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2017.07.28
【SUPER GT基礎講座・第7回】SUPER GT その24年間の歴史 ~時代に即したレースを提供~

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SUPER GT基礎講座 第7回

SUPER GT その24年間の歴史 ~時代に即したレースを提供~

2017年も熱戦が続くAUTOBACS SUPER GTシリーズ。いよいよ夏休みに突入し、「サーキットに観戦に行こう!」と観戦計画を練っている方もいらっしゃると思います。そこでSUPER GTの基礎中の基礎を改めてご紹介します。

第7回のテーマは「SUPER GT その24年間の歴史」です。

 

◇ ◇ ◇

 

1994年5月に、その前身である全日本GT選手権(JGTC)の初戦が富士スピードウェイで開催されてから24年。
SUPER GTは日本のモータースポーツにおいて、常に中心的な存在であり続けています。
人気のひとつの指数である観客来場者数においては、2016年シーズンは7大会(オートポリス大会中止のため7大会8戦)を行い、年間観客総動員は376,197人、各大会の平均総員数は53,742人(予選日、決勝日合わせて)という実績を残しました。
これは国内のシリーズ戦では最大で、抜き出た実績であり、他の国内プロスポーツ大会と比べても遜色のないものとなっています。
この国内最大の人気を得ているSUPER GTがどのように誕生し、どんな発展を遂げてきたのかを振り返ってみましょう。

 

誕生と草創期:JGTC 1994-1995年

 先にご紹介したとおり、SUPER GTの前身である全日本GT選手権(JGTC)は、1994年5月1日に富士スピードウェイで1年目のシリーズ開幕戦が行われました。これがSUPER GTの最初のレースとなります(1993年にも全日本GT選手権が3戦行われていますが、他のカテゴリーとの混走で行われ、GTクラスはわずか1、2台の参戦しかなく、本当の意味でのシリーズとは言えませんでした)。

 この前年にグループCカーによる耐久レースシリーズの全日本スポーツプロトタイプカー選手権(JSPC)が、人気がありながらも終焉を迎えました。同様にグループA車両による全日本ツーリングカー選手権(JTC)も1993年に同様に終了。このようなこともあって、国内のレース関係者からプロフェッショナルなレース大会のあり方などを問い直す機運が上がったのです。
 そして誕生したのがGTアソシエション(現在の株式会社GTアソシエション)であり、この組織が1994年の第1戦からJGTCの運営を始めたのです。したがって、SUPER GTの出発点は1994年になるわけです。

 

 1994年の開幕戦富士は、GT1クラスが14台、GT2クラスが4台の全18台が参戦しました。GT1クラスは現在のGT500クラス、GT2クラスは現在のGT300クラスで、1995年まで、この名称を使用していました。また、当時はドライバー1名で1レースを走りきることもできました(1995年まで)。そしてレース順位によるウェイトハンディ制度も、この初年度から実施され、時代に即した改定を行いながら現在まで続いています。

 

 

 当時のGT1クラスの主力車種はグループAをベースにしたスカイラインGT-R(R32)や、ランボルギーニ・カウンタック、フェラーリF40などのスーパーカーと呼ばれた車両が中心でした。また、グループCのポルシェ962Cや、ラリーカーのランチア037なども参戦して話題を呼びました。GT2クラスはポルシェ991のカップカーとJSSと呼ばれる市販スポーツカーを改造した車両が中心でした。1994年の最後2戦には、TRD(トヨタのレーシングカー開発部門)が手掛けたスープラが参戦。ここから、トヨタ(現在はレクサス)と日産の戦いが始まったのです。

 

進化と勃興期:JGTC 1996~2004年

 JGTCが始まって3年目。1996年にはレース規定のかなり重要な面が変更されました。まずドライバーが2名制になったこと。そして、クラス名が現在と同じGT500クラスとGT300クラスになりました。この名称は当時のクラス車両の想定馬力の数字を表し、観客に分かりやすいレースを目指すGTAの表れでもありました。
 この1996年には「オールスター戦」というエキシビションレースが兵庫県のセントラルサーキットで初開催されました。参戦チームをファンの人気投票で選んだり、レース以外のドライバーたちとふれ合う機会の多いアトラクションを増やすなど、シリーズ戦とはひと味違う、観客への感謝を込めた大会でした。またオールスター戦には、新しい開催地のテストケースという側面もあり、その後にはツインリンクもてぎ(1997年)、TIサーキット英田(1998年、現在の岡山国際サーキット)、オートポリス(1999年)がオールスター戦を行い、その後シリーズ戦に組み込まれています。
 また、2000年以降は海外開催も行い、その後の国際シリーズ化へのステップも踏んでいます。最初の海外戦は、2000年のマレーシア・セパンサーキットでの特別戦でした。このマレーシア大会は2年の特別戦開催を経て、2002年に初の海外シリーズ公式戦となり、2013年まで開催されました。また、2004年にはアメリカのカリフォルニアスピードウェイでもオールスター戦が開催されています。

 

マシンでは、1997年第2戦からHondaの支援によるNSXがGT500クラスに参戦を開始(1996年参戦のNSXは英国で造られたル・マン24時間レース用の車両ベース)。これでGT500クラスは、スープラ、NSX、GT-Rという国内3メーカーを中心とした(マクラーレンF1GTRやランボルギーニといった外国車も参戦)戦いの場となりました。なお日産は、スカイラインGT-R(R34)が生産終了となったことから、2004年からフェアレディZに車両を変更しました。

 

 


GT300クラスでは、当時の改造範囲の広さを活かして、トヨタのMR2やセリカ、MR-S、日産シルビア、スバルインプレッサ、マツダRX-7と言った国産スポーツカーが活躍。そこに、ポルシェ911GT3R、フェラーリF430、ランボルギーニ・ムルシェラゴなどの欧州スーパーカー、そしてガライヤやビーマックと言った少数生産車と、とてもバラエティに富んだクラスとなりました。

 

 


 1998年には、AUTOBACS(株式会社オートバックスゼブン)が全日本GT選手権のシリーズ冠スポンサーとなりました。以後、AUTOBACSは現在まで19年に渡りSUPER GT/JGTCを通じて日本のモータースポーツを支援し続ける重要なパートナーとなっています。

 

 

発展のSUPER GT時代へ:2005年~

 2000年以降、海外戦をシリーズに組み込んできた全日本GT選手権は、2005年からSUPER GTと名称を改め、正式に複数国で開催するインターナショナルシリーズとなりました。

 このSUPER GTになってからは車両面で著しい変革がありました。特にGT500クラスでは、2006年にカーボンモノコックが使用できるようになり、これに併せてトヨタ/レクサスはSC430を導入。2008年には日産がフラッグシップカー・日産GT-Rの発売に伴い、GT-RをSUPER GTに復活させました。またHondaもNSXの生産終了から2010年にHSV-010 GTを開発。このHSV-010 GTはHondaにとって初のフロントエンジン/リアドライブのレーシングカーとしても注目を浴びました。

 さらに2014年には、ドイツのDTM(ドイツツーリングカー選手権)と車両規定の共通化を実現しました。高性能ながら環境に配慮し、安全性を高めた新たなGT500マシンが2014年シーズンから登場。この時、レクサスはRC Fに、HondaはNSX CONCEPT-GTに車両を変更しました。

 この車両規定の基本は今年も変わりませんが、空力性能の制限などを行い、さらなる安全性と競技性の向上がはかられました。そして、今季からレクサスは新たなスポーツクーペ・LC500をベースとしたマシンで参戦。また、Hondaも新型NSXの市販に伴い、GT500マシンの名称をNSX-GTに改めました。

 

 

 

 

 また、GT300クラスでは、2011年にBMW Z4がタイトルを獲得したことから、FIA GT3車両の評価が高まり、欧州のFIA GT3車両と国産のJAF-GT300車両という構図に変わっていきます。さらにFIA GT3車両に日産GT-RやレクサスRC Fなどの国産車も登場。また、車造りにこだわるレーシングガレージのために、2015年にマザーシャシーが導入されました。諸外国のGTレースがFIA GT3車両一辺倒になる中、SUPER GTのGT300クラスは“ものづくりの日本”という伝統を活かした独自のGTレースを確立しています。

 

 

 

 

 

 大会運営の面では、伝統ある「JAFグランプリ」の名称を冠した、富士スプリントカップを2010年から2013年まで開催。SUPER GTのみならず、国内最高峰のフォーミュラも同時開催されるという画期的な大会となりました。
 また、2014年からはマレーシア大会に代わり、タイのブリーラムにあるチャン・インターナショナル・サーキットで海外公式戦が行われるようになりました。


 このようにSUPER GTは全日本GT選手権時代から、常に革新を忘れず、時代に即したレース運営を行ってきました。また、そこにはプロフェッショナルのスポーツイベントとして観客・ファンの存在を忘れず、高いエンターテイメント性も確保しています。
 毎戦のレース、年間のチャンピオンシップのみならず、今後のSUPER GTのチャレンジにも注目して頂きたいと思います。

 

 

SUPER GT/JGTC歴代チャンピオン

Year Driver Champion Team Champion
GT500
1994 影山正彦 (カルソニックスカイライン) HOSHINO RACING
1995 影山正彦 (カルソニックスカイライン) TEAM TAISAN
1996 デビッド・ブラバム/ジョン・ニールセン (ラーク・マクラーレンF1GTR) チーム ラーク・マクラーレンGTR
1997 ミハエル・クルム/ペドロ・デ・ラ・ロサ (カストロール・トムス・スープラ) TOYOTA Castrol TEAM
1998 エリック・コマス/影山正美 (ペンズオイル・ニスモGT-R) NISMO
1999 エリック・コマス (ペンズオイル・ニスモGT-R) TOYOTA Castorl TEAM TOM'S
2000 道上龍 (Castrol無限NSX) 童夢×無限プロジェクト
2001 竹内浩典/立川祐路 (auセルモスープラ) NISMO
2002 脇阪寿一/飯田章 (エッソウルトラフロースープラ) 童夢×無限プロジェクト
2003 本山哲/ミハエル・クルム (ザナヴィ ニスモ GT-R) NISMO
2004 本山哲/リチャード・ライアン (ザナヴィ ニスモ Z) NISMO
2005 立川祐路/高木虎之介 (ZENTセルモスープラ) NISMO
2006 脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー (OPEN INTERFACE TOM'S SC430) TOYOTA TEAM TOM'S
2007 伊藤大輔/ラルフ・ファーマン (ARTA NSX) ARTA
2008 本山哲/ブノワ・トレルイエ (XANAVI NISMO GT-R) TOYOTA TEAM TOM'S
2009 脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー (PETRONAS TOM'S SC430) TOYOTA TEAM TOM'S
2010 小暮卓史/ロイック・デュバル (ウイダー HSV-010) ウイダーホンダレーシング
2011 柳田真孝/ロニー・クインタレッリ (S Road MOLA GT-R) MOLA
2012 柳田真孝/ロニー・クインタレッリ (S Road REITO MOLA GT-R) MOLA
2013 立川祐路/平手晃平 (ZENT CERUMO SC430) LEXUS TEAM ZENT CERUMO
2014 松田次生/ロニー・クインタレッリ (MOTUL AUTECH GT-R) NISMO
2015 松田次生/ロニー・クインタレッリ (MOTUL AUTECH GT-R) NISMO
2016 ヘイキ・コバライネン/平手晃平 (DENSO KOBELCO SARD RC F) LEXUS TEAM SARD
GT300
1994 小幡 栄 (KORG KEGANIポルシェ) KEGANI RACING
1995 石橋義三/星野 薫 (欧州車販売の外国屋アドバン) 石橋義三
1996 鈴木恵一/新田守男 (タイサンスターカードRSR) TEAM TAISAN
1997 福山英朗/織戸 学 (RS☆Rシルビア) RS-Rレーシングチーム with BANDOH
1998 鈴木恵一/舘 信吾 (つちやMR2) TEAM TAISAN Jr. with つちや
1999 新田守男 (モモコルセ・アペックスMR2) MOMOCORSE Racing Team. with Tsuchiya
2000 福山英朗 (シェルタイサンアドバンGT3R) TEAM TAISAN Jr. with ADVAN
2001 大八木信行/青木孝行 (ダイシンADVANシルビア) TEAM TAISAN ADVAN
2002 新田守男/高木真一 (ARTAアペックスMR-S) TEAM TAISAN ADVAN
2003 木下みつひろ/柳田真孝 (ハセミスポーツ・エンドレス・Z) TEAM TAISAN ADVAN
2004 山野哲也/八木宏之 (M-TEC NSX) M-TEC CO.LTD.
2005 佐々木孝太/山野哲也 (RECKLESS MR-S) TEAM RECKLESS
2006 山野哲也/井入宏之 (雨宮アスパラドリンクRX7) RE雨宮レーシング
2007 大嶋和也/石浦宏明 (TOY STORY Racing apr MR-S) Cars Tokai Dream28
2008 星野一樹/安田裕信 (MOLAレオパレスZ) MOLA
2009 織戸 学/片岡龍也 (ウェッズスポーツIS350) レーシングプロジェクトバンドウ
2010 星野一樹/柳田真孝 (TOMICA Z) HASEMI MOTOR SPORT
2011 谷口信輝/番場 琢 (初音ミク グッドスマイル BMW) GSR&Studie with TeamUKYO
2012 峰尾恭輔/横溝直輝 (ENDLESS TAISAN 911) Team TAISAN ENDLESS
2013 武藤英紀/中山友貴 (MUGEN CR-Z GT) TEAM 無限
2014 谷口信輝/片岡龍也 (グッドスマイル 初音ミク Z4) GAINER
2015 アンドレ・クート (GAINER TANAX GT-R) GAINER
2016 土屋武士/松井孝允 (VivaC 86 MC) VivaC team TSUCHIYA

次回のSUPER GT基礎講座は、
第8回「マシン以外にも注目! サプライヤーたちの戦い」をお送りします。
お楽しみに!

 

 バックナンバーはこちらから

 第1回 サーキットに行こう! ~7つの開催サーキットを紹介~

 第2回 レースを観戦しよう! ~チケット購入とサーキットの歩き方~

 第3回  SUPER GTマシンの基本を知ろう! ~2つのクラスと多彩な車種~ 

 第4回 チームとドライバー ~ハイレベルなクルマのプロたち~

 第5回 公正で安全なレースをするために ~SUPER GT独自の取り組み~ 

 第6回 レース以外にもあるサーキットのお楽しみ ~SUPER GTの進化するファンサービス~

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