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2017.08.09
【SUPER GT基礎講座・第10回】SUPER GT 最長のレース“鈴鹿1000km”を楽しむ

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SUPER GT基礎講座 第10回

SUPER GT 最長のレース“鈴鹿1000km”を楽しむ

2017年も熱戦が続くAUTOBACS SUPER GTシリーズ。“夏の3連戦”も第4戦スポーツランドSUGO、第5戦富士スピードウェイが終了し、残すは8月26、27日の第6戦鈴鹿1000kmのみになりました。
そこで、「SUPER GT基礎講座」の最終回は、この第6戦鈴鹿1000kmの楽しみ方をご紹介したいと思います。

 

◇ ◇ ◇

1966年から続く伝統のレース、1000kmレースとしては今年が最後に!

 

 鈴鹿1000kmというレースは、SUPER GTの一戦となる以前から行われている、日本でも最も歴史あるレース大会です。
 その第1回は、鈴鹿サーキットの開業から4年後の1966年。一時期中断もありましたが、今年で46回を数える日本モータースポーツ“伝統の一戦”です。
 1966年と言えば、日本のモータースポーツはまだ草創期。国産の高性能車がようやく登場し、ポルシェをはじめとする欧米のスポーツカーを追いかけていた時代です。第1回の優勝車はトヨタ2000GTでした。ちなみに、鈴鹿1000kmと言えば“真夏の8月”のイメージですが、1973年の第8回までは5月や6月、また10月に行われていました。1974年から1979年まではオイルショックや排ガス規制などの時代背景もあり中断されました。1980年に再開してからは、毎年開催されています。

 鈴鹿1000kmは一貫して同じカテゴリーで行われてきたわけではありません。その時代で耐久レースにふさわしいカテゴリーの一戦として行われてきました。
 SUPER GTの一戦となったのは、2006年の第35回からですが、1999年からGTクラスがあり、スープラやNSX、ランボルギーニなどSUPER GT(当時は全日本GT選手権)のマシンも参戦していました。ちなみに、2000年の第29回ではNSXで脇阪寿一/金石勝智/伊藤大輔組が優勝しています。今はチーム監督として、辣腕を振るう皆さんが揃っていましたね。

 

 2006年、SUPER GTのシリーズ戦として初めて行われた第35回では、No.12 カルソニック インパル Zのブノワ・トレルイエ/星野一樹/ジェレミー・デュフォア組が、GT500クラスでポール・トゥ・ウイン。GT300クラスはNo.52 プロμ太陽石油KUMHOセリカの竹内浩典/嵯峨宏紀/澤 圭太組が優勝しました。2009、2010年は社会情勢を受けて、1000kmではなく700kmレースとなり、名称も“Pokka GT サマースペシャル”と改称。2011年は東日本大震災による電力不足を考慮し、夜のステージを行わない500kmレースで行われました。そして、翌2012年からは1000kmレースへと復活しました。

 

 

 このように伝統を重ねた大会ですが、1000kmレースとしては今年が最後の開催となります。ただし、“鈴鹿の夏の耐久レース”としては「第47回サマーエンデュランス“鈴鹿10時間耐久レース”」と改められ、FIA GT3車両やJAF-GT300車両が参加可能なレースとして2018年以降も引き継がれます。また来シーズンのSUPER GT鈴鹿大会は、5月18、19日に第3戦として行われる予定です。

 今年が最後となるSUPER GTの鈴鹿1000km。ここでの勝者は歴史の節目として語られる存在となるでしょう。それだけに、皆いつも以上に“勝ちたい”レースとなります。本当に、今年の鈴鹿1000kmは見逃せませんね。

 

 

SUPER GT最長のレースをいかに戦うか? チーム戦略に注目

 今年の第6戦鈴鹿1000kmが、いかに重要なレースか分かっていただいたところで、SUPER GTの一戦としての観戦アドバイスです。

 ラストレースと言う以外にも、各ドライバーやチームにとって鈴鹿1000kmが重要な理由がもうひとつあります。
 それは、他の大会よりシリーズポイントが多いことです。SUPER GTでは、700kmを超えるレースでは通常より多いポイントが与えられるルールとなっています。通常なら優勝すれば20ポイントですが、鈴鹿1000kmでは、それが25ポイントとなります。ポイント獲得可能な順位は10位と変わりませんが、ここも普段の1ポイントが鈴鹿1000kmでは2ポイントとなりますので、チャンピオン争いを考えると非常に重要な一戦となります。真夏の長距離レースで、確かに大変な鈴鹿1000kmですが、タイトルの行方を左右する重要なレースなのです。

 

 

 大変と言えば、レースの距離が長くなるとピットインの回数も増えます。ピットインの回数は、通常の250-300kmのレースでは1回、第2戦富士の500kmでは2回ですが、鈴鹿1000kmではドライバー交代を伴う最低5回のピットインが義務付けられます。
 ピットインが多いことにより、ピットワークがいつも以上に重要となります。仮にピット作業が40秒で終わるチームと、41秒のチームがあるとして、通常のレースなら1秒の差で済みますが、それが4回、5回と積み重なるわけですから、ピット作業の早いチームとドライバーは有利になります。
 さらにピットインのタイミングも重要になります。5回を均等に割れば、タイヤの負担や燃料搭載量も簡単に計算できますが、2人、3人のドライバーの力量や天候の変化があれば、その組み立ても難しくなります。ここは監督やエンジニアの腕の、いや頭の使いどころとなります。

 

 

 そして、鈴鹿1000kmがいつものSUPER GTと違う点がもうひとつ。それは3人目のドライバーが認められていることです。
 今年は、3人のF1経験者が第3ドライバーとして参加予定です。No.16 MOTUL MUGEN NSX-GTには、F1チャンピオンにも輝いたジェンソン・バトン。No.19 WedsSport ADVAN LC500にはF1日本人最高位の3位に入っている小林可夢偉。GT300クラスのNo.26 TAISAN SARD R8 FUKUSHIMAにはクリスチャン・クリエンが予定されています。

 

 

 

レース以外にもファンも耐久の長時間を楽しもう!

 鈴鹿1000kmは周回数でいうと173周にもなり、昨年優勝のNo.38 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/石浦宏明)の走行タイムは5時間45分34秒でした。
 このように5時間を超えるレースをじっと見ているのは、SUPER GT大好きな方でもなかなか大変でしょう。夏のレースだけに熱中症も心配ですし、適度に休みをとりながらの観戦がおすすめです。

 

 

 グランドスタンド裏のGPスクエアには飲食からお土産までいろんなショップが出店しています。さらに鈴鹿サーキットには遊園地「モートピア」も併設されていますし、夏は「アクア・アドベンチャー」というプール施設も営業中です。レースの合間に、こうした場所で遊ぶのも耐久レースらしい楽しみ方ですね。

 ※1000kmの大会期間中はご利用頂けませんが、SUPER GTドライバーのスコアに挑戦する「サーキットチャレンジャー」も開催されています。

 

 そして、鈴鹿1000kmのゴールは夕闇迫る時間になります。ライトを鮮やかに輝かせて走るGTマシンは、幻想的ともいえる美しさを醸し出します。
 さらにゴール後には花火の打ち上げも予定されており、これを見ないと夏は終わらないというレースファンも多いようです。
 

 

 

 



 このように、走るチームも、見るファンも盛り上がる第6戦鈴鹿1000km。チャンピオン争いにおいても重要な一戦です。見逃さずに、存分に楽しんでくださいね。

SUPER GT基礎講座は今回が最終回となります。
次回より『我々のチームを紹介しましょう! SUPER GT監督一問一答』を再開します!
再開第一弾は先日の第5戦富士で見事ダブルポール・トゥ・ウインを飾ったAUTOBACS RACING TEAM AGURIのGT300クラスNo.55 の土屋圭市スーパーバイザーです。
お楽しみに!

 

バックナンバーはこちらから

第1回 サーキットに行こう! ~7つの開催サーキットを紹介~
第2回 レースを観戦しよう! ~チケット購入とサーキットの歩き方~
第3回  SUPER GTマシンの基本を知ろう! ~2つのクラスと多彩な車種~
第4回 チームとドライバー ~ハイレベルなクルマのプロたち~
第5回 公正で安全なレースをするために ~SUPER GT独自の取り組み~
第6回 レース以外にもあるサーキットのお楽しみ ~SUPER GTの進化するファンサービス~
第7回 SUPER GT その24年間の歴史 ~時代に即したレースを提供~
第8回 マシン以外にも注目! 〜サプライヤーたちの戦い〜
第9回 SUPER GTの基本的な競技ルール 〜スポーティングレギュレーション〜

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