースを)見直してくれた、日本のクルマやドライバーのレベルの高さを知ってもらえたと思います」

−今後もJGTCの海外イベントは行われるのでしょうか?
「われわれとしては最初からこのセパン1回で終わらせるつもりで始めたわけではありません。今後、セパンでやるかはともかく、アジアで毎年やっていかないとアジアのレースにはなれません。ですから、毎回やろうという決意を持って、今回出ていったわけです。では来年はどこで、どういうかたちで実現するかですが、それは、これから関係者のみなさんと相談してしてなるべく早めに決めたいと思っています」

−次回は中国の珠海での開催というウワサもあるようですが?
「たしかにそういう提案もいただいています。一方で関係者の多くから、せっかくセパンでいい反応が得られたのでほんとうの意味で成功を収めるまでセパンで続けてはどうかという意見もいただいています。もちろん、このような提案だけで決めるわけではありません。今後もみなさんと相談し、広く意見をいただいて、状況を考えて決めたいと思います」

−今後、他のカテゴリーも海外開催を予定していると思われますが?
「他のカテゴリーがどういうニーズで海外進出を考えているかがわかりませんから、私としてはなんともいえません。ただ、日本のモータースポーツが、このままでは孤立してしまい日本だけのものになってしまうことは危惧しています。このまま限られたものになってしまうのではなく、ちゃんとした地位を確立して欧米なみになるためには、日本のレースがアジアに出ていくことはマストだと思うのです。そういう思いがあって、われわれは毎年アジアで開催しようと決めたんです。ただ、これはわれわれの思いであって、他のカテゴリーがどう考えているかはわかりません。ただ日本のモータースポーツ界を牽引していくJGTCとフォーミュラ・ニッポンは基本的に同じ考え方をしているとは思います。
 われわれの海外開催は、準備が整ったから出ていったというわけでなく、バックにある自動車産業、チームや大会を現在サポートしてくれているスポンサーやこれからとり込まなければならないスポンサーの環境など求めるものに対し、JGTCでは緊急性があったからなのです。だから多少準備が足りない部分もありましたが、それを承知で思いきって外に出たわけです。他のカテゴリーに関して、そういう緊急性があるかは私にはわからないですし、余計なことをいうべきではないと思っています」

−今後も海外開催を行うとなると、国内でのオールスター戦などはなくなるのですか?
「海外での開催が続くことで、国内のイベントが減るということはありません。今年は海外でのレースがオールスター戦ということになりましたが、本来オールスター戦は新しい開催地域や観客層を開拓するという意味や、新しいイベント運営の手法をつくるといった要素があるものなのです。そういう意味では現在のかたちでのオールスター戦を、何度も同じサーキットで続けてやるという考え方はありません。今後もシリーズ戦の行われていないサーキットや市街地でやる可能性はあります。とくに市街地でのレース開催はぜひ行いたいと考えています。この場合の市街地は海外ではありません。日本の市街地でないとやる意味はありませんから」

−今後のJGTCとアジア地域との関わり方はどうお考えですか?
「今回、レースに参加したチームなど関係者も、メディアも、観てくれた日本のファンも、みなさんマレーシアのイメージが変わったのではないかと思います。マレーシアには本格的なサーキットが3つもあり、高速道路も整備されています。また東南アジアのビジネスの中心になれる可能性を持っており、英語、マレー語、中国語とアジアで通用する言語が定着しています。ですから、アジアでは今後もマレーシアがモータースポーツの中心になっていくと思います。これを考えれば、アジア地域への情報発信の拠点としてはうってつけだと確信しましたので、いい関係を保っていきたいと考えています。
 また、今回のJGTCイベントを観ていただいたことで、マレーシアとお隣のタイなどと連携して、GT300クラスをベースにしたレースイベントを実現したいという提案もされています。そうなれば、日本からクルマやパーツ、人材などを提供できますし、また逆に人材が日本に来るなど、互いに協力しあった関係で発展できると思います」



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